白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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SGW杯本戦4回戦

2018年12月24日 23時59分59秒 | 対局
<本日の一言>
昨日は更新をお休みしました。
こんな時期ですがやるべきことが山積みです。
年末年始は無休になりそうです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日も第1回SGW杯中庸戦を振り返りたいと思います。

3回戦をなんとか勝って迎えた4回戦、連勝すれば2勝2敗で終えることができます。
優勝には関係なくても気合は入っていました。
それでは、三谷哲也七段との対局を振り返っていきましょう。



1図(テーマ図)
私の黒番です。
白△と迫ってきましたが、黒Aなら白Bと引き上げるか、あるいは白Cの大場に先行するか。
いずれにしても黒は利かされで打てないと判断しました。
なにしろ、右上黒はかなり手をかけて守ってある石です。





2図(参考図)
そこで、実戦は黒△と反撃しました。
もし白1と押さえてくれば、そこではじめて黒2と守る予定です。
白3と狭い所を渡ってくれるなら腹は立ちませんし、後に黒A、白B、黒Cという狙いも残っています。





3図(実戦)
それは不満ということで、白も反撃してきました。
白△のツケは黒の渡りを止め、白Aから取りにくる手を狙っています。

ツケに対してはハネ伸びが通常の応手で、4通りあることが多いです。
本局でも黒B~Dの4通りの全てを考える必要があり、悩まされました。
たっぷりと時間をかけて考えたいところでしたが、早碁では自分の感覚を信じて決断するしかありません。





4図(実戦)
実戦はこのように進みました。
黒は利かされを回避して満足、白も左側の黒を攻撃目標にして満足というところでしょうか。
総合的には悪くない分かれのような気がしていましたが、この後の打ち方がまずかったと思います。
しばらく進むと、勝ち目の薄い碁になってしまいました。

その後は白が完全に逃げ込み態勢に入り、多少細かくはなったものの、碁ははっきり負けと悟っていました。
ところが、小寄せに入ってから突如白が乱れ出しました。
普段の対局では考えにくいことですが、これも早碁の恐ろしさでしょうか。
みるみるうちに差が詰まり、半目勝負に・・・。

想定外の進行に計算のやり直しをしている暇がありませんでしたが、雰囲気で半目勝ったのではないかと思っていました。
ひょっとしたら、三谷七段も同じだったかもしれません。
ところが、結果は白半目勝ち・・・。
非常に残念でしたが、まあこういうこともあります。


さて、今回私は良い結果を出せませんでしたが、対局自体は楽しかったです。
普段は打っていて楽しいと感じることはほとんど無いだけに、驚きですね。
開放的な雰囲気がそうさせたのでしょうか。
本棋戦がすっかり好きになりました。
次回も頑張って本戦に出たいですね。