白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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攻めか守りか

2016年07月19日 22時09分00秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は3子局を題材にします。



白△と黒地を減らしに来た場面です。
黒は受けるべきでしょうか?





黒1と受けました。
当然のようですが実はチャンスを逃しています。
白2と守って白安心しました。
後から黒3、5と攻めを狙いましたが一歩遅く、白6となってはもう攻められません。
それどころか左辺に大きな白地が出来そうです。



もう一度最初の図に戻ってみましょう。
全体を見渡してみると、周囲に黒石が多い中で中央の白3子が孤立しています。
中央では眼を作りにくいので、白は見た目以上に弱い石です。
また下辺の黒には隙が無く、入って来られたとしても多少地が減るだけです。
そう考えると、何となく答えが見えて来ませんか?





受けずに中央の白を攻めるのが正解でした。
その前に黒1は攻める前の手続きで、先手になります。
黒Aとハネ出されると切れてしまうので、白2は仕方ありません。
この先手の利かしは知っておくと役に立ちます。
さて、ここで黒3と中央を攻めるのが本命です。
白4には黒5と、包囲網を敷きながら黒地を増やして行きます。





白1以下逃げて来る事になるでしょうが、素直に追いかけて問題ありません。
白はなんとか繋がりましたが、地は全く増えていません。
一方黒は自然に大きな確定地が出来ました。
左辺に白地が出来る事も無く、攻めの効果は明らかです。





白1のような手が気になる方は多いでしょうが、黒4まで応じていて全く困りません。
黒地を減らすだけのヨセの手です。





ただし攻めは方向が大事です。
この図のように何となく追いかけてみた結果何も残らなかった、とならないように気を付けましょう。
大雑把で良いので展開をイメージしておく事が大事です。

弱い石を守る事は第一にしなければなりません。
しかし地を守るのはヨセになってからでも十分間に合います。
常に全体を見て、お互いの石の強弱に気を配るように心がけましょう。