秀山の俳句写真日記

日々の生活、旅先での出逢い・思いを俳句、写真、文にした徒然日記です

(その3 三徳山・三佛寺・投入堂)北陸・山陰紀行

2019年07月08日 23時02分12秒 | 旅行

これからいよいよ投入堂(なげいれどう)への参拝登山です。先達は木屋旅館の若旦那・御舩利洋さん。朝九時過ぎに宿を出まして車で15分。そこから修験道。先達さんから修験道に入る心構えを一通り教えられて登山開始。

店の昼餉は朝摘み初夏山菜

写真は、三徳山登山口ある食堂「谷川天狗堂」の方が、今日の昼メニュー用の山菜を綺麗に仕分けしているところです。山菜はミズでしょうか? この時、帰路のお昼の予約をしました。

巡りめく新緑煩悩大念珠

登山口までの参道にある輪光院。
大自然、新緑は太古より太陽一巡ごとに一回、人の煩悩は知恵を得てからこの方数限りなく、巡りめく・・・
この「百八煩悩転生大念珠」を念じながら回すと厄除け開運となる由。
触らずに合掌して通り過ぎました。

修験への道新緑につつまれて

三佛寺本堂への階段です。峻嶮と言われている修験の道が間近だと思うと、気は引き締まる一方、わが身は新緑に溶けいる心地です。

風薫る行者はかくも優しきや

本堂からしばし行くと宿入橋(しくいりばし)があります。この橋を渡ると聖なる修験の地に入ったことになるとのこと。道がだんだん険しくなり、先達さんの「六根清浄」に唱和しながら登ります。するとこの像に出会いました。役行者(えんのぎょじゃ)、または役小角(えんのおづの)。役行者の存在は言葉でしか知らず、厳しく近寄りがたきお方と思っていましたが、この優しさ・・・。悟りの境地の一表現なのでしょうか・・・。
伝説では、役行者が、蓮の花びらを「神仏にゆかりのあるところへおとされたし」と念じて空に投げた所、石鎚山(愛媛)・吉野山(奈良)と三徳山(鳥取)に舞い降り、それらの山に修験道の行場を開いた、とのことです。

新緑や六根清浄修験道

修験の道はかなり険しく、息が切れて「六根清浄」を唱えるのも苦しくなり、「投入堂まであとどのくらいあるか分からないけど、行けるかな~」と不安になったことが一、二度ありました。救いは、タイムリーな先達さんの優しい励ましと、新緑です。

新緑や堂断崖に置かれてをり

投入堂の手前にある三徳山文殊堂。投入堂も文殊堂も、古代からの日本の伝統工法により「置かれている」からこそ、これまでの大地震にも柔軟に耐えてこられたとのことです。

 

踏みはづせば奈落新緑修験道

 もうすぐ投入堂です。この伝い道、昔は、一人がやっと通れるほどの道を、六根清浄を念じ、絶壁に身を沿わせながら身命を賭してお堂をめざしたにちがいない・・・

 

道峻険堂新緑の絶壁に

信仰の力新緑投入堂

三徳山三佛寺の投入堂(なげいれどう)縁起には以下のように書かれています。「役行者が三徳山を訪れた時、その山のふもとでお堂をつくりました。役行者は法力でお堂を手のひらに乗るほどに小さくし、大きな掛け声と共に断崖絶壁にある岩窟に投入れたと言われています。このことから『投入堂』と呼ばれるようになりました。」写真の右側のお堂は「不動堂」で、下の小さな写真は不動堂の屋根の鬼瓦(木製か?)を拡大したもので、菊の御紋がありありました。

この記事を書いた後で、 木屋旅館の若旦那・御舩先達さんにfacebook messageで、「鬼瓦のように見えますが、木製ですか?また菊の御紋がありますが、三佛寺と皇室とはどのような関係なのでしょうか」と質問したところ、ご親切にもいろいろと調べていただき、以下のような回答をいただきましたので、ここに記します。御舩さんとは宿と参拝登山とのご縁しかありませんのに、この縁に感謝です。御舩さん、ありがとうございます<m(__)m>

「不動堂には鬼瓦はございません。あれは木製です。瓦は修験道の中の全ての神社には一切瓦は使用されておりません。また、全て木製の建物です。投入堂は『懸造』という造り方の建物です。屋根はヒノキの皮を重ねた檜葺きです。その檜葺の屋根に鬼の彫刻がされた『鬼板』が装飾されています。皇室との関係についてですが、 平安時代中期に活躍した円融天皇の妻である藤原遵子(ふじわらのじゅんし)が子宝祈願で三徳山に鏡を奉納してから繋がりがあります。結局じゅんしは生涯世継ぎを産むことなく生涯を終えたのですが、奉納した鸚鵡文銅鏡は世界に3つしかない貴重な鏡として、その一つが三徳山で今でも大切に保管されています。菊の御紋があしらわれた建物との関係は、今のところ分かっておりません。」

 

こんなところに、よう建てたものだ、とただ感心するばかりです。

 

 積善に摩耗石段風薫る

 このように摩耗した石段を見るのは初めてです。古代より途切れることのない投入堂参拝登山。人の信仰心の深さの一歩一歩、人の善の一つ一つの積み重ねを象徴する景のように思えました。

新緑や輪廻転生石段も

 人の参拝登山で摩耗、崩れては、その隣に新たな石段をつくる人々の永々と続く素朴な営み。

投入堂の参拝終ふや桐の花 

 投入堂参拝登山という長年の夢が七十路にしてかないました。修験の地から俗人の地に帰り、喜び、ほっとしてかの谷川天狗堂への階段を降りようとした時、視界に飛び込んできたのがこの花です。往きに通った道ですが、その時は気が付きませんでした。そして、初めて見る花で、先達・御舩さんが花の名前を教えてくれました、桐の花・・・。忘れられない人生の一コマとなるような気がします。

 

店の昼餉は朝摘み初夏山菜

 参拝登山を無事終えた後のこの山菜天ぷらとお蕎麦は格別でした。

    三徳山登山口 谷川天狗堂

 

その3(三徳山・三佛寺・投入堂)終わり

次は、島根県に入りまして、足立美術館、月山富田城跡、和鋼博物館です

 

 

 

 

 


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