防人の秋思偲ばる埴輪かな
東京国立博物館
東京国立博物館
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この埴輪は、1974年に古墳時代の埴輪として初めて国宝に指定された「埴輪 挂甲の武人」です。群馬県で出土し、制作推定年代は6世紀。
一方、防人(さきもり)は、日本が663年に朝鮮半島での白村江(はくすきのえ)の戦いに負けたために、中大兄皇子が九州防衛のために制定した制度と言われています。また、万葉集には、防人による歌も含め7世紀前半から759年頃までの歌が収録されていると言われています。
従って、この6世紀の埴輪の武人は万葉集に登場する「防人」ではないのですが、武人の表情から遠くを悲し気に想っている防人のように見えます。どんな「秋思」であったのか・・・
高校時代に習って朧気に覚えていた防人の歌をインターネットで確認しました;
我が妻は、いたく恋ひらし、飲む水に、影さへ見えて、世に忘られず
父母が、頭掻(か)き撫で、幸(さ)くあれて、言ひし言葉(けとば)ぜ、忘れかねつる
唐衣、裾に取り付き、泣く子らを、置きてぞ来(き)ぬや、母(おも)なしにして