*川松理有作・演出 公式サイトはこちら 新宿タイニイアリス 16日で終了
劇団初見。川松理有の活動についてはアリスインタビューに詳細が掲載されており、日本だけでなく、海外での公演や交流も続け、「タイニイアリスの雄」であることがわかる。情報のアンテナはできるかぎり高く鋭く張っておきたいが、それでも未知の劇団や劇作家は数え切れず、これからどれだけみることができるのか。インタビューを読むと、川松が寺山修司や岸田理生に強い影響を受けていることがわかる。演劇をはじめるきっかけは人によってさまざまで、何に触発されるかはほとんど運命的なものであろう。
時代は戦前だろうか、おそらく時代設定を示す台詞があったのだと思うが聞き逃した。美しい女主人が営む小さなカフェとそこで働く女給たち、男装した女性新聞記者や客たちが出入りする。彼らの心をとらえているのは、美しい花を咲かせる高価な球根だ。その売買の駆け引きと、織物問屋の主人とひとりの女給の不倫関係や、球根の価格の暴落に翻弄される男たちが絡む。
終演後、うしろの席から「要するにそう簡単に男を信じちゃいけないよって話ね」という感想が聞こえ、まったくその通りだと思った。しかし観劇から数日たつと、もしかすると「そう簡単に女を信じてはいけない」の聞き違いだったのではないかと思われるのである。傲慢で不実な男たちに対する、女たちの報復劇とも読める。
舞台美術、衣裳ともに、非常に丁寧に作られた堅実な舞台である。しかしその世界にじゅうぶんに入りこめなかったのは、俳優の台詞の言い方に違和感をもったためだ。時代設定が古いこともあるし、内容が内容だけに自然体の日常会話とはいかないだろう。だが新劇調とも新派風ともいえない少々大げさな台詞まわしが、観客を舞台に引き込む妨げになっていたのではないだろうか。一週間前にみた三島由紀夫『熱帯樹』のリーディング公演を思い出す(谷賢一演出)。こちらのほうが濃厚で極端な内容であるにも関わらず、俳優の台詞によって劇世界に自然にいざなわれた。まずは台詞を聴かせてほしい。
榴華伝「魔の華物語」に織物問屋の主人津田三郎役を演じました祥野獣一です。
ふと貴ブログを発見し、拝読させて頂きました。
細かい内容説明、また本公演に関する深い洞察、叱咤激励ありがとうございます!
今後の参考にさせていただきます。
また、榴華伝は11/20より公演があります。
不肖ながら私も再び参加させていただく事になりました。
是非とも足をお運びいただき、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します。
長文失礼致しました。
コメントありがたく、読ませていただきました。
拙稿に対する過大な評価、痛み入ります。
じゅうぶんに鑑賞し、それをことばにする力が自分にはまだまだ足りません。
日々出会う舞台から、さまざまな課題を与えられております。
新しい舞台のお稽古が順調にすすみますように!
またぜひ因幡屋ぶろぐにお運びくださいませ。