芽に産毛枯葉を落とす生の智慧
産毛:うぶげ
厳しい寒さの冬を乗り越えて花開く春を迎えるためか、今、辛夷(こぶし)の芽は暖かそうな産毛で覆われ始めました。
葉は太陽の光を受けて栄養を創り出す役割を担っていますが、冬は日照時間が短く、無用の長物となってしまいます。また冬は乾燥し、生きるエネルギーの元である水分が吸収しにくくなります。この厳しい環境の中で、無用の長物となる葉への栄養補給を断って木そのものの命を守るため、自らの大切な構成要素である葉を落とします。この自然の営みは、ある意味壮絶な光景であり、また木の生命力の逞しさと巧みさを感じます。
辛夷の冬芽(とうが)と葉の枯れ落ちるのを観て、木の生にはきっと智慧がある、と思いました。木は話さないだけで、私たち人間と同じ「生きもの」、だから・・・。