「日米同盟」より「日米協力」 9月25日

ハリケーン「リタ」は、「カトリーナ」に続き深い爪あとを、アメリカ大陸に残したらしい。国民は、政府の対応の脆弱さに、ブッシュ大統領に対する怒りを爆発させている。ブッシュ大統領は、イラク戦争に全精力を注ぎ、国内のイマージェンシーに対する備えを明らかに疎かにしている。いまだに空爆を続けるイラク戦争は、完全に泥沼化している。アメリカ軍は日々、無防備な一般市民をも巻き添えにして、多くの人命を奪っているのだ。犠牲者の遺族が、遺恨のあまりテロリストと化し、彼の地は攻撃の悪循環へと陥り、イラク戦争はベトナム戦争以上にアメリカにとっての泥沼だと、今やみなされる有様だ。

イラク戦争にかかるコストは、一説によれば毎月1兆円を超えるとも言われ、ハリケーンの被災地への復興支援が後手後手になる中、アメリカ国民のブッシュ大統領に対する不満は益々募る一方だ。イラク戦争の終焉には、もはや国連の力を借りるより他ない。アメリカの暴走を、唯一止めることができる可能性を持ち合わせているのが国連だ。北朝鮮問題の六カ国協議が前進しない理由も、当事者らが国連を活用しようとしないからではないか。

折りしも、民主党新代表も含め右よりの親米主義者が、日本国憲法に集団的自衛権を明記しようとする態度は、明らかに間違っているとしか言いようがない。ブッシュ政権は、アメリカ国民よりも、単純に「戦争」そのものに関心を持っているにすぎないのだ。集団的自衛権とは、そんな横暴なアメリカと世界中で行動を共にすることを意味するわけで、日本がそこまでアメリカの属国的存在になる必要性を、私はどこにも認めない。

日本は、アメリカと世界平和の為に互いに協力することはあっても、日本に、イラク市民の平和な暮らしを破壊するアメリカの間違った戦争の片棒を、引き続きかつぐ義務と責任はどこにもない。そろそろ「日米同盟」という言葉から卒業する時だ。

極東における米軍のトランスフォーメーションは、沖縄の人々の苦しみを小さくすることにつながるだろうか。普天間基地移転問題の解決方法が迷走している現状を、小泉総理は責任を持って打開しなければならない。環境破壊の観点からも辺野古沖案(縮小案も含めて)を受け入れるわけにはいかないし、そもそも、極東全域を見渡せば、米軍施設を太平洋のアメリカ領へ移転させることが、最も合理的なのだ。

普天間問題は、沖縄県内での移設を実現しようとする霞ヶ関の官僚たちによって、「歴史的勝利をおさめた小泉総理の指導力がものを言う」と、ここ数日表現され始めたが、本当にそれで良いのだろうか。霞ヶ関の官僚やアメポチ小泉総理に惑わされることなく、こと沖縄基地問題に関しては、私たち日本国民一人ひとりが更に真剣に考え判断する必要性がある。

今や「日米同盟」は、戦争を奨励するブッシュ大統領への協力に成り下がってしまっている。これからの日本は、新たに、世界平和のための「日米協力」路線を歩んでいかねればならないはずだ。好戦的なブッシュ政権は、ハリケーンの被害を引き金に、アメリカ国内では風前の灯なのだから。
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