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室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

映画”NO"

2014-09-14 12:20:43 | 日記
南米チリの映画”NO"を観た。

 


  


解説によると・・
「「バベル」のガエル・ガルシア・ベルナルが主演し、第85回アカデミー外国語映画賞にノミネートされた社会派ドラマ。「Post Mortem」「トニー・マネロ」でチリのピノチェト独裁政権を題材に描いてきたパブロ・ラライン監督が、同政権の終焉を描いた。1988年、ピノチェト政権への国際的な風当たりが強まる中、ピノチェトの任期延長の是非を問う国民投票の実施が決まった。任期延長に反対する「NO」陣営は、若き広告プロデューサーのレネを採用してキャンペーンを展開するが……。日本では2012年・第25回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されて上映され、13年・第10回ラテンビート映画祭でも上映。14年に劇場公開。」


ピノチェト政権が対外的な評判を気にするようになり、粛正が緩くなった時代、とはいえ、まだまだ自由に政府の悪口が言えない時代に、ピノチェト時代の終焉をもたらす事ができたきっかけが、見る人に勇気と希望与えた選挙キャンペーンのCMだったとは・・。

無血革命と言われる人類史上でも稀な偉業を成し遂げられたのは、2010年の鉱山落盤事故から奇跡の生還をした例を見ても分かる、チリ人の優秀性と、キリスト教信仰が良性に働く社会であることと、民意の高さだ、と思った。


主人公、レネ・サアベドラ役の俳優さんの顔がとても素敵で、それもこの映画の印象をより強くするなー、と思ってパンフレットを見たら、『モーターサイクル・ダイアリーズ』主演と書いてあった。あのチェ・ゲバラの若い頃の南米一周旅行、後にチェ・ゲバラの生き方を決定づけた冒険旅行を描いた映画でチェ・ゲバラを演じた俳優さんだったのだ。


”NO"は、未上演の戯曲『国民投票』が原作ということだが、作者のアントニオ・スカルメタは、私が大好きな映画『イル・ポスティーノ』の原作者でもあった。道理で、チリの偉大な詩人、パブロ・ネルーダが短期間イタリアの小島に亡命していた時の物語だったのは、納得がいく。『イル・ポスティーノ』では、音楽はタンゴがけっこう使われていたけれど、”NO"では、CM場面は別として、クラシック系がバックで使われていたなぁ。


さて、日本の民主主義だが、危うくなっていないだろうか?
「民主主義が危ういなんて、まさか、あり得ない」それだけで片づけてしまう事そのものが、危ないのでは?
大きな犠牲を払って、先人達が得てこの国のモノとして下さった《民主主義》を、現代の私たちが呆けていて失ってはならない。”民意の質” を考えさせられる映画でした。