北海道言友会 公式ブログ

吃音者(どもる人)でつくるセルフ・ヘルプ・グループ 北海道言友会

パンをかじりながら~8月11日のマンデーナイト吃音カフェ

2014-08-12 18:59:15 | 活動報告
 8月11日は、男性3人がパンをかじりながら話しているというカフェでした。話題は“転職”。まさに「パンの問題」でした。一般的に転職をする最後のチャンスは30代だそうです。それまでの経験と知識を生かした職種、業界で働こうとするので、退職するまでに人脈を作っておいてというパターンが一般的だと聞きます。中には全く違う職種への転身をする場合も。その場合は、新しい職業に必要なノウハウ、資格等をしっかり準備をしてからの転職がお勧めのようです。
 しかし吃音のある私達はそこまで準備をしないうちに転退職を余儀なくされる場合もあります。ほとんどの場合は、吃音が関係した人間関係のようです。企業側からすると吃音があることで幾分かの戦力ダウンになると考えるのでしょうか。わたしたちがうまく話せないことに納得できない場合があるようです。働く以上はほかの人と同じことが出来て当然。もしできないなら賃金カットか最悪やめてもらうしかない。そうなりたくなかったらもっと頑張って話す努力をしたらどうだと言われた方々もいるのではないでしょうか。
 私たちは、「吃音のために話しにくい」ということがあることは自覚しています。ですが自分の吃音はどういう吃音で、どういうことに弱いのか、どういうことなら大丈夫かということまで把握しているでしょうか。むしろ「話す内容には問題が無いはずだ」と自負しているのに、内容が伝わりにくいということで企業側から受け容れられないでいると感じているでしょうか。
 従来の考え方だと、吃音がいくら出てもかまわないから吃音を前面に出して話し続けることがいいことだと主張する考え方と、流暢な話し方を求められる職業は避けて、できるだけ話さなくてもいい職業に変わってもいいのではないかという考え方のどちらかだと思われていたようです。
 しかし吃音のある当事者としては、話し方が思うようにいかない状況にある時にはなかなか「いいじゃないか」とは思えないでしょうし、「本当にやりたい仕事をだった」のを諦めるということも難しいのではないでしょうか。もっとも、精神的に参ってしまったり、自殺を考えたりするくらいなら仕事を辞めた方が得策です。
 問題点はなんでしょうか。こういう問題は吃音の認知度の向上だけでは無理なようです。差別の解消を訴えても「この職業では吃音は欠格条項に入っています」と言われれば仕事を続けることは難しくなるでしょう。しかし欠格条項に吃音が入っているものは少ないとは思いますが「暗黙の条項」はアンフェアだと思っています。フェアに「吃音がある人はこの企業のこの職種には向かない。別な職種なら大丈夫だ」という明確な条項をエアして欲しいと思っています。すると私達の職業選択の可能性が広がるのではないでしょうか。
 その上で職場の責任者と十分に話し合い、電話番はしなくてもいいようにしてもらうとか、朝礼の声出しはしない、説明の時には時間がかかったり図表やメモを使うことを認めてもらう等々の配慮が可能になると思います。それらは個々人の吃音の状態にもよるでしょうし、職業や職種によっても要求されることが違うので、配慮して頂きたいことを明確にすることが大事だと思います。これができるとかなり仕事がしやすくなるのではないでしょうか。
 つまり一般的な「話し終わるのを待ってほしい」だけではあまり理解を得られないかもしれないと思います。待つは待つでもイライラしながら待たれるでは決してお互いのために良くないように思います。知識:吃音とは何なのか、理解:どういう状況が話しにくいのか、対応:どうしたら少しでも働きやすくなるのかということが一つとして伝わるようなことが大事なのだと思います。ここまで考えてくると、吃音のある人自らが自分の吃音や合理的配慮について語れるようになるためのツールが必要な気がします。こういうことをまたいつか話してみたいですね。

 次回は8月18日(月)午後7時~9時。札幌エルプラザ2階、打合せコーナーのどこかのテーブルに「マンデーナイト吃音カフェ」と書いたあまり目立たない看板を立ててお待ちしております。
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