白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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13路盤プロアマ本戦その5

2016年07月11日 23時07分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は昨日の続きで、第1回13路盤プロアマトーナメントの1回戦と2回戦の模様をお伝えします。



1回戦、山田真生アマ(黒)対金澤秀男七段戦です。
白1以下は19路でも見られる定石です(白7では9が多いですが、両方あります)。
この勢力を生かして・・・





白1と黒を攻める態勢です。
ここで黒は2、4とツケを連発、さらに黒6と切り違えて行きました。
これも19路でよく見られるサバキの常套手段です。
一見バラバラのようですが、白の勢力圏なので全部取られなければ良いという発想です。





ここで白1以下はこれまた良くある対応ですが、実は黒の注文通りです。
左上隅を先手で生きて黒12に回られると、白地が左辺だけになって遅れてしまいます。





という事で白1、3と臨機の手で対応しました。
白2子のダメが詰まって悪い形ですが、黒に変化を許さない意味があります。





黒1から隅を取りに行くしかありませんが、一本道で進んで黒13までとなりました。
ここで白が先手になったのが大きいです。
白14に回って白優勢になりました。
黒は悪い手は打っていないのに勝てなくなっています。
布石に問題があったのでしょうが、それが敗因になってしまうのが13路の怖い所ですね。





もう1局は2回戦、村松竜一八段(黒)対金澤秀男七段戦です。
黒1に白2と「ケイマにツケコシ」で仕掛けて行きました。
やはり19路でもある打ち方です。





黒1、3でシチョウですが、白はその間に左下の石と繋がりました。
序盤でポン抜きを許すのは良くないとされますが、黒△に余分な石がくっついているのがポイントです。
これがあるので、この形は通常黒あまり良くないとされています。
村松八段も当然分かっていますが、あえて打ったのは何故でしょうか?





黒1とツケコシのお返しをするのが狙いでした。
白Aからのシチョウは白が良いのですが・・・





白がシチョウに取れば、やはり黒は下を渡って行くことになります。
同じ形を打ったわけですが、形勢は黒良しです。
黒のポン抜きが隅と繋がっているのに対して、白のポン抜きは孤立しているからです。
この石が攻められている間に右下に大きな黒地が出来そうです。





白1と打てば隅で生きる事は出来ますが、白△の石が腐ってしまいます。





今すぐ動くのは良くないという事で白1と転戦しました。
俗に「困った時は手を抜け」などと言います。
右下での黒の対応によっては前述の白AやB、あるいはCといった手を決行しようとしています。





※画像はイメージです(笑)
黒1と押さえて来れば、白は辺の石を捨てやすくなります。
これは白にとってあまりにも都合の良い図ですが、大雑把に言えばこんな展開を目指しているのでしょうか。
あるいは白2で切り違えて激しく行くかもしれません。
右上で色々な手を見られている状況は、黒にとって気持ち悪い限りです。





そこで黒1と穏やかに押さえました。
白は右上の動き出しを狙っているので、2とあくまで絡んで行きました。





そろそろ手を戻すタイミングです。
黒1と突っ切り、白も2と連打して華麗に分かれました。





黒7までと穏やかに進行、ヨセ勝負になりました。
細かいですが僅かに黒リードかもしれません。
この後は村松八段が隙のないヨセで中押し勝ちを収めました。


これで2回戦まで全て終了しました。
準決勝は二十四世本因坊秀芳大橋拓文六段村松竜一八段河野臨九段の組み合わせです。
7/23(土)にその準決勝と決勝が行われます。
果たしてどんな対局になるでしょうか。
お楽しみに!

<追記>
幽玄の間準決勝と決勝の解説を担当する事になりました。
準決勝は午後1時からです。
ぜひご覧ください。