Takekida's log

千里の道も一歩から

やはり2位ではだめだった計算機のF1

2021-05-15 21:07:39 | Books
 2020年に世界一を達成したスーパーコンピュータの富岳に焦点を当て開発責任者や、最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材を重ね、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望 した本。スーパーコンピュータは計算機のF1と言っても良いのかなあと個人的には思いますがある意味、コンピュータの頂点を競う世界です。20年は計算機のランキングTOP500だけでなく実用アプリ性能のHPCG、AI分野のHPL-AI、ビッグデータ解析指標のGraph500などで4冠を達成。背景には専用マシンとして使いにくくなってしまったスパコンの仕様を見直しARMのアーキテクチャを採用していることなど汎用性を図ったことと日本がかつて得意としていたベクトル演算を用いるようにしたこと(SVEと呼ばれる可変型のベクトルレジスタ)ということで今まで受け継がれていた計算機技術をうまく組み合わせできたことも良かったのかなと思われます。(CPUのA64FXはクレイコンピュータ製品にも採用) 年々性能が上がるのが計算機の世界なので次世代のエクサバイトの時代にどうなっているかは不明ですが世界のトップクラスの計算機を構成する力というのは近年、多くのIT企業が独立したCPU/TPU/GPUなど作ろうとしている背景からも基盤含めて大切なことと思います。 あとはこれを使って何ができるかというところまでつながれば言うことなしなのですが。 日本は先端ロジックの製造技術からは脱落していますが汎用品、規模含めた真っ向勝負というよりはこういったややニッチなところ含め得意分野を着実に生かして生き残っていくのが良いのかとは個人的には思います。
 学生時代はこの本にも出てきたベクトル演算の計算機であるNECのSX-5を使わせてもらって計算していたことを思い出しました。SX-5は4TFLOPS、富岳は416PFLOPSなので100000倍のスピードなわけでものすごい進化を続けている分野であることは間違いありません。
 次のポイントはやはり量子コンピュータ。まだまだ汎用性のあるようなことはできないのですが果たして誰が汎用性のあるものまでたどり着けるかが次世代の覇権を握るためのキーとなるように思います。(日本からも量子アニーリングや超電導量子ビットなどの開発など基礎研究進んできており、いかにこういった基盤研究を継続することが重要かと感じます。)
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