おっちゃんの世界史の栞 8
(1)古代オリエント世界 2
2 東部地中海沿岸諸国
★カッシート
・前16世紀バビロニアにカッシート朝(バビロン第3王朝とも)を建てるが、前12世紀なかばにエラムの攻撃で滅亡。
★ミタンニ
・前16~前14世紀に北メソポタミア、北シリアを支配したフルリ人の王国。
・馬と戦車をオリエントに広めた
・最盛期にはアッシリアを支配下におき、エジプト、ヒッタイト等と拮抗したが、前14世紀にヒッタイトに敗れ、その後アッシリアに滅ぼされた。
★ヒッタイト
・1750年頃ハットュシャ(現在のボアズキョイ)を首都とする王国を建てた
・前16世紀はじめにバビロン第1王朝を滅ぼした
・その後、ミタンニを破りシリアに進出してエジプトと争い(カデシュの戦い)、前14世紀に最盛期を迎えた。
・カデシュの戦い
前1286年にシリアの要塞都市カデシュでヒッタイトのムワタリとエジプトの第19王朝の王ラメス(ラメセス)2世が戦車で戦った。
敗北したラメス2世は講和してヒッタイトの王女をめとった。
・カデシュの戦いの戦後、最古の成文化された平和条約が結ばれた。
・王は神格化されず(死後は神格化された)、貴族のなかの第一人者という性格だった。
・王は最高の裁判官、祭司、将軍で、王妃の地位は高かった。
・寛大な立法、罰金刑と禁固刑、男女の権利の保護が施行された。
・馬と戦車(2輪馬車)を使用したほか、最初に鉄製武器を使用した。
・それまで鉄は知られていたが高温で熱しないと武器として使い物にならない金属だった。
・ヒッタイト人は製鉄技術を発展させ(前1400年ごろ浸炭法によって鋼の製造に成功した。風を送るフイゴを発明して高温を得た)鉄を武器として使える金属に仕上げた。
・トルコのカマン・カレホユック遺跡から出土した鉄器がヒッタイトが成立する400年以上も前のものであることが判明した。
・製鉄技術はヒッタイト人のオリジナルではなく、改良技術であるという見方が出てきた
・ヒッタイト人はこの製鉄技術を国の最高機密にしていた(しかし交易品としたり、服従を誓う近隣の王への贈り物としていた)ので、ヒッタイトだけがもつ従来の青銅にまさる強力な武器によって周辺を圧倒した。
・また、スポーク付きの車輪、こしきは鉄製という2輪軽戦車の改良に成功した。
・馬は戦車馬として軍用に使うためには綿密な調教が不可欠であったが、前1400年代なかばごろには、ヒッタイト語で記された詳細な馬の飼育、手入れ、治療法や訓練のための「調教文書」があり、おそらく戦車馬専用の訓練施設がヒッタイトの軍事基地周辺に存在していた。
・ヒッタイト滅亡とともに、秘密の製鉄技術が知られるようになり、オリエントは鉄器時代となる。
・鉄器は青銅器よりも普遍的な性格を持っており、支配階級だけではなく庶民の道具としても利用された。
・ヒッタイトは前12世紀はじめ「海の民」の侵入によって滅ぼされた。
★アラム
・アラム人は前1300年ごろシリアに入り、ダマスクスを中心にアラム王国を建てた。
・アラム王国は前732年、アッシリアに滅ぼされた
・アラム人はラクダによる隊商を組織し、内陸貿易で栄えた。
・アラム人の交易活動によって、アラム語はオリエントの国際商業語となり、のちアッシリア、新バビロニア、アケメネス朝ペルシアの外交・通商用語などの公用語としても使用された。これは7世紀にイスラーム教の拡大とともにアラビア語が普及するまで続いた。
・ユダヤ教の経典の一部はアラム語で書かれ、イエスもアラム語を話したという。
★フェニキア
・前10世紀ごろより現在のレバノン南部(レバノン山脈と地中海にはさまれた細長い地帯)にビュブロス、シドン、テュロスなどの都市国家を築いた。
