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大阪の復活はなるか

2015年11月03日 06時13分22秒 | 時事放談: 国内編

大阪をよみがえらせることが、政治・行政にできるのか。今月の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙が迫る中、橋下・松井体制に批判的な朝日がまとめた、いまの大阪を描く記事を記録しておきましょう。

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(大阪はいま)去る企業 描けぬ戦略
朝日新聞 2015年10月31日11時43分

 シャープ本社(大阪市阿倍野区)と市営地下鉄・御堂筋線の西田辺駅の間にある商店街。シャッターを下ろした店が点在し、裏通りに入ると1年前の「閉店のお知らせ」が貼られたままの焼き肉屋もある。

 「バブル期には、夜になると飲み屋さんの前に席が空くのを待つ人が並んでたんですけどね」。西田辺駅前商店会の岡山哲熙会長は振り返る。1990年代前半、商店会の会員は飲食店など300を超えたが、いまは100程度になった。

 にぎわいがなくなったのは、商店会の会員でもあるシャープ本社に通う人が少なくなったためだ。本社の従業員は最も多かった92年の約2400人から、3分の1の800人に減った。

 経営不振に陥ったシャープは9月、その本社を手放すことを決めた。売り先は家具販売大手のニトリホールディングスに決まったものの、本社が移るところは決まっていない。大阪市内のほか、奈良県天理市などが候補にあがる。

 シャープは大阪経済の「地盤沈下」を象徴する。11月22日の大阪府知事と大阪市長のダブル選では、その浮上策が問われる。

■東京一極集中 超えるビジョンは

 シャープと大阪の栄枯盛衰は軌を一にする。

 シャープ本社(大阪市阿倍野区)は、大阪での創業の地だ。東京でシャープペンシルなどをつくっていた故早川徳次氏が関東大震災に遭って大阪に移り1925年にラジオの生産を始めた。その後、大阪市平野区や大阪府和泉市に工場を広げ、白黒テレビや電卓などのヒット商品を飛ばした。

 同じ25年、大阪市が周りの町村を編入して人口や面積で当時の東京市を抜き、「大大阪(だいおおさか)」になった。

 戦前から繊維や製薬の産業が集まり、戦後は鉄鋼や化学などの重工業が拡大していった大阪。高度成長期にはシャープやパナソニックなどの電機メーカーが大阪の発展を牽引(けんいん)した。

 しかし、高度成長とバブル経済を経て、東京への富の集中が進む。グローバル化が追い打ちをかけ、国際都市として東京一極集中が加速する。企業も人も東京に吸いよせられていった。

 日本生命保険、伊藤忠商事、住友商事、日清食品……。大阪発祥の大手企業が相次いで東京に本社を移した。生き残りをかけた業界再編も東京への移転に拍車をかける。藤沢薬品工業が2005年、東京の山之内製薬と合併してアステラス製薬となって移り、百貨店の大丸は07年に松坂屋と経営統合してJフロントリテイリングとして東京に行った。

 帝国データバンクによると、05~14年の10年間で、本社を大阪府外に移した企業は2424社にのぼり、府内への転入より901社も多い。登記上は本社を大阪に置きながらも、「東京本社」を設ける動きも強まる。会社が出て行くことで、働き手の流出も進む。

 さらに、グローバル競争にさらされて苦しむ電機に代わる次の産業が育たず、大阪の「地盤沈下」は止まらない。

 大阪の府内総生産は、04年度の39兆円から09年度は37兆5千億円に落ち込んだ。12年度は38兆9千億円と少し戻したものの、04年度の水準を下回り、東京都の4割程度にすぎない。この間、愛知県は34兆円から37兆円に増え、大阪に迫る。

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 「沈む大阪」に、経済界の危機感は強い。「大阪都構想やカジノより、経済の立て直しが先だ」「自民党では変えられない」。「改革」に期待する一方で、地道な取り組みを求める声も多い。共通するのは、行政が手をこまねいていることへの不満だ。

 大阪府は07年、当時の太田房江知事が、1社あたり最大150億円を補助する「企業立地促進条例」をつくった。利用したのは6社で、大きな成果はシャープの堺工場の誘致ぐらいだ。橋下徹市長が知事だった08年に制度を見直し、12年度になくした。大阪府と大阪市は12年末、府内の特区に進出した企業の地方税をゼロにする制度を設けたが、認定したのは12社にとどまる。

 11月の大阪府知事・大阪市長ダブル選を前に、橋下氏率いる大阪維新の会も、自民党も「大阪の成長」を掲げ、リニア中央新幹線の名古屋と大阪の同時開業や北陸新幹線の大阪延伸、関西空港へのアクセス改善などを公約に盛り込む。

 いずれも経済界が求めてきたものだけに、「ぜひ進めてもらいたい」と歓迎する。だが、リニアの同時開業は建設するJR東海が拒んでいる。北陸新幹線は大阪までのルートを検討し始めたばかりだ。「打ち上げ花火でしかなく、実現するのか疑わしい」と切り捨てる経営者もいる。

   ■    ■   

 大阪・心斎橋は平日でも多くの外国人旅行者でにぎわう。中国人の「爆買い」に代表される購買力で、百貨店やドラッグストアは売り上げを伸ばす。ただ、りそな総合研究所の試算では、訪日外国人の買い物やホテル代、飲食代などをひっくるめても、府内の個人消費全体の1・45%にすぎない。大阪経済を支える柱にはなれない規模だ。

 関西財界が中心になってつくったアジア太平洋研究所(大阪市)で研究統括を務める林敏彦・大阪大名誉教授はこう指摘する。「東京に対抗して『副首都をめざす』というのは国内に閉じこもった発想といえ、大阪はアジア・太平洋地域との結びつきを強めるべきだ。今回の選挙では、経済を立て直す大きなビジョンが求められている」(諏訪和仁)

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決して大阪維新の肩を持つつもりはありませんが、いまの流れの中で、大阪が盛り返す構図を考えるのは、素人でも難しく、すべてを橋下・松井体制のせいにするのは不公平です。少なくとも、橋本・松井体制によって、大阪に注目が集まっているだけでも、よしとしなければいけないのではないかと考えてしまいます。

さらに、この記事で気になることがひとつ。冒頭のシャープの引用に当たり、シャープが関東大震災の後に本社を大阪に移したことを記しているのですが、それを見ると、この朝日の記事が大阪の復活のために次の関東大震災の発生を期待しているかのように思えてしまいました。諏訪という朝日の記者の不見識ぶりはもとより、ひょっとしたら大阪府民にそういう空気が漂っているのではないかと勘ぐってしまい、ゾッとしてしまうのでした。

東京の没落を待つのではなく、大阪自体が独自に復活してくれないと困ります。

ともあれ、大阪の復活は、日本の復活です。大阪には、大変でしょうが、もっとがんばってもらいましょう。


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