風の備忘録~ ~ ~

風は林に色や形や音を運んできます
忘れないうちに 忘れないように
短い言葉でメモ memo   
       

私の好きなイギリスの詩人 クリスティナ ロセッティとつながる人々

・画家・詩人ダンテ・ガブリエル・ ロセッティは兄 ・西條八十 ・三井ふたばこ(西條嫩子) ・宮澤賢治  ・金子みすず

「わが児は歩む」 千家元麿

2005-05-05 | 好きな詩・短歌
吾が児は歩む
大地の上に下ろされて
翅をきられた鳥のやうに
危なく走り逃げて行く
道の向ふには
地球を含んだ空が蒼々として、
       
            (後略)
 
千家元麿(1888年ー1948年・昭和23年没)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高校のときに国語の教科書にあったような気がします。
80行からなる長詩ということで手元の
「我が愛する詩人の伝記・室生犀星」角川文庫(昭和40年5月10日初版発行)には
ここまでしか載っていませんので、見つかりしだい なるべく全部をのせたい。

5月のさわやかな風が吹く草原と勝手に解釈しています。
大地・こども・広がる空・・・好きな詩です

    
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朝日歌壇より「風」の文字がある3首

2005-05-02 | 好きな詩・短歌
毎週月曜日は朝日新聞の朝日歌壇から好きな短歌を選び楽しんでいます。
今日5月2日のには 5~6首の心惹かれる歌がありました。

その日その日によって響いてくるものがあったりなかったりします。
歌そのものより体調とか何かが関係するものと思われます。
(4月25日のには私の感性を揺さぶる歌はなかった。)

5月2日のは後にして今日は4月18日 (月曜日)のものから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
:流されるようで流されることもなく春風強き中をゆく鳥
              高野公彦選 (駒ヶ根市) 並木 一夫
   春風という言葉は優しいけど、実際は春風は強風の時が多いのです。
   その強い風の中を飛んでいく鳥。目に見えるようです。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
:放ちたる野火たちまちに風を呼びたてがみを振り奔馬となれり
              高野公彦選(山形県) 清野 弘也
  火は風をおこすのですね。先日テレビで震災のとき吹き荒れた風を見ました。
   渦を巻いて燃え広がりました。
   野火もはじめは小さな火があっという間に奔馬のように激しく燃えさかるのです。

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
:生きにくい分だけ本あり重さあり耐震工事の書架にも春風
              永田和宏選 (横浜市) 桑原由吏子
   私も自分で解決できないことがあると本を買います。
   読まなくても持っていれば安心という本もあります。
   「将来高い確率で起こる地震」があるのに2階の本棚には本がぎっしり。
   耐震工事はしていません。
   家がつぶれるのではないかとドキドキしながら暮らしています。

    
   
この3つの歌には「」が入っています。
実際は強くても激しくても という文字が好きです。

追記
短歌の数え方がわからず初めは「3編」と書きました。
でも 落ち着きが悪いのでヤフーで「短歌 数え方」で検索
夏井瑤子の日本式数の数えかた、日本の助数詞 ←クリックすると出てきます。 
短歌の数え方は「首」でした。でもなぜ「首」なのでしょう?

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河井酔茗  「ゆずり葉」

2005-05-01 | 好きな詩・短歌

好きな詩を書き写したノートの一部です。
(全部を載せるとサイズが大きすぎ、サイズを小さくすると文字が見えないので)

当時は気に入って書き写したのかと思いますが
今になっては 複雑です。

別の病棟でしたが同じ病院に
病気で母は入院、娘は出産のため入院するということが
2度もありました。

娘の2度の出産のたびに 母も入院していたのです。
生まれ来る命と消えそうな命。
簡単に良い詩とは思えなくなりました。

また 
「かがやける大都市も 
 そっくりおまえたちにゆずられるのです・・・」

「世のおとうさん おかあさんたちは
なに一つ持っていかない
みんなおまえたちにゆずっていくために
いのちあるもの よいもの 美しいものを
いっしょうけんめい造っていきます」という部分も 

自然を破壊して作った大都会だったと思うし
親がいっしょうけんめいに子供のためと思ってやってきたことが
はたしてよかったのかと このごろ思うようになりました。

好きなようで好きでないような詩ですが
「こどもの日」と「母の日」がある5月なのでのせました。

河井酔茗は1965(昭和40年没)なので著作権の問題で
私は写真だけ(これも駄目なのでしょうが)出しますが
いわき石川の里の「詩歌散索」の中に「ゆずり葉」の詩が載っています。

