何ゆえ女子レスリング選手たちは、こんなに勝負強いのか。本当に頭が下がります。
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【レスリング】伊調、史上初の4連覇!吉田より先にカレリン超え…女子58キロ級
◆リオデジャネイロ五輪 レスリング▽女子58キロ級決勝 ○伊調馨()ワレリア・コブロワゾロボワ●(17日・カリオカアリーナ2)
58キロ級、伊調馨(32)=ALSOK=が、決勝でワレリア・コブロワゾロボワ(23)=ロシア=を破り、五輪レスリング史上初、そして女子個人種目でも史上初の4連覇を達成した。アテネ、北京、ロンドンに続くリオ制覇。霊長類最強と言われた男子レスリングのアレクサンドル・カレリン(ロシア)も果たせなかった偉業を、18日に同じく4連覇に挑む53キロ級・吉田沙保里(33)=YSW=より先に達成した。
第1ピリオドに相手の消極的注意から1ポイント先取した伊調だが、右足を取られる不覚で2ポイントを献上。1−2で迎えた第2ピリオドでは残り10秒を切ったところで、バックを取り2ポイントを奪取し3−2の逆転勝利。
伊調は初戦の2回戦でマルワ・アマリ(27)=チュニジア=にテクニカルフォール勝ち、準々決勝でエリフジャレ・エシリルマク(30)=トルコ=に3−1で勝ちし、準決勝ではユリア・ラトケビッチ(31)=アゼルバイジャン=にテクニカルフォール勝ちしている。
◆五輪4連覇 個人種目は男子だけで、陸上で走り幅跳びのカール・ルイスと円盤投げのアル・オーター(ともに米国)。セーリングのフィン級でパウル・エルブストレーム(デンマーク)の3人。女子では12年ロンドン大会で馬場馬術のアンキー・ファンフルンスフェン(オランダ)が挑んだが、6位に終わった。レスリングではこれまで3連覇が最高で、吉田と伊調馨のほか、男子はグレコローマンスタイル130キロ級のアレクサンドル・カレリン(ロシア)ら3人が達成。
レスリング女子フリースタイル58キロ級の伊調馨(32=ALSOK)が17日、決勝でワレリア・コブロワゾロボワ(ロシア)を下し、五輪4連覇を達成した。全競技を通じて個人種目の五輪4連覇は男子4人が達成しているが、女子では史上初の快挙となった。
長年、女子レスリング界を一緒にけん引してきた吉田沙保里よりも1日早く、五輪史上初の快挙を成し遂げた。準決勝は第1ピリオド2分すぎにバックに回って4―0とすると、さらにアンクルホールドを一気に3回重ねてテクニカルフォール勝ち。3―1と小差の勝利だった3回戦から一転、納得の内容で完勝。決勝はリードされる展開となったが、残り5秒で逆転し、女王の意地と実力を見せつけた。
4度目の五輪イヤーは嵐の幕開けだった。1月のロシアの大会で、モンゴルの若手プレプドルジにまさかのテクニカルフォール負け。03年3月以来、負けなしだった女王の13年ぶりの黒星で、連勝は189でストップした。「あんな自分は初めてだったし、あんな自分もいるんだとビックリもしている」。リオに向けて暗雲漂う結果だった。
その試合では、相手をフェイントで動かしてから攻める高度な駆け引きを試していた。男子と練習を重ねる中で気づいた戦術だったが勝負へのこだわりを忘れていた。
リオ入り後の14日に行われた会見では、すでに気持ちの整理をつけていた。「自分のレスリングを追求してきた結果なので(負けたことは)全く気にかけていない。今回はリオ五輪に向けて調整してきた。その中で敗戦が実ったといえる試合ができれば」。普段は内容を追求する女王が、五輪では勝利にこだわる姿勢を示した。慎重な戦いぶりは、頂点を目指すからこそだった。
14年11月28日、最愛の母・トシさんが青森・八戸市内の自宅で倒れて頭を打ち、脳挫傷のため65歳で急逝した。突然訪れた悲しみを乗り越え、胸に刻んだ「母の“遺言”でもある死んでも勝つということ、プラス自分のレスリングを追求していきたい」という誓い。伊調は4度目の大舞台で自分のレスリングを貫き、女性アスリート初の五輪4連覇を成し遂げた。
レスリング女子フリースタイル48キロ級で世界選手権3連覇中の登坂絵莉(22=東新住建)が決勝でマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)が残り13秒からの猛攻で逆転し、初の五輪で金メダルを獲得した。
1―2で迎えた第2ピリオドの終盤、登坂が相手の右足を取り、倒して3―2で逆転勝ち。時間は残り2秒のラストチャンスだった。
初戦の2回戦でカザフスタン選手を6―0と圧倒すると、米国人選手との3回戦は一時1―2から11―2で逆転勝ち。準決勝では、2月のアジア選手権の準決勝で敗れて12年から続いた連勝記録を59で止められた孫亜楠(ソンアナン、中国)にリベンジ。第2ピリオドでローリングでポイントを重ねて8―3で逆転勝ちを収めた。決勝はリードされる展開となったが、最後は世界選手権3連覇の意地と執念を見せつけた。
吉田沙保里の背中を追い続けてきた。「ずっと吉田さんの背中に憧れてきた。かっこいいし、ああなりたい」。至学館高に入学した頃は雲の上の存在だったが、世界選手権に出場するようになるとグッと距離が縮まった。オフの日に出かけるのも、バラエティー番組に出演する時も一緒。吉田の妹分として“霊長類最強のDNA”を近くで感じてきた。
今月10日に日本を出発した時には自身のツイッターに吉田と撮影した画像をアップ。12年前に撮影した小学生時代の画像も添え、「12年前の写真。。。大きくなりました ずっと追いかけてきた人と一緒に行ける幸せ!!!」とつぶやいた。22歳の今、初めて立った大舞台で「追いかけてきた人」と同じ一番輝くメダルを手にした。
◆登坂 絵莉(とうさか・えり)1993年(平5)8月30日、富山県高岡市生まれの22歳。南星中―至学館高―至学館大―東新住建。高校時代に国体優勝経験がある父・修さんの影響で、小3で高岡ジュニア教室入り。高2、3年時にインターハイ連覇。全日本選手権、全日本選抜選手権は12年から4連覇。世界選手権初出場の12年は決勝で不可解な判定にあって銀メダル、翌年から3連覇している。1メートル52。
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