白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

本因坊戦第5局感想

2019年06月19日 23時06分34秒 | 囲碁界ニュース等
 <本日の一言>
昨夜は山形県沖で大きな地震がありました。
被害に遭われた方々の無事と健康をお祈りいたします。
</本日の一言>
 
皆様こんばんは。 本日は本因坊戦第5局の2日目が行われました。 
注目の封じ手は・・・。
 
 
 
 
 
 
1図(実戦) 白1でした!
これはあくまで手続きであり、 本命は白3の伸びですね。
白Aが守りの手なら、白3は勢いよく中央に向かう手です。
本因坊文裕らしい積極的な選択ですね。
 
この打ち方も当然考えましたが、黒Bの切りが残るのでどうかと思いました。
黒4の後に白Aと守るぐらいなら、最初から守っている方が効率が良いですからね。
 
 
 
 
2図(実戦) ところが、本因坊は白△のツケ!
素晴らしい一手が飛び出しました。 この手の意図は・・・。
 
 
 
 
 
3図(実戦) 黒の動きに乗じて白2、4を利かし、先手で黒Aの切りをカバーしようというのです。
そして天王山の白6に回り、中央に大きな白模様が出現しました。
前日の時点で、本因坊はここまでのストーリーを描いていたのですね。
感動的な打ち回しでした。
 
 
 
 
 
4図(実戦)
河野臨挑戦者も持ち味を生かして粘りました。
黒1、3、5のコスミ3連発などは、確実に読みを積み重ねていく河野挑戦者らしい手ですね。
 
紛れそうにも見えましたが、ここからの本因坊の収束が見事でした。
結局、黒にほとんどチャンスを与えませんでしたね。
こういう勝ち方ができるということは、復調は近いのかもしれません。
 
第6局は7月3日、4日(水・木)に行われます。
お楽しみに!
 
 
 

 
☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。
 
日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。
 
永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。
 
白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。
 
New!上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~22:00の中の2時間30分です。
 
 

本因坊戦第5局封じ手予想

2019年06月18日 22時39分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
お休みです。
ここは案外難しいです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は本因坊戦第5局の1日目が行われました。
早速振り返ってみましょう。



1図(実戦)
河野臨挑戦者の黒番です。
本因坊文裕が白1、3と、序盤早々肩衝きしましたね。
AIの影響でこのような手が増えてきた印象があります。
しかし、私はこの局面を見てある対局を連想しました。





2図(秀栄-秀甫戦)
この白1、3、実戦と似ていると思いませんか?
1885年の本因坊秀栄(黒)-村瀬秀甫戦です。
何の情報もなしにこういう手を打つのですから、昔の棋士も凄いですね。





3図(打掛局面)
黒△と打った場面で打ち掛けとなりました。
次の白の手が封じ手です。
白A~Dなど、左上に手をつける手を色々と考えてみましたが・・・





4図(封じ手予想)
結局、中央白が弱くては何もできないということでカケツギにしました。
平凡ながらこれが本手でしょう。


明日はじっくりとしたヨセ勝負になると予想します。
3勝目を挙げのはどちらでしょうか?

陳詩淵-許家元

2019年06月17日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
大きな仕事は片付きましたが、色々とやらなければならないことが山積みです。
今週は対局があるので、まずはしっかり体調を整えたいですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は乙級リーグ第2戦の陳詩淵九段(黒)と許家元八段の対局をご紹介します。
陳九段は台湾のトップ棋士ですね。
なお、この対局は日本棋院ネット対局幽玄の間にて中継されました。



1図(テーマ図)
右辺白が攻められていますが、どう捌きますか?
白Aと切るのは、黒Bと当て返されて白石が内側にこもってしまうのでいけません。





2図(実戦)
実戦は白1と切りを入れ、白3のツケコシで突破を図りました。
黒△がダメ詰まりになり、黒は抵抗しづらくなっています。
相手の弱みを衝くのは捌きの基本ですね。





3図(実戦)
白10まで、白は脱出したうえに外回りになりました。
鮮やかなものですね。
△は取られましたが、先手で左下に回れば白十分でしょう。





4図(終局図)
それにしても、3図の段階ではこんな終局図になるとは想像も付きませんね。
面白いものです。

女流立葵杯第2局

2019年06月16日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
大変お待たせしました。
本日よりブログ更新を再開します!

途中で2回更新しましたが、実質3ヶ月ほどお休みしたことになります。
ここまで長引くとは思っていませんでした。
SNSなどはほぼ見ていなかったので、浦島太郎状態ですね。

さて、復帰初回の題材は会津中央病院・女流立葵杯第2局です。



1図(実戦)
藤沢里菜女流立葵杯が、序盤早々黒△と仕掛けました。
この手では他に黒A、B、Cなどが考えられるところですが、普通の手では飽き足らず、より良い結果を求めて挑戦しましたね。





2図(実戦)
上野愛咲美挑戦者も正面から受けて立ち、早くも乱戦になりました。
この2人が打つと、大体こんな展開になっている気がします。





3図(実戦)
このあたりも印象的な場面でした。
白は中央黒を攻め、上辺に大きな白地をまとめようとしていますが・・・。





4図(実戦)
黒×を捨てたのが明るい判断でしたね。
黒は○の白2子をポン抜き、上辺にも回っているので十分元は取れるとみています。


結果は藤沢立葵杯が勝ってシリーズ2連勝となり、連覇を達成しました。
最近は下から追われる立場になった藤沢立葵杯ですが、簡単にはトップの座を明け渡しそうにはありませんね。