縄文時代晩期の遮光器土偶です。
遮光器とは、イヌイットやエスキモーが雪中行動する際に着用する遮光器(スノーゴーグル)のことで、遮光器土偶とは、目にあたる部分がそのような形をしていることからこの名称がつけられました。
遮光器土偶は、東北地方北部の「亀ヶ岡文化」の中で生まれ、短期間のうちに著しい発展を遂げた土偶形式です。そこで生まれた土器の様式は、総して亀ヶ岡土器様式とも呼ばれています。
土偶は 縄文人たちの「まつり」に供された後、そのほとんどが、故意に壊され、捨てられたようです。この捨てるという行為自体に、実は、私たちの意識を超えた、ある特別の意味が込められていたと考えられています。
これは、病気などで異常のあるところの治癒を願って、あえて破壊したとする説もあります。また、ひとつの遺跡から数多く見つかることから、呪術的に使われたものともいわれています。
土偶は、縄文世界の祈りの形「ひとがた」に託した呪術具として、縄文人たちの「まつり」において、祈りを受けとめる精霊の「よりしろ」として機能したと考えられています。
背には力強い「雲形文」が配されています。祈りの形の象徴とも言える存在感のある土偶です。堪らなく愛らしい表情をしています。傍で、そっと見守っていたくなるような像です。
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