・この地帯は良港と良質の木材(レバノン杉)に恵まれており、高い造船技術・航海術によって地中海での海上交易に従事しギリシアと覇を競った。
全盛期には、大西洋やインド洋にまでおよんでいた。
〈レバノン杉〉
・まっすぐで丈夫なレバノン杉は船のマストに欠かせなかった
・腐りにくく虫に強く、材質が緻密で磨くとツヤがでて、芳香性があった。
・建材、船材、墓材、香油(ミイラの防腐剤)などに使用された。
・エジプトはレバノン杉を輸入していた。
・レバノン杉は神聖な木とされ、ツタンカーメン王の人型棺はレバノン杉でできていた。
・クフ王のピラミッドから発見された「太陽の船」もレバノン杉でできていた。
・レバノンの国旗にはレバノン杉が描かれており、力・高潔・永遠を象徴している。
・フェニキアが築いた最大の植民市は前9世紀後半に建設したカルタゴである。
・カルタゴはローマとの3次にわたるポエニ戦争(ローマ人はフェニキア人をポエニと呼んだ)によって前146年に滅亡した。
・紫の染色やガラス工芸で知られる。
・22個の子音記号からなる表音文字(フェニキア文字)を発明し、前9世紀ごろフェニキア文字がギリシアへ伝えられギリシア文字が生まれ、改良されて今日のローマ字のアルファベットができた。
★ヘブライ
・ヘブライ人(みずからはイスラエル人と称した。バビロン捕囚後はユダヤ人と呼ばれることが多い)は前1500年ごろパレスチナに移住、定着した。
・ヘブライ人の一部はエジプトにも移住したが、前13世紀ごろモーセに率いられてエジプトを脱出し(出エジプト)、「約束の地カナン(パレスチナの別称)」に入って定住した。
・その途上、モーセはシナイ山に登って啓示を受け、ヤハウェを唯一絶対の神と認める契約を結んで、10カ条の律法(十戒)を授かったとされる。
・しかし、ヘブライ人がこのとき実際にシナイ山を訪れたという確かな証拠はない。
・「出エジプト」のエピソードは旧約聖書の記述のほかに証拠はない。「モーセ」という名だったかどうかはわからないが、エジプトからの脱出を指揮しイスラエル人を統率した偉大な指導者が実在したのであろう。
・「十戒」の存在も「モーセ」が生きたとされる時代よりかなりあとになるまで、その存在を確認することはできない。
・モーセの遺志を継いだヨシュアに率いられ、カナンの地を征服したヘブライ人は前1000ごろイスラエル王国(ヘブライ王国)を建設した。
・ヘブライ王国第2代の王ダヴィデはエルサレムを都とし、統一王国の基礎を築いた。
・ダヴィデの子のソロモンはヤハウェの神殿を建設するなど「ソロモンの栄華」を誇った。
・ソロモンの死後、王国は南北に分裂した。
・北のイスラエル王国(首都サマリア)は前722年アッシリアに滅ぼされる。
・南のユダ王国(首都エルサレム)は新バビロニアの攻撃、征服を受け、多くのユダヤ人がバビロンに連れ去られて奴隷にされた。(バビロン捕囚、前586~前538)
・前538年、新バビロニアを破ったアケメネス朝ペルシアのキュロス2世によりバビロンから解放された。
・ユダ王国はペルシア帝国の属国となった。
・帰国したユダヤ人はエルサレムに神殿を建てユダヤ教を成立させた。
・ユダヤ教の唯一絶対神ヤハウェを表わすYHWEは「神聖四字」と呼ばれヘブライ語をラテン語に置き換えたもの。みだりに唱えてはならないとされ(十戒の第2戒(神名濫唱禁止))、代わりに「アドナイ(わが主)」と発音していた。
・キリスト教の「エホバ」は宗教改革のころ、YHWEに子音をつけて誤読したもの。
・イスラエルの預言者は説教者であり、詩人であり、政治や権力の批評家でもあった。
・ユダヤ教の聖典は「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」の律法(トーラー)とミシュナ(口伝律法)とミシュナの注釈を集大成したタルムード
