熊本地震の被災地では、風呂に入れない人が多くいる。力になれればと、熊本県公衆浴場組合の銭湯は直後から被災者への無料開放を続ける。熊本市中央区の「菊の湯」もその一つ。客が減り、そろそろ廃業しようかと思っていたが、いま被災者の「ありがとう」をかみしめている。

 午後3時、菊の湯の営業が始まる。訪れた客が、番台の高木陽子さん(61)に「うちはまだ水が出んと。助かっとるよ」と声をかけた。

 1937年から続く菊の湯は、4月14日の前震では被害が少なかった。翌日の営業から無料開放に参加したが、16日の本震で建物の一部が壊れた。天井が抜け、板やビニールシートで補修している。

 周辺は水道やガスなどのライフラインも止まったが、菊の湯は井戸水と薪を使っている。夫の精治さん(63)と2人、瓦が落ちた屋根に上ってシートをかけ、1日休んで18日に再開。被災者には名前や住所を書いてもらい、無料で提供している。

 本当は、そろそろ店をたたもうかな、と思っていた。昔のにぎわいはなく、客は1日20〜30人ほど。その矢先の地震だった。

 再開すると、道の先まで列ができ、多い時は1日に約300人が訪れた。

 祖父、父が残してくれた風呂が、役に立てて良かった。ただ、建物を直すにはお金がかかるし、この先のこともわからない。「最後のボランティアと思って頑張っとります」。でも、「ありがとうと言われると、やっぱり続けなならんかな」。

 営業は午後3〜9時で、土曜定休。問い合わせは菊の湯(096・354・5976)へ。(荒ちひろ)

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こういうニュースを聞くと、涙が出ます。

東日本大震災の当日にも、当英語塾INDECの教室Gump Theatreの近くにあった「桜湯」が営業してくれて、貧乏英語塾長は感謝しながら、のんびりとお風呂に入ることができました。

銭湯大好き人間なので、桜湯さんにもよくお世話になっていたのですが、いつもはガラガラなのに、その日は珍しくたくさんの人が入っていました。自宅のお風呂が使えなかったからでしょう。

その後、残念なことに、桜湯さんも廃業。いまはマンションになっています。

災害の時だけでなく、普段から銭湯を利用する人が増えればいいのにと思ってしまいます。大きなお風呂にのんびりとつかると、心と体の疲れも癒えるのですから。

ともあれ、菊の湯さんのがんばりは、熊本市民への最高のプレゼントです。高木さんご夫婦は大変でしょうが、一日でも長く営業を続けてもらえたらと願わずにはいられません。