国会図書館の本を読みやすく

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小さき花-第4章~26

2021-10-20 21:32:29 | 小さき花

 そのころ私は親友として同年の二人の小さき友を選びました。しかし人々の心は如何にも狭きこと、そのうち一人は数か月のあいだ、家に帰らねばならぬようになりました。しかも、私は子の不在の間でも常にその友の事を思い、再び学校に帰った時には、大いなる喜びを以って迎えましたが、彼女は一向に無頓着で私の友情を少しも悟りませんでしたから、我が愛を悟らないということを強く感じました。強いてこんな儚い愛情を決して求めませんでした。しかし、天主様は特に忠実の心を与えてくださったので、私は、一度誰かを愛せば、いつまでもその愛情を続けております。この友人のためには尚続いて祈り、今日でも彼女を愛しております。
 

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小さき花-第4章~25

2021-10-19 21:29:55 | 小さき花

 私はこの忘れる事の出来ない、愉快な喜ばしい初聖体、堅信の両秘蹟を受けた翌日からまた生徒となって学校に通いました。学校ではいつも成績が良く、学ぶ事はみなその意味を容易く記憶することが出来ました。しかし言葉通りに暗記することは非常に困難でありましたが、そのうち公教要理の暗記は立派に成功しました。この時分司祭は私を指して「小さき博士」と申しておりましたが、大方これは私の名が聖女テレジアと同じでありましたから、その名に対してであったと思います。そして休憩の時間には、いつも少し離れて生徒達の遊びを眺めつつただ一人高尚な問題について考え耽っておりました。私にとってこれは得意の気晴らしであったのです。また気に入る遊び方を工夫し、大きな樹の下に落ちてくる哀れな小鳥の死骸を探し拾い、同じ芝の中へ丁寧に葬って遊んでおりました。またときどき昔話などして聞かせておりましたが、後には大きな生徒達も遊びを止めてこれを聴きに来るようになりましたので、童貞から「今は遊び走る時間であって、口走る時間ではない」と云われ、終にこの弁士のお話しが禁められました。

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小さき花-第4章~24

2021-10-18 21:28:52 | 小さき花

 私は初聖体の後、間もなく堅信の秘蹟を受ける為再び黙想会に入りました。私はこの秘蹟を受けるために特に熱心なる注意を以って聖霊を受ける覚悟に勉めました。そしてこの秘蹟を受ける日が都合によって少し延びましたので、それだけ長く黙想する事が出来ました。私の霊魂が昔の使徒たちの如く、約束された慰めもの即ち聖霊のたまものを受ける事を待ち完全なる信者となる秘蹟を受ける事を望み、この秘蹟によって私の額に永遠に遺る十字架の印を刻み付けられる事を如何に望んでおりましたでしょうか。私は使徒たちの上に、初めて聖霊が天下った時の様な、大風を感じずむしろエリアスの預言者がオリーブ山の上に聞いたような、そよ吹く暖かな風に迎えられつつ、穏やかにこの聖きたまものを受けました。その日には私のために必要なちから……苦難に耐える力を受けました。即ち私はこののち間もなく霊魂上ひどい苦しみに遭わねばならぬ筈でありましたら、この力が必要であったのであります。

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小さき花-第4章~23

2021-10-17 21:27:34 | 小さき花

 私はまた一つの大なる望みが起こりました。それは天主様のみを愛する事、天主様のみを想うて喜ぶという事でありまして、私は聖体拝領後の感謝の祈祷の中に度々「ああ主よ、口に言うべからざる甘味よ、願わくは現世の全ての快楽を私のためにことごとく憂いに変え給え(キリストの模範3の26の3)という言葉が自然に出ますので、ちょうど子供が愛する人から聞いた言葉が、たとえ意味が分かりませんでも、これを繰り返しているように、私もこの言葉をそのまま繰り返しておりました。そして聖主がいかにして、私のこの希望を果たせてくださったか、またいかにしていつも聖主のみ私にとっていうべからざる愉快の喜びの基であったかは、後に母様に申し上げましょう。もしただいまこれを申し上げますと私の中年時代に先立つようになり、かつまた幼年時代のことについて申し上げたい事が沢山ありますから……。

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小さき花-第4章~22

2021-10-16 20:56:00 | 小さき花

 マリアはいつも私が聖体を受ける度に、その前日からちょうど初聖体の覚悟をさせておったとき、よく覚悟をさせてくれました。私はまたよく記憶しておりますが、マリアは苦しみについて話をし、天主様は私に対して苦しみの道を歩まされるのではなく、幼き子供のごとく愛し携えてくださるのであろう、と言い加えました。私はその翌日聖体を受けてからマリアの言葉を思い出したので、私は聖主のために苦しみ悩みに遭いたいという熱望が起こり、続いて多くの十字架が私を待っているという事を確かに感ずると同時に、これを受けたいという望みが起こりました。この時私の霊魂は一生涯に感じた事のないような大きな慰めと愉快を覚え、苦しみが私の心を惹くようになり、そして苦しみの中に何とも言えない愉快があるという事を感じましたが、まだ充分にその愉快を悟ることが出来ませんでした。

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