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「露地の細道」  海野 厚

2005-04-30 | 好きな詩・短歌
露地の細道 通しゃんせ
横町(よこちょ)のお茶屋へ お茶買いに
露地は夕顔 咲きかかり
斜(はす)にちょっとよけ 通りゃんせ

露地の細道 通しゃんせ
横町(よこちょ)の酒屋へ 酒買いに
露地は夕顔 咲きかかり
斜(はす)にちょっとよけ 通りゃんせ

ーー大正8.7ーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 時期は早いけど 海野 厚さん 続きで「露地の細道」
 最近は露地の細道はほとんど見かけなくなりました。
   夕顔は花の大きなチョウセン朝顔でしょうか?
  [斜(はす)にちょっとよけ 通りゃんせ]ですから。
 子どものお使いも どれくらいさせているのでしょう?
 夕方の買い物など させては危険な時代ですし。
 お茶屋さんにお茶を買いに行くよりマイペットボトルの時代でしょうか。

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背くらべ (せいくらべ)

2005-04-29 | 好きな詩・短歌
背くらべ  
         海野 厚 (うんの あつし)

 柱のきずは おととしの
 五月五日の 背くらべ
 粽(ちまき)たべたべ 兄さんが
 計ってくれた 背のたけ
 きのう くらべりゃ 何(なん)のこと
 やっと羽織の 紐(ひも)のたけ

 柱に凭(もた)れりゃ すぐ見える
 遠いお山も 背くらべ
 雲の上まで 顔だして
 てんでに背伸(せのび) していても
 雪の帽子を ぬいでさえ
 一(いち)はやっぱり 富士の山

ーー大正8.7ーー
岩波文庫・日本童謡集・与田準一編(昭和34年4月30日第五刷発行)


海野 厚 (うんの あつし)
1896(明治29年)-1925(大正15年)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「検索」するとMIDIがあるのがいくつかでてきます。

二木紘三WEBサイトの
「歌声喫茶」のジャンル別の「童謡・唱歌」に 背くらべ がでています。 
「歌声喫茶」
には注意書きがありますので ココをクリックして入ってMIDEをお聞きになってください。
リンクフリーと書いてありますが、個別のMIDIについては どうなっているのかわかりませんので。

