北海道言友会 公式ブログ

吃音者(どもる人)でつくるセルフ・ヘルプ・グループ 北海道言友会

発話運動?それとも構文能力?  8月18日のマンデーナイト吃音カフェの話題

2014-08-23 13:34:11 | 活動報告

 「私はどうしてどもりなんだ。」という問いは私にとって“馴染み深い問い”です。同時に心を暗くする問いでもあります。吃音のある方でしたら何度も自問自答したことがあると思います。その答えを、「親の育て方が悪かったから私は吃音になった」というところに求める人達もいます。「吃音は個人の心の弱さに原因がある」という人達もいます。責任の所在と思われるものを自分で決めるとそこに過去の清算を求めようとするのが人間の性というものだと思います。
 私自身は頭の中にあることをついつい口に出す人間です。そのため、ちょっと待った方がいいことも「今でしょ」と思って言ってしまうことがあります。結論を先に言ってしまって相手を傷つけることもあります。つい最近もそういうことがあり、10年来の友達を一人遠ざけてしまいました。それ以来その友人に謝ることもできずに、ちょっと落ち込んでいます。
 さて吃音のある人達の中には、話し方を練習したら吃音が治るか軽減するのではないかと期待している人達がいます。これは吃音を話す時(発話運動の際)に、リズムに乗った話し方がうまく行かないからでこぼこした話し方をしてしまうという考え方です。脳機能の中でもリズムに乗って話し方を滑らかにコントロールするところがうまく働かないのだろうと考えているようです。ですから、意識してスムーズに話すトレーニングをすると、脳機能を改善することができるだろうと予想するのです。トレーニングを続けることによってやがて自でスムーズな会話ができるようになるだろうということのようです。
 その一方で「話そうとすると頭の中が真っ白になってしまう」と、訴える人達もいます。書くときはどうかと聞くと、「文章は頭の中に浮かんでくるのさ」と言う人と、「文自体がうまく浮かんでこないんだ」と言う人がいます。一旦文章を作っても、それを音声として伝えようとするときに“伝えるべき内容”よりも“話し方の特徴である吃音”のことが気になる。「ドキドキして文書がどこかに行ってしまう」という表現も聞いたことがあります。また、文章自体が浮かんでこない場合は、「心の中に思いはあるのですがそれを言葉にしようとすると出てこないんです」ということも聞いたことがあります。“思い”を“ことば”として“文字化”、“音声言語化”するときにうまく行かないようです。
 どちらも表面上は『こ・こ・こんにちは、…』、『私、私、私は…』、『・・・ですか・・・ら』等と様々な吃音の症状を出します。それで「吃り」とか「吃音者」という分類に入るのだろうと判断されます。アドバイスは「もっと落ち着いて話したら」、「ゆっくり話したらいいよ」というものが大半です。このアドバイス、全然しっくりきませんね。
 皆さんは、吃音はシンドローム(ナントカ症候群)であって、表面上は同じような症状を示しても、原因や治療法は違うかもしれないと考えたことはありませんか。2~5歳の小さい頃に始まった吃音と、中高生や大人になってから始まった吃音は、もしかしたらタイプの違う吃音と考えた方がいいのかもしれません。前者は発達性吃音とでも言えるのでしょう。後者は何らかの心理的負担がかかったというエピソードを伴うことが多いようです。
 世間では、短時間で、正確に、臨機応変に情報を伝えることが良いとされています。こういう世間では、吃音のある私たちは様々なところで「タイムプレッシャー」という壁にぶつかります。時には「この先通行止め」のように、「吃音があると、この学科・職業は向きません」と明示してあるところもあるかも知れません。ところがほとんどの場合はこの壁は見えない壁であり、ぶつかって傷ついてから「あなた方吃音のある人はわが社には入れませんよ。そのぐらい常識でわかるでしょう」と言わんばかりの“入社拒否”に遭遇するのです。勉学の場合は選択し終えてから「あなたは吃音があるのでこの学部には向かない」と言われることもあります。本当は、学問や職業を選ぶ段階で“欠格条項”として明示されていた方が“フェア”だと思うのです。その方が自分は何を克服する課題としたらいいのかということが見えてくるのではないでしょうか。自分が進みたい進路のためにはどんな努力が必要かを知ることが出来ます。或いは別な道を選択することも可能になうのではないでしょうか。
 文字にすると堅苦しいですが、こんなことを話し合った夜でした。私の感想も含めてご報告いたします。さて、次はどんなことが話題になるでしょうか。色々なティーバッグを用意してお待ちしております。カフェインレスのインスタントコーヒーもあります。冷たいお飲み物やご自分専用のものは用意していらして下さい。参加費はお一人100円です。
 月曜の夜、午後7時~9時はマンデーナイト吃音カフェが開店しています。場所は札幌駅北口の正面に見える札幌エルプラザの2階、市民活動サポートセンターの打合せスペースです。オープンスペースなのでちょっと抵抗があるかも知れません。でも周囲は私たちのことを全く無視しているようにワイワイ話しています。どうぞ、お気軽においでください。
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