面白い研究です。記録しておきましょう。
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「恐怖心、判断力を高める」定説と逆の新説発表
読売新聞 2015年01月01日 09時15分
愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所の正高信男教授(認知神経科学)らの研究グループは、恐怖心が冷静な判断を誤らせるという心理学の定説とは逆に、判断力を高めるという新説を実験を通じ打ち出した。
英国王立協会の科学雑誌「ロイヤル・ソサエティー・オープン・サイエンス」のオンライン版で発表した。
実験は大学生108人と小学4年生25人を対象に行い、誰もが恐怖心を抱くとされるマムシなどの毒ヘビ20種類と、人の気持ちを和ませる花20種類について、それぞれ赤、青、緑のカラー写真を用意。その写真をパソコン画面で無作為に見せたうえで、「ヘビの写真は何色か」「花の写真は何色か」という回答をボタン方式で求め、反応時間を調べた。
その結果、大学生も小学生もへビの色を答える時の方が花の色を答える時よりも迅速なことがわかり、大学生は平均で0・5秒、小学生も平均で0・3秒早かったという。
正高教授は「恐怖心による機敏な反応は危険を回避するために必要な対応といえる。今回の実験結果は、恐怖のようなネガティブな感情は人間の判断を鈍らせるとする心理学の基本原理に異を唱えた英国の生物学者、ダーウィンの主張にも合致する」と話している。
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この論文は、次のサイトで自由に読むことができます。
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/1/3/140066
恐怖で凍り付いて判断を誤るというよりも、生き残るために機敏な反応を示すというのは、よく理解できます。「蛇ににらまれた蛙」のたとえば、もはや通用しないのかもしれません。
しかし、恐怖心のおかげで判断が速く適切なものになるとして、適切な反応を取れるかどうかは別問題でしょう。恐怖心に打ち勝って正しい判断をするためには日ごろからそのような訓練をしておかなければならないはずです。ちょうどボクサーが相手のパンチをかいくぐって、相手をノックアウトするように。
恐怖心をバネにがんばる。まずは、ここからですか。
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