キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション (日本経済新聞出版) 延岡健太郎 (著)
日本の製造業の中でもトップともいえる営業利益率≒40%を有するキーエンスの本はいくつか出ていますがこの本は実際に会社への公認の取材などを踏まえて体系的にまとめられており、最も原理を明らかにした本だと感じました。 ポイントは端的に言えってしまえば顧客企業の生産、製造工程、開発プロセスを変革させて顧客の利益を最大化(倍化)させることが出来る企業であるということにあります。 つまり自分目線ではなく徹底的に顧客目線、だからこそ多少高くても最終的に利益の上げられるが製品として喜んでお客さんが使ってくれるのに加えて競合に対して差別化が図れている会社になっているということなのかと思います。原料から製品が出来た時に一定の付加価値がつくわけですが商品は単なるモノでなくお客さんがそれを使ってさらに利益を上げるテコになっているというのがポイントなのでしょう。
ただこれが簡単ではないのが顧客企業の口では出さない(または気が付けていない)潜在的な問題や欲求を先回りして提示し、問題の解決に向け具体的な提案をするというものだということです。
これを実現するために組織自体はフラットで横のつながりが強く営業と技術が近い場所にいてフィードバックが速かったり、営業といってもいわゆる技術営業+コンサルタント的な要素までをカバーしているというのも要素としては挙げられるのかと思います。ただ根本的な原理のお客さんの価値を上げる…という価値判断基準があって全社でそれが共有されているからこそ取り組むべき分野や切込みを間違うことがないのでしょう。
またこの強さを裏付けているのはその潜在的な問題を解決することのできる製品の開発能力です。(本書でもクランプオン式流量センサ、2次元形状測定器、レーザ元素分析ヘッドなど紹介あり)いわば営業/コンサル力と問題解決のできる製品開発能力の両輪があるからこそ成り立っている会社(=技術革新とソリューションの相乗効果)なのだと理解できる内容でした。ただこれと同じことを他の分野でも実施できるか‥学ぶべき点は学びながらその市場に応じたやり方は最適化する必要があると感じました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます