白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

今年の成績

2018年12月25日 23時59分59秒 | 対局
<本日の一言>
トランプ大統領の側近が次々と去っていきますね。
「そして誰もいなくなった」とならなければ良いですが。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は今年の成績を振り返りたいと思います。

1/11 碁聖戦予選C 上村陽生九段●黒番中押し
2/1 十段戦予選A 河野臨九段●黒番中押し
2/26 阿含桐山杯予選C 甲田明子三段〇白番中押し
3/12 阿含桐山杯予選B 小松英樹九段●黒番中押し
3/22 本因坊戦予選B 伊了初段〇白番中押し
3/29 名人戦予選C 土井誠八段●黒番中押し
5/3 本因坊戦予選A 王立誠九段●白番中押し
6/14 王座戦予選B 恩田烈彦九段〇白番中押し
7/2 竜星戦予選A 光永淳造六段●黒番中押し
8/2 王座戦予選B 片岡聡九段●白番中押し
8/9 天元戦予選B 上野愛咲美二段●白番中押し
11/1 棋聖戦FT 庄司和三段〇黒番中押し
11/22 棋聖戦FT 恩田烈彦九段〇白番中押し
11/29 本因坊戦予選B 張瑞傑三段●黒番中押し
12/20 棋聖戦FT 安斎伸彰七段〇白番1目半勝ち

計6勝9敗

今年はとにかくボロボロで、夏頃は3勝ぐらいで終わることも覚悟していました。
そのぐらい碁の内容が酷かったです。
後半少し盛り返したため、最低限の体裁は保ったでしょうか・・・。
救いとしては、後半は徐々に内容が上向いていたことです。
来年は少しはましな状態で臨むことができるでしょう。

ちなみに、非公式棋戦は以下の通りでした。

11/13 SGW杯予選1回戦 宮崎龍太郎七段〇白番中押し
11/13 SGW杯予選2回戦 高梨聖健八段〇黒番中押し
11/13 SGW杯予選決勝 中尾準吾八段〇黒番中押し
12/8 SGW杯本戦1回戦 鶴山淳志七段●黒番中押し
12/8 SGW杯本戦2回戦 山森忠直六段●白番3目半
12/9 SGW杯本戦3回戦 王唯任五段〇黒番5目半
12/9 SGW杯本戦4回戦 三谷哲也七段●黒番半目

今回のSGW杯の成績は年間成績等には反映されません。
ただ、次回以降公式戦になる可能性はありますね。
広島アルミ杯なども最初は非公式戦でした。


さて、今年の不振の原因は色々と考えられますが、1つはっきりしているのは対局に臨む際のコンディションが悪かったことです。
そこだけは努力で確実に改善できるはずですから、来年はしっかりしなければいけませんね。

SGW杯本戦4回戦

2018年12月24日 23時59分59秒 | 対局
<本日の一言>
昨日は更新をお休みしました。
こんな時期ですがやるべきことが山積みです。
年末年始は無休になりそうです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日も第1回SGW杯中庸戦を振り返りたいと思います。

3回戦をなんとか勝って迎えた4回戦、連勝すれば2勝2敗で終えることができます。
優勝には関係なくても気合は入っていました。
それでは、三谷哲也七段との対局を振り返っていきましょう。



1図(テーマ図)
私の黒番です。
白△と迫ってきましたが、黒Aなら白Bと引き上げるか、あるいは白Cの大場に先行するか。
いずれにしても黒は利かされで打てないと判断しました。
なにしろ、右上黒はかなり手をかけて守ってある石です。





2図(参考図)
そこで、実戦は黒△と反撃しました。
もし白1と押さえてくれば、そこではじめて黒2と守る予定です。
白3と狭い所を渡ってくれるなら腹は立ちませんし、後に黒A、白B、黒Cという狙いも残っています。





3図(実戦)
それは不満ということで、白も反撃してきました。
白△のツケは黒の渡りを止め、白Aから取りにくる手を狙っています。

ツケに対してはハネ伸びが通常の応手で、4通りあることが多いです。
本局でも黒B~Dの4通りの全てを考える必要があり、悩まされました。
たっぷりと時間をかけて考えたいところでしたが、早碁では自分の感覚を信じて決断するしかありません。





4図(実戦)
実戦はこのように進みました。
黒は利かされを回避して満足、白も左側の黒を攻撃目標にして満足というところでしょうか。
総合的には悪くない分かれのような気がしていましたが、この後の打ち方がまずかったと思います。
しばらく進むと、勝ち目の薄い碁になってしまいました。

その後は白が完全に逃げ込み態勢に入り、多少細かくはなったものの、碁ははっきり負けと悟っていました。
ところが、小寄せに入ってから突如白が乱れ出しました。
普段の対局では考えにくいことですが、これも早碁の恐ろしさでしょうか。
みるみるうちに差が詰まり、半目勝負に・・・。

想定外の進行に計算のやり直しをしている暇がありませんでしたが、雰囲気で半目勝ったのではないかと思っていました。
ひょっとしたら、三谷七段も同じだったかもしれません。
ところが、結果は白半目勝ち・・・。
非常に残念でしたが、まあこういうこともあります。


さて、今回私は良い結果を出せませんでしたが、対局自体は楽しかったです。
普段は打っていて楽しいと感じることはほとんど無いだけに、驚きですね。
開放的な雰囲気がそうさせたのでしょうか。
本棋戦がすっかり好きになりました。
次回も頑張って本戦に出たいですね。

SGW杯本戦3回戦

2018年12月22日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
将棋の羽生さんがついに無冠になりましたね。
羽生さんほど飛び抜けた人でも、いつかは必ずトップから降りていきます。
勝負の世界は厳しいものです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日も第1回SGW杯中庸戦を振り返りたいと思います。

2日目は公開対局で行われました。
囲碁ファンが間近でプロの対局を見られるということで、素晴らしい試みだと思います。
集中力が乱れるという声もあるかもしれませんが、観戦者がいて碁のレベルが落ちるようではいけませんからね。
流石に賑やかにされると困りますが、皆様の観戦マナーが良かったようで、全く気になりませんでした。

ただ1つ思ったことは、むしろ1日目こそ公開して欲しいということですね。
2日目は大盤解説会が開かましたが、解説者が趙治勲名誉名人・・・。
皆様がどちらに行くか、言うまでもありません(笑)。
私が4局目を打っている最中に解説会が終わったようで、そのあたりから急に人の気配が増えた気がしました。

さて、それでは3局目の対局を振り返っていきましょう。
相手は王唯任五段です。



1図(テーマ図)
私の黒番です。
下辺白模様に侵入していきましたが、左右に白の厚みが控えているため、早く生きてしまいたいところです。
ただ、黒AやBではスペースが足りないので、実戦は・・・。





2図(実戦)
黒△とツケました。
次に黒A、B、Cなどの手段をみて、これが筋に当たります。
これは常識・・・と言いたいところですが、知らない方も多いのではないでしょうか?
定石を正しく使いこなすには、後の代表的な手段を知っておくことが大切です。





3図(変化図)
白1と押さえれば、黒2と切り違えるのが手筋です。
黒6までと突破しては白バラバラになり、この碁は終わりです。





4図(実戦)
ということで白1と押さえましたが、それなら黒2と引いておき、黒Aの出が残ります。
白は厳しく攻めることができず、黒8までと生きることができました。
黒優勢です。





5図(実戦)
その後もまずまず順調に打ち進め、この場面では勝利目前です。
ところが・・・。





6図(実戦)
なぜか左辺が白地に・・・。
我ながら全く意味が分かりません。
流石にこうなっては逆転ムードで、最後に残ったのは運がよかったとしか言えません。
ともあれ、なんとか1勝できて良かったです。

SGW杯本戦2回戦

2018年12月21日 23時59分59秒 | 対局
<本日の一言>
日経平均が2万円割れ目前の大ピンチに・・・。
オリンピックが終わったら景気が悪くなってしまうのでしょうか?
心配ですが、自分がしっかりしていれば何とかなると信じ、日々の仕事に励むのみですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
だいぶ間が空いてしまいましたが、本日は第1回SGW杯中庸戦の感想の続きです。
2回戦は山森忠直六段と対局しました。
1回戦でいきなり優勝の目が消え、やる気が無くなってしまうかと思いきや、全くそんなことはありませんでしたね。

普段私が打つ碁の大半は、アマの皆様の目に触れることがありません。
ところが、本棋戦では予戦3局、本戦4局の計7局の全てが幽玄の間で中継されました。
その喜びが大きかったのかなと思います。

ただし、本局の内容はあまりにも酷かったです。
自分で気付くレベルのミスが何十回もあり、話になりません。
難しい場面で偶然得をしたところもあり、結果は大差にはなりませんでしたが・・・。



1図(テーマ図)
序盤を振り返ってみましょう。
もっと酷いミスも沢山ありましたが、見ない方が幸せです。

私の白番、白は黒×を攻めようとしていますし、黒は白×を狙っています。
どちらが戦いで主導権を握るかが大きなポイントです。





2図(実戦)
実戦は白1、3と進出しましたが、あまりにも鈍重でした。
黒2、4とかぶせられては、明らかに黒が攻勢に立っています。





3図(変化図)
白1(黒Aの防ぎ)を決め、白3と一歩早く進出すべきでした。
布石の一路違いは大差無いことも多いですが、戦いにおいては一路の差が天地の差ということもあります。





4図(変化図)
黒1のボウシには、白2、4と反撃して戦えます。
黒がどう打ってくるにせよ、一方的に攻められることはなく、実戦より数段優ったでしょう。

本日の対局

2018年12月20日 23時57分18秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
10月から、対局中は電子機器をロッカーに預ける決まりになっていますが・・・。
回収を忘れ、電車に乗ってから気付きました。
いつかやるだろうと思っていましたが、早かったですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は棋聖戦ファーストトーナメントで安斎伸彰七段と対局しました。
安斎七段は本因坊戦リーグに在籍中です。
それでは振り返っていきましょう。



1図(テーマ図)
私の白番です。
黒△と三々に入られましたが、この形での常套手段です。
白AかBかと聞く、いわゆる様子見ですね。
別の言い方をすれば後出し作戦です。





2図(変化図)
白1の押さえなら、黒2以下の動き出しが生じます。
黒もすぐには打たないにしろ、こんな大きな手が残っては白がつらいです。





3図(変化図)
白1なら手になりませんが、黒2などを利かされそうです。
黒△の存在が鬱陶しく、白は手抜きができません。





4図(実戦)
どちらを選んでも黒の利益になるので、実戦は知らんぷりして白△と右下隅を荒らしにいきました。
目には目を、というところですね。
様子見に対する最強の反発は手抜きなのです。





5図(実戦)
白8までと隅で生きることができました。
もちろん良いことばかりではなく、黒もお返しで黒9と動いてきました。





6図(実戦)
黒6までと生きたのも、右下隅に劣らぬ戦果です。
ただ、ここで白番になり、白7という絶好の大場に回ることができました。
2図や3図と違い、白が主導権を握れそうな展開になっています。
勝負において、相手の言いなりにならないことは大切です。

本局は途中まで、自分としてはよく打てていたと思います。
後半はだらしない緩み方をしましたが、それは実力かもしれません・・・。
最後は僅かに残りましたが、運が良かったですね。