厚生労働省の国民生活基礎調査で2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%減(8万3000円減)の528万9000円となり、平均所得の減少と2014年消費税8%の導入により、2014年7月時点で「生活が苦しい」と答えた人の割合が過去最高の62.4%に上った。
1世帯当たりの平均所得はここ10年で最も低い。
その背景には「非正規雇用者の増加」などがある。
労働派遣法の改正案としての「同一労働・同一賃金法案」を昨年、野党が国会に提出し、先月には維新の党による修正案が提出されたが、完全な同一労働・同一賃金の実現は求めない案に訂正されており、企業側に抜け道を与えるものになっている。
世帯種類別の平均所得は、「65歳以上の人のみ」、または「65歳以上と18歳未満」で暮らす「高齢者世帯」が2.8%減の300万5000円となっており、一番、生活の苦しさを訴えている。
「18歳未満の子供のいるすべての世帯」で見た場合は3.4%増の696万3000円だったが、5月発表の「実質賃金指数」は0.1%減の25ヶ月連続マイナスであり、物価上昇に賃金上昇が未だ追いついていない状況だ。
生活意識は、「大変苦しい」と回答した者が29.7%、「やや苦しい」が32.7%の合計62.4%。それまでの最高は2011年野田政権時代の61.5%だった。
2015年5月の毎月勤労統計調査を見てみると、現金給与総額は対前年同月比で0.6%上昇している。しかし、内訳では「一般労働者」の賃金が0.7%増加したのに比し、「パートタイム労働者」の賃金は0.5%減少している。
実は2008年のリーマンショック以降、正規雇用者数は7年連続で減少し続けている。その一方、非正規雇用者数は2009年の1年だけを除き、1984年(昭和59年)以後、なんと30年間もの長期にわたり毎年、増加の一途をたどっているのだ。
昨年までの正規雇用者数は約3,200万人、非正規雇用者数は約1,900万人となっており、全雇用者数に占める非正規雇用者数の割合は年々上昇している。
更に注目すべき点は外国人労働者の雇用者数が急増していることである!!!
厚生労働省発表の調査では、平成26年10 月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は全国で137,053 か所あり、外国人労働者数は 787,627 人であった。
これは平成25年10 月末現在の 126,729 か所、717,504 人に対し、10,324 か所(8.1%)の増加、70,123 人(9.8%)の増加となった。
外国人を雇用している事業所数、及び外国人労働者数ともに平成 19 年に届出が義務化されて以来、過去最高の数値を更新しているのだ。
外国人労働者数が増加した要因として、「専門的・技術的分野」の在留資格並びに特定活動「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」及び「高度経営・管理活動」を含む「特定活動」の在留資格の外国人労働者が増加しており、現在、政府が進めている「高度外国人材の受入れ」は着実に増えていると考えられる。
単純労働者ではなく、「優秀な頭脳」を有する外国人労働者を数多く雇用することで、グローバルな経済を展開しようとする企業数が増えつつある中、「何かに秀でたものを持っていない日本人」の需要は減る一方だ。
円安効果で訪日外国人の数も急激に増加し、日本という国が外国人の目にも届きやすくなった昨今、その傾向は一層、強くなっていくと思われる。