随所に東野さんらしい描写が詰め込まれていました。その変化に気づいたようであれば、もうマニアと呼んでもよいかな。
<あらすじ(抜粋)>
学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して……。第2の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実!
前回に続き、またも密室を題材とした作品になってしまいましたが、完全に偶然です(笑)
学生街をテーマとしているが、登場人物に学生はほとんどいない。学生街で暮らしている住人がキーマンとなり、平穏な日々を過ごしていた中で起こった殺人事件を解決させていくというストーリーとなっている。
いくつか殺人事件が起こっていたが、どれも共通点が見つからなかったところが興味を惹かれるポイントとなった。犯人はある程度推測できても、動機については「そういえばそんな描写があったな」と驚かされるものばかりだった。いくつか散りばめられていた伏線を最後になって回収していくところも面白かった。最後はサクッと読み進めてしまいたいところを、思わず読み返してしまうくらいしっかりと構成されていた。
学生街というテーマ自体は珍しい部類に入るが、そこに恋愛の描写や工学系の要素を取り入れることで東野さんらしい作品に仕上がっている。次に読みたいと思う作品はきまっていないが、どれを読んでも絶対楽しめるという期待感がある。
とはいえ、最近は殺人系の作品しか読んでいないような気がするし、安倍さんの件もあって殺人という題材には距離を置きたいとも思っているので次の次はちょっとほっこり系の作品にしようかなと思っている。ちなみに次の作品は既に買っていて、殺人ではなさそうだがちょっと胸糞悪そうな結末になりそうな作品である。
じゃこの辺で
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