白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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幽玄の間

2016年07月14日 21時20分27秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
木曜日は棋士の対局日です。
本日も幽玄の間で行われた対局を振り返って行きます。



林子淵八段(黒)対武宮正樹九段戦です。

武宮九段が白1のツケコシで仕掛けました。
黒の弱みを衝く常套手段です。





白1、3はゆったりした打ち方です。
武宮九段のイメージ通りではありますが、これでは甘いと言う事でしょう。





実戦はこのように進みました。
白6と石が下に行って・・・





白1、3、5と2線を打ち続ける!





最終的にはこんな形、これでは武宮九段の碁とは気付かれないでしょう(笑)
実は偽物が打っているのでは?





しかし、白22までと進行してみるといつの間にか中央が白っぽくなっています。
長手数になってしまいますが、あえて1図で示しました。
前図と見比べてみてください。





左上の三々にも悠然と対応して地を与えています。
プロは地が気になって仕方のない人種なのですが・・・
やはり本物の武宮九段でした(笑)





しかし、案の定白地が足りなくなりました。
盤面で20目以上は足りません。
こんな事で勝負になるのでしょうか?





という所で、白は溜めた力を爆発させて攻めかかりました。
白5のような手は周囲の白が強くなければ打てません。





黒1、3と脱出を図った時、白4が双方の急所です。
自分の傷を守りながら黒を攻めています。
さて、ここで黒は重大な分岐点です。





黒1と受けたくなりますが、白2から本気で取りに来られるでしょう。
左上の黒に対して利きがあるため、白8となって黒は脱出出来ません。





止むを得ず黒1、3とかわしましたが、白4となって20目ぐらい地が増えました。
こうなっては一遍に細かい碁になっています。
武宮九段が見事な打ち回しを見せ、最後は黒1目半勝ちでした。
林八段は実力者です。