白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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天元戦第4局

2018年12月10日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
女流棋聖戦挑戦者決定戦は、藤沢里菜女流三冠と謝依旻六段で争われました。
女流本因坊戦五番勝負が終わったばかりですが、本当によく当たる2人です。
打ちすぎて顔を見るのが嫌になったりしないのでしょうか(笑)。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は天元戦第4局が行われました。
早速振り返っていきましょう。



1図(実戦)
井山裕太天元の黒番です。
右辺白に猛攻をかけていますが、隅の黒も薄いです。
形勢がどちらかに大きく傾いてもおかしくない状況ですが・・・。





2図(実戦)
黒が白×を取りましたが、白は隅で治まり、先手を取って白△に回りました。
流石タイトル戦、綺麗に分かれるものです。





3図(実戦)
黒1、3の手順にはなるほどと思いました。
ただ隅を生きるだけなら誰にでもできますが、最善を求めていくのは井山天元らしい姿勢ですね。





4図(実戦)
しかし、山下敬吾挑戦者の立場としては、感心してはいられません。
白1~5と、必死の取りかけ!
生きられたら負けが確定してしまうリスクはありますが、今が勝負をかけるタイミングとみたのでしょう。
このあたりの勝負勘は、山下挑戦者の大きな強みでしょうね。


結果は取りかけが成功し、山下挑戦者が2勝目を上げました。
これで名人戦、王座戦に続き、天元戦も最終局で決着することになりました。

井山天元は復調気配ですが、やはり100%の状態とまでは言えない気がします。
王座戦第5局は12月13日(木)に、天元戦第5局は19日(水)に行われます。
ここを乗り切れるかどうか、井山天元としては正念場ですね。