虫の音よりも有権者のため息が聞こえてきそうな秋の夜長 9月21日

第三次小泉内閣が発足したこの日、憂国の政治家・後藤田正晴氏逝去の報が告げられた。91歳だった。民主党新代表に選ばれた前原氏の年齢は43歳、政界の世代交代を、誰も止めることはできない。

代表制民主主義の我が国では、国会での勢力図がすべてを決める。しかし、小泉総理に金正日やヒトラーまがいの独裁政治は許されず、たとえ少数勢力とはいえ、野党一人ひとりの議員の質問の重要性は、むしろ増すばかりだ。BSE問題を曖昧にしないこと。また、新石垣空港をはじめとする自然破壊的公共事業の行く末など、重要課題は多い。特に、石垣空港の問題は、自然環境と同時に沖縄における米軍基地再編の問題にも絡んでくる問題だ。

勿論、財投債の発行を中止しないままでのサラリーマン大増税は論外、とても許しがたく、果敢に論戦を挑む野党議員の姿を期待する。ところが、大量当選した話題の新人議員の面々は、「これから郵政法案を勉強します」などと平気で語る始末。信じがたいが、これが現実なのだ。

国会議員は、花形職業でもなければ、家業の傍らに片手間でやるような仕事でもない。小泉マジックにかかり小泉自民党を圧勝に導いた有権者の多くが、今頃ため息をついている様子が目に浮かぶ。それら浮ついた国会議員の面々の給料と文書通信交通滞在費、そして議員一人あたり少なくとも3名の公設秘書の給料は、すべて国民の税金なのだから・・・。

先日の六カ国協議を振り返っても、いつまでも浮ついた状態の永田町であってはならない。軽水炉の提供と核放棄との順序が、実は合意されていなかったのだとすれば、そんな曖昧な共同声明であったことなど、まったく報道されていなかったし、これを前提に再開される日朝協議とは、一体何なのか!?北朝鮮問題は、決して日本単独で対応できるものではない。今こそ国連の出番。安保理の場で、北朝鮮が一切の核開発を放棄してNPTに復帰し、IAEAの完全な査察を受け入れないときは、断固とした経済制裁に踏み切って、北朝鮮に対する世界の姿勢を明確に示すべきなのだ。

2003年度、高齢者への社会保障費の総額が約60兆円であるのに対して、子育て関連の給付は、なんとたったの3兆円あまり。これでは、少子化が続くのも当たり前。大切なことは、制度の質の問題だ。無駄な診療や自立とは逆行する報酬目当ての介護がのさばる一方で、子育てと仕事のキャリアとの狭間で悩み続ける若い世代が存在する。偏った社会保障制度の歪みの解消なくして、日本の将来に希望は持てない。

とにかく、21世紀の日本の国のかたちを方向付ける国会が、一刻も早く地に足のついた思慮深く活発な論戦の場に戻る(落ち着く)ことを、願うばかりだ。
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