たかぎなおこさんの新作。
相変わらず、ほんわかした作風で癒される。
旦那様に「老眼かよ」「真面目にやって!」
「もっと楽しい話題はないの?」と素の自分を曝け出すあたり
これまでのたかぎさんと違う…と思った方もいるかもしれない。
今までもう少し、言動に遠慮があったから。
でも、それが露わにできるからこそ、家族らしいな、と思った。
迷ったり悩んだりしつつも、「数年後にあの時挑戦しなかった、と
後悔はしたくない」「やってみてできなかったらそれはそれでいいじゃん」
と結婚、出産に前向きに取り組みつつ
でもなかなか妊娠できない人に対する配慮も忘れない、
ほんわりした作風はそのまま。
描かれてはいないが、良いことばかりでなく
苛立ちめいたものが隠されているように感じたが…。
あくまでたかぎさん視点なので、
すべてのイニシアチブが女性からのように感じられるが、
旦那さん視点で描かれたら
また別の感想が生まれるかもしれない。
他の方のレビューを読んで、少しびっくりしたのが
「40代で旦那に泣きついて頭を撫でてもらうなんて」
という批判の声。
そんなデフォルメに噛みつくんだ…。
そこから思ったのだが、どうも子育て世代に対する
批判論というのが根強い気がする。
むしろ60代以降のカップルのほうが
いろいろ許容されていないか?
猪瀬直樹さん(71)が妻(57)の膨れた頬をツンとつつく
のろけを吐露しても「お幸せに」「素敵」と言われるのだが
多分30~40代夫婦がそれをやると、また世間の反応は違うのだろう。
インスタで人気を博しているペアファッションの某夫妻や
往年のチャーミーグリーンCMの老夫婦。
この年齢だと「微笑ましい」と言われるのに
多分中年期がやると、なぜか叩かれるような気がする。
どうも日本は若年層か高齢層に対する許容度は高いが
責任世代の甘えや緩みには、随分辛辣なようだ。
自分自身を楽しくし、周囲に迷惑をかけないのであれば
すべからくどうでもいいことだ。
「他人のことはどうでもいいんだよ
何より大事なことは、自分自身を生きることだ」
たしか、浅田次郎さんもそんな主張をしていた気がする。
まったく同感だ。
書評から大分逸脱したコラムになった