ある知己の話である。
イクメンの彼は、頭も良く要領も良い。仕事に対する能力も高かった。
しかし、サボり癖があり、よく「子どもに手がかかって」「子どもが病気で」と口実を述べ、やるべき仕事から逃げていた。
―――3人目の子ができたときに、先天性の疾患があることを医師に告げられたそうだ。
昔読んだ童話で、こんな内容のものがあった。
ヒルデブランドという嘘つきの少年に、鏡の中の姿が話しかける。
「君が嘘つきにならないよう、言葉にしたことすべてを真実にしよう」
鏡の精霊の言うとおり、彼のいうことは何でも実現した。
あるとき、友人が「僕の妹の目が見えなくなった」とこぼした。
ヒルデブランドはつい「僕の妹も目が見えなくなったんだ」と返した。
帰宅すると、妹の目から光が失われ、家族が嘆き悲しんでいた。
深く反省した彼に、鏡の精霊が諭す――「もう嘘は言わないね?」
「もう言わない、絶対」
彼の妹の目は見えるようになり、ヒルデブランドは正直な少年になった。
二度と鏡の精霊が語り掛けることはなかった。
随分小さいころに読んだ話だが、主人公の名前も明瞭におぼえている。
言霊の力は侮れないのだが、現実には痛い思いをしてもなお、気づかないひとも多々いるように思う。
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イクメンの彼は、頭も良く要領も良い。仕事に対する能力も高かった。
しかし、サボり癖があり、よく「子どもに手がかかって」「子どもが病気で」と口実を述べ、やるべき仕事から逃げていた。
―――3人目の子ができたときに、先天性の疾患があることを医師に告げられたそうだ。
昔読んだ童話で、こんな内容のものがあった。
ヒルデブランドという嘘つきの少年に、鏡の中の姿が話しかける。
「君が嘘つきにならないよう、言葉にしたことすべてを真実にしよう」
鏡の精霊の言うとおり、彼のいうことは何でも実現した。
あるとき、友人が「僕の妹の目が見えなくなった」とこぼした。
ヒルデブランドはつい「僕の妹も目が見えなくなったんだ」と返した。
帰宅すると、妹の目から光が失われ、家族が嘆き悲しんでいた。
深く反省した彼に、鏡の精霊が諭す――「もう嘘は言わないね?」
「もう言わない、絶対」
彼の妹の目は見えるようになり、ヒルデブランドは正直な少年になった。
二度と鏡の精霊が語り掛けることはなかった。
随分小さいころに読んだ話だが、主人公の名前も明瞭におぼえている。
言霊の力は侮れないのだが、現実には痛い思いをしてもなお、気づかないひとも多々いるように思う。
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