夫は家では一日中ソファに横たわっている
そしてほとんど眠っている
それでも 以前のようにはいかないが仕事を続けている
仕事に行けば しばし病気のことを忘れられるのか
充足感を得られるのか
こんな状況になっても やはり人間は何かせずには生きていけないらしい
今は腹水がひどく 膨満感に苦しんでいる
息切れがして歩くのも辛そうだ
そういう夫にわたしは一日中寄り添って
自分のできる民間療法を施している
もう医師からは見放されてしまったから
もうホスピスに入ることを考えなければいけないのに
何も考えない夫
相変わらず仕事のことしか考えない夫
緩和ケアのこと
仕事のこと…
3年前に「2か月程度をめどに仕事の引き継ぎをされると良いかと」と医師から言われていたのに
辞めるどころか新しい企画で仕事を始めてしまっている
会社をどうするのか
お墓は…
母は…?
すべてこのままわたしへの宿題として残されるのだろう
先日長男と娘が来て久しぶりに母子で話した
ふたりともわたしに向ける視線は憐憫に満ちていて
わたしはびっくりしてしまった
それぞれ父親になったり妻になったりして
今までとは別の角度から“母親”というものを見られるようになったらしい
それぞれが大変な思いをしているから甘えるわけにはいかない
とにかく後悔しないように たんたんと看病するだけ
ただそれだけ考えている
今していることは主に3つ
「漢方薬」
「光線療法」
「里芋湿布」
いずれもわたしが考え勝手にしていること
どんな効果があるかはわからないけれど
何もしないでいたら気が狂いそうだから
もしかしたらこれらのことはそんな自分のためにしているのかもしれない
「漢方薬」はわたしが調べて始めた
すでに1か月以上続いている
“漢方の抗がん剤”というが劇的な効果は望めないと正直思っている
「光線療法」は健康オタクのわたしが元々使っていたもので
“コウケントー”が有名?でカーボンアーク灯による治療
これは万病に効くといわれていて昔からあるらしく
鍼灸院などで今も使われている
スポーツ選手が何台も使って怪我や不調を治していると聞く
「里芋湿布」は腹水改善になると聞いて始めた
“youtube”にも具体的な方法がアップされていて
すぐに始めてみた
急なことであり合わせの布を使って里芋ではなくジャガイモを使った
(ジャガイモでも同じ効果があると聞いたので)
すりおろした芋とおろした生姜に小麦粉を加え適度な固さにする
これをお腹に貼り付けておく
すると腹水が外に出てくるというのだが…
こんなのも里芋湿布用に売られていて
意外に愛用者は多いのかもしれない
右の「温」というのは生姜のホットパッチで
里芋湿布の前に温める目的で使う
そして夫が痛いというところを撫で さすり
ツボを探して押して
食べやすい食事を作って一日が終わる
昨日作ったポーチ
今は無心に手を動かすことが救いになっている