因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

ぺ・ヨンジュン主演『四月の雪』

2005-11-07 | 映画

*ホ・ジノ監督  
 連れ合いに不倫されてしまった片割れ同士が、いつのまにか心を通わせ合う話である。もの静かで淡々とした雰囲気の作品で、台詞も少なく、観客にいろいろなことを想像させる。



 前後関係がよくわからず、はっきりしない箇所も多少ある。
 たとえば後半、ぺ・ヨンジュンが引っ越し荷物に囲まれて麺類を食べている場面がある。これはどこの部屋なのか。妻と別れたということなのか。推察する間もなく次の場面になってしまい、よくわからない。
 たとえばラストシーンである。雪の中を車が走る。フロントガラスの向こうは銀色。「どこに行きましょうか?」「どこに行きたいですか?」という二人の会話が、声だけ聞こえる(台詞は記憶によるもの。正確ではない)。これが現実のものなのか、つまりそれぞれ結婚相手と別れて、新しい人生を選択した二人の旅立ちなのか、それとも幻想なのか。
 シナリオやノベライズには、カットされた場面も書かれているので、ストーリーがよく理解できるらしい。
 が、どうしてもそれを知りたいとは思わなかった。
 みた映画をそのまま素直に味わいたい。わからないところはわからないまま、とっておきたい。
 そんな気持ちにさせる作品である。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ブラウニング・バージョン』 | トップ | 『屋上庭園/動員挿話』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事