(1)古代オリエント世界 2
2 東部地中海沿岸諸国
★カッシート
・前16世紀バビロニアにカッシート朝(バビロン第3王朝とも)を建てるが、前12世紀なかばにエラムの攻撃で滅亡。
★ミタンニ
・前16~前14世紀に北メソポタミア、北シリアを支配したフルリ人の王国。
・馬と戦車をオリエントに広めた
・最盛期にはアッシリアを支配下におき、エジプト、ヒッタイト等と拮抗したが、前14世紀にヒッタイトに敗れ、その後アッシリアに滅ぼされた。
★ヒッタイト
・1750年頃ハットュシャ(現在のボアズキョイ)を首都とする王国を建てた
・前16世紀はじめにバビロン第1王朝を滅ぼした
・その後、ミタンニを破りシリアに進出してエジプトと争い(カデシュの戦い)、前14世紀に最盛期を迎えた。
・カデシュの戦い
前1286年にシリアの要塞都市カデシュでヒッタイトのムワタリとエジプトの第19王朝の王ラメス(ラメセス)2世が戦車で戦った。
敗北したラメス2世は講和してヒッタイトの王女をめとった。
・カデシュの戦いの戦後、最古の成文化された平和条約が結ばれた。
・王は神格化されず(死後は神格化された)、貴族のなかの第一人者という性格だった。
・王は最高の裁判官、祭司、将軍で、王妃の地位は高かった。
・寛大な立法、罰金刑と禁固刑、男女の権利の保護が施行された。
・馬と戦車(2輪馬車)を使用したほか、最初に鉄製武器を使用した。
・それまで鉄は知られていたが高温で熱しないと武器として使い物にならない金属だった。
・ヒッタイト人は製鉄技術を発展させ(前1400年ごろ浸炭法によって鋼の製造に成功した。風を送るフイゴを発明して高温を得た)鉄を武器として使える金属に仕上げた。
・トルコのカマン・カレホユック遺跡から出土した鉄器がヒッタイトが成立する400年以上も前のものであることが判明した。
・製鉄技術はヒッタイト人のオリジナルではなく、改良技術であるという見方が出てきた
・ヒッタイト人はこの製鉄技術を国の最高機密にしていた(しかし交易品としたり、服従を誓う近隣の王への贈り物としていた)ので、ヒッタイトだけがもつ従来の青銅にまさる強力な武器によって周辺を圧倒した。
・また、スポーク付きの車輪、こしきは鉄製という2輪軽戦車の改良に成功した。
・馬は戦車馬として軍用に使うためには綿密な調教が不可欠であったが、前1400年代なかばごろには、ヒッタイト語で記された詳細な馬の飼育、手入れ、治療法や訓練のための「調教文書」があり、おそらく戦車馬専用の訓練施設がヒッタイトの軍事基地周辺に存在していた。
・ヒッタイト滅亡とともに、秘密の製鉄技術が知られるようになり、オリエントは鉄器時代となる。
・鉄器は青銅器よりも普遍的な性格を持っており、支配階級だけではなく庶民の道具としても利用された。
・ヒッタイトは前12世紀はじめ「海の民」の侵入によって滅ぼされた。
★アラム
・アラム人は前1300年ごろシリアに入り、ダマスクスを中心にアラム王国を建てた。
・アラム王国は前732年、アッシリアに滅ぼされた
・アラム人はラクダによる隊商を組織し、内陸貿易で栄えた。
・アラム人の交易活動によって、アラム語はオリエントの国際商業語となり、のちアッシリア、新バビロニア、アケメネス朝ペルシアの外交・通商用語などの公用語としても使用された。これは7世紀にイスラーム教の拡大とともにアラビア語が普及するまで続いた。
・ユダヤ教の経典の一部はアラム語で書かれ、イエスもアラム語を話したという。
★フェニキア
・前10世紀ごろより現在のレバノン南部(レバノン山脈と地中海にはさまれた細長い地帯)にビュブロス、シドン、テュロスなどの都市国家を築いた。
・この地帯は良港と良質の木材(レバノン杉)に恵まれており、高い造船技術・航海術によって地中海での海上交易に従事しギリシアと覇を競った。
