元外資系企業ITマネージャーの徒然なるままに

日々の所感を日記のつもりで記録

(SLS-2) 雨の日はバスに乗って

2014-07-28 21:36:08 | ショートショート
雨が降らなければ自転車で駅まで通う。雨の日は母さんがバス代をくれるのでバスに乗って駅まで行く。そのバスにはいつも彼女が乗っている。どこから乗るのか知らないが、同じA駅で降りて彼女は自分の学校であるT学園行きのバスの乗り換える。
さすがに進学校の生徒である彼女は、いつも一番後ろの左側の席に座って僕などに目もくれないで参考書を必死に読んでいる。これじゃバスの中での出会いという素敵な恋のチャンスを失くしてしまうと思うけど。
僕は雨が降っていない日に彼女に会うために早めに駅に行って、彼女がバスから降りてくるのを待った。思い切って声をかけて友達になりたい。しかし、いくら待っても彼女は降りて来なかった。次の日も、次の日も、彼女は降りて来なかった。彼女も雨の日だけバスで通学するのかと思って、駅で待つことを諦めて雨が降るのを待ったが、降らない日が続いた。
野球部の僕は土曜日に市内野球大会が、彼女が通うT学園で行われる。T学園は私立なので土曜日でも授業はある。幸い僕は午前中に試合がある。試合が終わった午後に僕は彼女が校舎から出てくるのを待った。そしてついに彼女が出てきた。自転車置き場に歩いている。僕は彼女の後をつけて、今日こそ声をかけてみようと思っている。彼女は自分の自転車にまたがると白いヘルメットをかぶり、黒縁のメガネをかけて、物凄い勢いで、スピード出して走り去ってしまった。
彼女は、奴だったのか?僕は知っている危ない暴走女がいることを。通学時に何度も僕の自転車を抜かして行った危ない運転をする怖いもの知らずの暴走女、ヘルメットと黒縁メガネで全然気づかなかったが、彼女はあの暴走女だったか。そうとわかれば、次の月曜日は彼女と競争だ。

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