がん治療で休職した会社員のうち、6割が休職後1年以内にフルタイムで職場復帰していたことが東京女子医大の遠藤源樹(もとき)助教(公衆衛生学)の調査で分かった。時短勤務を含めると、復職率は8割に上る。ただ、今回の調査対象は大企業の会社員。中小企業での復職率はこれより低いとみられ、がん患者の復職支援制度を企業全体へ拡大することが今後の課題となる。
調査は、過去12年間で新たにがんと診断された大企業の正社員1278人について、病休や復職に関するデータを分析した。がん患者の社会復帰の状況について、大規模調査が行われるのは初めて。
休職後、1年以内にフルタイムで復職した社員の割合は、前立腺など男性生殖器がん(79.5%)▽胃がん(78.8%)▽子宮など女性生殖器がん(77.6%)▽乳がん(76.6%)▽大腸がん(73.3%)などは復職率が高く、肺がん(34.3%)▽肝胆膵(かんたんすい)がん(37.8%)▽食道がん(38.4%)▽白血病などの血液がん(42.9%)などは低かった。抗がん剤を使う白血病などは治療期間がおおむね長く、復職率が低い傾向を示している。
また、フルタイムで復職するまでにかかった病休期間は平均6カ月半。時短勤務での復職は同2カ月半だった。
国内では、時短勤務などがん患者の復職支援制度を認める中小企業はまだ少ない。
遠藤氏は「企業の病休・復職支援制度さえあれば、調査のように6割がフルタイムで復職できる。がん患者が仕事と治療を両立させられるよう、支援制度を広げる必要がある」と指摘する。
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