因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

マームとジプシー『ハロースクール、バイバイ』

2010-11-26 | 舞台

*藤田貴大作・演出 公式サイトはこちら シアターグリーンBASE THEATER 28日まで
 前売りはみるみるうちに売り切れ、熱い注目を集める劇団の舞台をはじめてみる。開演前から舞台には中学の女子バレー部員がウォーミングアップをしている。やがて試合がはじまり、練習や合宿や放課後など、14歳の日々が描かれてゆく。
 

 正直に書く。今回の舞台は自分にはほとんどわからなかった。埋め尽くされた客席の後方から覗き見る少女たちは、台詞がよく聞き取れない上に、シーンがめまぐるしく変わり、ひとつのシーンが別の角度から何度も繰り返されたりして落ち着かない。点描する形式や、ある場面を違う人物の視点から繰り返し描きながらジグザグに進行する芝居はみたことがあるけれども、今回は登場人物の名前や性格、背景やそれぞれのつながりなどもなかなか頭に入らず、よって心にも響かず、およそ90分を大変な困惑のなかで呆然と過ごすことになってしまった。もっと前の席にすれば表情など細かいところがよくみえて、もしかするともう少し何か感じ取れたかもしれないが、「ついていけない感じ」は最後までぬぐいきれず、ネットに掲載されたレヴューを懸命に読んでみたものの、いよいよ困惑するばかり。どうしたらこんなふうに感じ取り、それを言葉にできるのか。どこがどんなふうにわからなかったか、何に問題があるのか(もちろん自分側にも)、こうであったらという展望が筋道を立てて具体的に書けなければ感想文にすらならない。完敗とはこのことだ。

 ともかく今夜はここで筆をおいたほうが賢明であろう。歯が立たなかったことをぐずぐずと引きずらず、しかし残った課題として覚えておく。今夜の舞台は今夜かぎりのものではなく、いつかどこかでまったく別の、思いもよらない舞台を考えるときのきっかけとして活かされることもあるのだから。

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