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「烏と地蔵さん」 野口雨情

2005-04-28 | 好きな詩・短歌
  
 石の地蔵さん
 居ねむりしてた

 にこりにこりと
 居ねむりしてた

 烏ァときどき          *烏=からす
 団子見て啼いた

 石の団子で
 盗っても駄目だ

 石の地蔵さん
 駄目団子もってた

 にこりにこりと
 駄目団子もってた。


ーー「少年少女」大正10・4ーー

春の情景が浮かびます。
近くにはレンゲが咲いているといいな。


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「田圃(たんぼ)にて」 山村暮鳥

2005-04-28 | 好きな詩・短歌
  
 たあんき ぽーんき
   たんころりん
 たにしをつっつく鴉どん       *(鴉=からす)
 はるのひながのたんぼなか


  たあんき ぽーんき
   たんころりん
 わあれもひとも生きもんだ
 あんまりひどくしなさんな


  たあんき ぽーんき
   たんころりん
 鴉はきいても知らぬ顔
 はるのひながのたんぼなか


ーーーー「おとぎの世界」大正10.3ーーーー
岩波文庫・日本童謡集・与田準一編(昭和34年4月30日第五刷発行)




~~~~~~~~
4月26日 火曜日 甥の車に乗せてもらって家に帰る途中 
田圃に水が貼ってるのを見ました。
連休中に田植えをするのでしょうか?

大正時代の田圃仕事は機械化されてなく苦労が多かったと思いますが
田圃という言葉からは、のんびりした風景が目に浮かびます。 

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好きな短歌二つ

2005-04-17 | 好きな詩・短歌
新聞に出ている短歌を読むのが好きです。
我家は朝日新聞と地元の新聞の二つをとっているのですが
朝日新聞の短歌のほうが好きで地元のはさらっと目を通すだけでした。
でも
今朝の地元の新聞の「河北歌壇」に好きな短歌を二つ見つけました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地平線の一ミリ上が空ならば蟻這う上も空と言いたし
仙台・ 濱田 尚子) 花山多佳子 選

広々とした地平線が目に浮かびました。一面の草原。
草に中なら蟻は見えるはずはないのにちゃんとみえて
自分の世界を歩いていました。
空も広々としていて 小さいころから 思い描いていた「自然」が
目に見えてきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの雲は僕の知らないいろいろなことを見てきたのだろう風にふかれながら
(宮城・ 須藤 長治) 佐藤 道雅 選

ただよう雲を見ながら
<僕の知らないいろいろなことを見てきたのだろう>と思う
自分自身も色々な事を見てきたので 
そういう言葉がきっと出てきたのだと感じます。
風・・・
青空に浮かぶ雲が好きです。
それよりも 風が好き。
風という字は新聞を見ても本を見てもすぐに目に入ってきます。


このブログを作るとき「風のこみち」(風の小道)という名前にしたかった。
検索したらどこかの自然公園かの道の名前として出てきたのでやめました。
賢治だったでしょうか。

私の夢は モンゴルに行ってそこの草原に吹く風を見ることです。

桜の花の咲くころは♪「春の歌」

2005-04-08 | 好きな詩・短歌
「春の歌」  野口雨情

桜の花の咲くころは
うらら うららと 日はうらら
ガラスの窓さえ みなうらら
学校の庭さえ みなうらら

かわらにひばりのなくころは
うらら うららと 日はうらら
ちちやの牛さえ みなうらら
とりやのとりさえ みなうらら

畑に菜種の咲くころは
うらら うららと 日はうらら
なぎさの砂さえ みなうらら
どなたの顔さえ みなうらら


野口雨情・没年昭和20年(1945年)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小学校で習った歌だったと思います。
「著作権」問題がありますから
作詞者がどなたで ご存命か、亡くなった場合は
50年過ぎているかを調べなくてはなりません。

「桜の花が咲くころは うらら」で検索。
さっき初めて「野口雨情」とわかりました。


下のURLでメロディが聞けます。
http://ww4.enjoy.ne.jp/~aqua98/school/Kusakawa/haruutaRR.htm
このままでは開きにくいのでコメント欄に貼り付けます。

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暮鳥ー風景ー純銀もざいく と「こくご」の「なのはな」

2005-03-22 | 好きな詩・短歌
  風 景
      純銀もざいく

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしやべり
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな。

・・・・・・・・・・・・・・・・
山村暮鳥『聖三稜玻璃』(大正四年十二月)


http://takemoto.picot.ne.jp/seisan.htm

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昭和22年の1年「こくご」は
「みんな いい こ」の次は「なのはな」でした。

暮鳥の「風景ー純銀もざいく」ほどには
「なのはな」の文字は並んではいませんでしたが、
「なのはな なのはな」と
「なのはな」の文字がたくさんならんでいて
「しろいくも」「おーい」など書いてあったように思います。

本が簡単に買えなかった時代でしたから
教科書も暗記するほど読み覚えていたのですが
忘れてしまいました。


「原体験」というものでしょうか?
「なのはな」は私に強い印象をのこし、
「なのはな」の文字を見ても