全盛期には、大西洋やインド洋にまでおよんでいた。
〈レバノン杉〉
・まっすぐで丈夫なレバノン杉は船のマストに欠かせなかった
・腐りにくく虫に強く、材質が緻密で磨くとツヤがでて、芳香性があった。
・建材、船材、墓材、香油(ミイラの防腐剤)などに使用された。
・エジプトはレバノン杉を輸入していた。
・レバノン杉は神聖な木とされ、ツタンカーメン王の人型棺はレバノン杉でできていた。
・クフ王のピラミッドから発見された「太陽の船」もレバノン杉でできていた。
・レバノンの国旗にはレバノン杉が描かれており、力・高潔・永遠を象徴している。
・フェニキアが築いた最大の植民市は前9世紀後半に建設したカルタゴである。
・カルタゴはローマとの3次にわたるポエニ戦争(ローマ人はフェニキア人をポエニと呼んだ)によって前146年に滅亡した。
・紫の染色やガラス工芸で知られる。
・22個の子音記号からなる表音文字(フェニキア文字)を発明し、前9世紀ごろフェニキア文字がギリシアへ伝えられギリシア文字が生まれ、改良されて今日のローマ字のアルファベットができた。
★ヘブライ
・ヘブライ人(みずからはイスラエル人と称した。バビロン捕囚後はユダヤ人と呼ばれることが多い)は前1500年ごろパレスチナに移住、定着した。
・ヘブライ人の一部はエジプトにも移住したが、前13世紀ごろモーセに率いられてエジプトを脱出し(出エジプト)、「約束の地カナン(パレスチナの別称)」に入って定住した。
・その途上、モーセはシナイ山に登って啓示を受け、ヤハウェを唯一絶対の神と認める契約を結んで、10カ条の律法(十戒)を授かったとされる。
・しかし、ヘブライ人がこのとき実際にシナイ山を訪れたという確かな証拠はない。
・「出エジプト」のエピソードは旧約聖書の記述のほかに証拠はない。「モーセ」という名だったかどうかはわからないが、エジプトからの脱出を指揮しイスラエル人を統率した偉大な指導者が実在したのであろう。
・「十戒」の存在も「モーセ」が生きたとされる時代よりかなりあとになるまで、その存在を確認することはできない。
・モーセの遺志を継いだヨシュアに率いられ、カナンの地を征服したヘブライ人は前1000ごろイスラエル王国(ヘブライ王国)を建設した。
・ヘブライ王国第2代の王ダヴィデはエルサレムを都とし、統一王国の基礎を築いた。
・ダヴィデの子のソロモンはヤハウェの神殿を建設するなど「ソロモンの栄華」を誇った。
・ソロモンの死後、王国は南北に分裂した。
・北のイスラエル王国(首都サマリア)は前722年アッシリアに滅ぼされる。
・南のユダ王国(首都エルサレム)は新バビロニアの攻撃、征服を受け、多くのユダヤ人がバビロンに連れ去られて奴隷にされた。(バビロン捕囚、前586~前538)
・前538年、新バビロニアを破ったアケメネス朝ペルシアのキュロス2世によりバビロンから解放された。
・ユダ王国はペルシア帝国の属国となった。
・帰国したユダヤ人はエルサレムに神殿を建てユダヤ教を成立させた。
・ユダヤ教の唯一絶対神ヤハウェを表わすYHWEは「神聖四字」と呼ばれヘブライ語をラテン語に置き換えたもの。みだりに唱えてはならないとされ(十戒の第2戒(神名濫唱禁止))、代わりに「アドナイ(わが主)」と発音していた。
・キリスト教の「エホバ」は宗教改革のころ、YHWEに子音をつけて誤読したもの。
・イスラエルの預言者は説教者であり、詩人であり、政治や権力の批評家でもあった。
・ユダヤ教の聖典は「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」の律法(トーラー)とミシュナ(口伝律法)とミシュナの注釈を集大成したタルムード