元外資系企業ITマネージャーの徒然なるままに

日々の所感を日記のつもりで記録

エドマンド・リーチの時間のデザインの観点からERPプロジェクトを言及してみる

2015-05-24 08:51:48 | 芸術(美術展・映画・コンサートなど)
1.はじめに
 私は会社の情報システム部でIT関連の仕事をしている。ERPと言われる会社の業務プロセスをサポートするアプリケーションを導入するプロジェクトマネージャーをやったことがあり、その経験を「時間のデザイン」の観点から言及してみる。

2.ERPとは
 ERPとはエンタープライズ・リソース・プランニングの略であり、目的は業務アプリケーションを導入して最少の人・物・金というリソースで最大の効果(生産性)を上げる事である。具体的にはコンピューターが人の仕事を減らしたり、人に取って代わることで人件費を減らすことを経営者は目標としている。

3.プロジェクトマネージャーの役割
 タスク管理、スケジュール管理、コミュニケーション管理、コスト管理、ベンダー管理など、プロジェクトの全般を管理する。

4.ERP導入プロジェクトをエドマンド・リーチの通過儀礼論を軸に言及する

4.1 日常の時間から非日常の時間への移行時の形式性
 プロジェクトのスポンサー、ステアリングコミッティ―、及び全メンバーを招集しプロジェクトキックオフ会議を開催することで、正式にプロジェクトがスタートする。

4.2 日常の時間からの分離
 プロジェクトメンバーは日常業務から切り離され、それぞれの役割に応じたタスクと呼ばれる仕事を遂行する。日常業務を兼務する場合もあるが、プロジェクトでのタスクの遂行が最優先される。

4.3 非日常の時間での移行・境界(役割転倒・逆転)
 スケジュールにのっとり、タスクを遂行していく。最初は、アプリケーションの操作方法を覚えるとともに、新しい業務プロセスの評価も合わせて行い、コンピューターのやる仕事、人がする仕事を振り分け、その人のする仕事を各部署の役割分担として定義していく。

4.4 非日常の時間から日常の時間への乱痴気騒ぎ
 プロジェクト終了時にはクロージング会議を行い、正式にプロジェクトは終了する。打ち上げという名の宴会が行われるケースが多いが、会社組織なので乱痴気騒ぎになることはない。宴会では組織の上下の隔てなくプロジェクトでの苦労をねぎらいあうが、ERPの場合は人を減らす事も目標の一つであるのでプロジェクトメンバーの異動(退社を含む)を兼ねる場合もある。

4.5 新たな日常の時間へ統合
 ERPアプリケーションが正式にリリースされた日より、新たらな役割分担による新しい業務プロセスが始まる。最初はリリース前にいくらトレーニングをしたからと言っても、まだアプリケーションの操作に慣れていないので戸惑う人たちが多い。

5.最後に
 ERP導入プロジェクトの場合、日常から非日常、また日常へと進むが、新たな日常は以前の日常ではなく業務プロセスが連続していないところに特徴がある。

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