「菜の花」を見ても、ふんわりと幸せな気分になります。



みんな いい こ

2005-03-21 | 好きな詩・短歌
 
 おはなを かざる、
 みんな いい こ。

 きれいな ことば、
 みんな いい こ。

 なかよし こよし、
 みんな いい こ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

これは昭和22年4月、私が小学校1年のときの「こくご」の教科書の
一番 始めに書いてあったものです。

 ミソソソ ミソソ
 ミーレド ミレド 
なんと 「こくご」なのに読むものではなく歌でした。

この教科書を使った全国のどこでも
メロディーつきだったのでしょうか?
どなたかの経験をお聞きしたいと歌うたびに思っています。
 

2つの「悼詩」古いノートから

2005-03-16 | 好きな詩・短歌
ボンタンの詩ですが古いノートを見ると2つ並べて書いてあります。

  「悼詩」    室生犀星

  ボンタン実る樹のしたにねむるべし
  ボンタン思へば涙は流る
  ボンタン遠い鹿児島で死にました
  ボンタン九つ
  ひとみは真珠
  ボンタン万人に可愛がられ
  いろはにほへ らりるれろ
  ああ らりるれろ
  可愛いその手も遠いところへ
  天のははびとたづね行かれた
  あなたのおぢさん
  あなたたづねて すずめのお宿
  ふぢこ来ませんか
  ふぢこ居りませんか


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  
  ボンタン実る樹の下にねむるべし
  ボンタン思えば涙は走る
  ボンタン遠きかごしまで死にやった
  ボンタン九歳(ここのつ)
  ひとみは真珠
  ボンタン万人に可哀いがられ
  らりるれる
  いろはにほ
  へらりるれろ
  あゝらりるれろ
  可哀い其の手も顔も遠いところへ
  天のははびと たづね ゆかれた
  そなたのおぢさん 室生犀星は
  そなたたづねて すずめのお宿
  ふぢこ来ませんか
  ふぢこ居ませんか
  ボンタン
  ボンタン
  せんていねんたる、せんていねんたる
  かはゆきあまり おれはなきます
  人にかくれて時計のかげで
  せんていめんたる
  せんていめんたる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もともとの本はもっていません。どこからか借りたか 
何かの載っていたのを書き写したのかと思います。

「或る少女の死まで」という本のなかにあるそうです。
捜すことが増えました。
どうしてふたつのボンタンの詩があるのか、
本に書いてあるかもしれませんし。

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好きな詩・堀辰雄の詩

2005-03-14 | 好きな詩・短歌
天使達が
僕の朝飯のために
自転車で運んで来る
パンとスウプと
花を

すると僕は
その花をムシって
スウプにふりかけ
パンに付け
そうしてささやかな食事をする

     ×

この村はどこに行っても いい匂いがする
僕の胸に
新鮮な薔薇が挿してあるやうに
そのせゐか この村には
どこへ行っても犬が居る

     × 

西洋人は向日葵よりも背が高い
  
     ×

硝子の破れてゐる窓
僕の蝕歯よ
夜になるとお前のなかに
洋燈(ランプ)がともり
ぢつと聞いていると            
皿やナイフの音がしてくる



・・・・・・・・・・・・・・・・
*明治40年(1904)生ー昭和28年(1953)没
*「むし」って・・・「毟」これに手偏がつきます。  

良寛さんが好き

2005-03-08 | 好きな詩・短歌
 いかにして
 まことのみちに
 かなはなむ
 ちとせのなかの
 ひとひなりとも
        良寛

       (1966.1 書き写す)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これも 「クリスティナ ロセッティの詩を書き写していた古いノート」の中に書いてあったものです。
良寛さんの絵本を小学校始めに買ってもらって、すきで何度も見てました。 
日記に何も書くことが出来ない日に絵本の絵と文章を写して出した記憶があります。
子供とかくれんぼして隠れて眠ってしまった良寛さん。
絵本はすでになくなったけど、絵日記はどこかに残っているはずです。

H.ヘッセの詩・3編

2005-02-19 | 好きな詩・短歌
「野を越えて」  H.ヘッセ

空を越えて 雲は行き
野を越えて 風はよぎる
野を越えてさすらうのは
私の母の迷える子。

ちまたを越えて木の葉は飛び
木立ちの上に鳥は鳴く
山のあなたのどこかに
私の遠いふるさとはあるに違いない。


「運命」

私たちは 子どもたちのするように
怒って わきまえもなく別れ
愚かな はにかみにとらえられて
急に避け合った
悔いて待つうちに
幾年も過ぎた。
私たちの青春の園に
通ずる道はもうない。

「独り」

地上には
大小の道がたくさんつうじている。
しかし、みな
目ざすところは同じだ。

馬で行くことも、車で行くことも、
ふたりで行くことも、三人で行くこともできる。

ただ最後の一歩は
自分で歩かねばならない。

だからどんなにつらいことでも、
ひとりでするということにまさる
知恵もなければ能力もない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「詩を書き写していたノートなど一式」の箱の中に
赤い手帳がありました。
日程などの書いたものを見ると18か19歳のころの手帳です。
好きな詩や言葉が書いてあります。
H.ヘッセの詩は3編。
H.ヘッセとあるのは ヘルマン ヘッセと思います。

ロセッテイのときのように
写し間違いや勝手な行変えもあるかも知れません。


追記:20050531:訳者がわかりませんので「著作権」では問題あるかも。

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