昨年の日本映画のベスト・フィルムにゴウ先生は『間宮兄弟』(レビューは、こちら!)を選びました。佐々木蔵之介と塚地武雅演じる兄弟の暖かさに、幸せにしてもらったからです。
その塚地がキネ旬新人男優賞に続き、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を獲得したのです。パチパチパチ!
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塚地武雅も「親孝行」の新人賞(スポーツニッポン) - goo ニュース
2007年1月19日(金)06:13
2006年(第61回)毎日映画コンクールの各賞が18日、決まった。未来の日本映画界を担う期待の新星に贈られるスポニチグランプリ新人賞は「武士の一分」の檀れい(35)、「間宮兄弟」の塚地武雅(35)に決定した。表彰式は2月6日、東京・渋谷区桜丘町のセルリアンタワー東急ホテルで行われる。
「バラエティーで褒められたことは1度もない。初めて親孝行できたかなあ」。塚地は紫煙をくゆらせながら感慨深げにつぶやく。日々の小さな楽しみに喜びを見つけ、ほのぼのと暮らす30代の仲良し兄弟を描いた「間宮兄弟」。佐々木蔵之介(38)の弟役としてW主演した塚地は、俳優としての筋の良さを存分に発揮した。
お笑い芸人としては、03年の「雨上がり決死隊」の宮迫博之(36)に続く新人賞。芸歴11年目にしてつかんだ“本業”以外での栄冠に「(歴代受賞者の)誰よりも信じられない自信があります」と驚くばかりだ。
大学卒業後、塚地は仏壇メーカーに就職。しかし、お笑いへの夢をあきらめきれず、家族の反対を押し切って、24歳で脱サラした。バラエティー番組などで活躍する今でも、家族の理解を完全に得ていないそうで「やっぱりねえ、映画は印象がいいみたいです」とニンマリ。家族が劇場に3、4回足を運んだと明かし「客席で小さな子や年配の方が笑ったり、感動している景色に“うちの息子を見て、心動かしてくれてるんや。いい仕事したね”と言ってくれた」とうれしそう。バラエティーのときとは正反対の反応だった。
ある番組で、塚地がインリン・オブ・ジョイトイ(28)をまねして“塚リン・オブ・ジョイトイ”をやったときも父親は激怒。「“男のくせにふざけんな。親は情けない。周り近所に何と言われるんだ”とさんざん責められた」と明かす。
だが撮影現場では、コントで培った経験が見事に生きた。塚地が台本を書く「ドランクドラゴン」のコントは「日常いそうな人」がコンセプト。「間宮兄弟」でも「こいつ重心右だろうな」「こんな口調やで」と普段から心懸けている人間観察で難なくこなしてみせた。「本業で親に認めてもらわんと」とあくまでお笑い芸人を貫くが、「映画っておもしろい」。これからもジャンルを問わず幅の広い活躍を見せてくれそうだ。
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当然の結果だと思います。彼の演技は素晴らしかった。体型その他の制約があるので、演じられる役には限界があるかもしれませんが、これからも素晴らしい映画にいっぱい出て欲しいものです。
さらに、ゴウ先生を喜ばせてくれたのは、中谷美紀がこれまたキネ旬主演女優賞についで毎日映画コンクールでも主演女優賞を取ってくれたことです。パチパチパチ!
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中谷美紀「玉砕」も女優主演賞(スポーツニッポン) - goo ニュース
2007年1月19日(金)06:13
2006年(第61回)毎日映画コンクールの各賞が18日、決まった。女優主演賞は「嫌われ松子の一生」の中谷美紀(31)が初めて栄冠を手にした。自ら手を挙げてつかんだ“松子”役だけに、喜びもひとしお。中谷は「身に余る賞をちょうだいして本当にうれしく思っています」と感激した。
山田宗樹氏(41)の同名小説を読んで心が動いた。「なかなか演じる機会も訪れない“女の一生”もの。中島(哲也)監督が映画化の権利を取得したと聞いて立候補しました」と作品への強いこだわりを明かした。そんな意欲が銀幕からほとばしり、教師からソープ嬢、あげくにヒモを殺害して刑務所に入り…という波瀾(らん)万丈の転落人生を見事に演じきってみせた。
現場はかつて経験したこともない過酷さ。「価値観を全否定されたというか。古いイタリア映画や名匠たちが作ってきた日本映画が理想の形と思っていたのですが、そんな映画に対するイメージが崩れ去った。玉砕です」と苦笑い。
自分なりに膨らませていったものを中島監督はバッサリ切り捨てる。スタッフ、キャストには一様に怒鳴り声が飛ぶ。中谷は「厳しさの中の愛情」と表現し「すべてはお客さまに楽しさを届けるため。ご自身も苦しかったと思いますよ。自分を奮い立たせて、孤独に置いて」と“中島流”に理解を示した。
「お仕事いただけるだけで幸せ。情熱が見いだせるもの、魂が存在する作品に出合えれば幸せです。身の丈にあったものを一生懸命やるだけです」。07年は直木賞作家・山本一力氏(58)原作の「あかね空」と、堤幸彦監督(51)の「自虐(あい)の詩」が公開される。「自信を持ってお出しできる作品です」と笑顔。花も実もある31歳、07年も主役は譲らない。
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今年の後半は『フラガール』(レビューは、こちら!)に押されて『嫌われ松子の一生』(レビューは、こちら!)は影が薄くなった印象がありますが、決して悪い作品ではありません。女優のがんばりというならば、ゴウ先生は松雪泰子よりも中谷の方が上であったと評価していました。
その意味で今回中谷にこういう賞が次々と与えられるのは、ファンとして嬉しい限りです。さらなる活躍を期待しています。
最後に、毎日映画コンクールの各賞を毎日新聞の記事から引用しておきます。
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毎日映画コン:大賞に「ゆれる」 優秀賞「フラガール」
「第61回(06年)毎日映画コンクール」の各賞が決まった。表彰式とレセプションは2月6日に東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで行われる。
日本映画大賞 ゆれる(西川美和監督作品)
日本映画優秀賞 フラガール(李相日監督作品)
監 督 賞 根岸吉太郎(雪に願うこと)
男優主演賞 佐藤浩市(雪に願うこと)
女優主演賞 中谷美紀(嫌われ松子の一生)
田中絹代賞 草笛光子=敬称略
◇「第61回(06年)毎日映画コンクール」の上記以外の賞は次の通り。(敬称略)
外国映画ベストワン賞「父親たちの星条旗」▽男優助演賞 笹野高史(武士の一分、寝ずの番)▽女優助演賞 蒼井優(フラガール、虹の女神、ハチミツとクローバー)▽スポニチグランプリ新人賞 塚地武雅(間宮兄弟)檀れい(武士の一分)▽脚本賞 加藤正人(雪に願うこと)▽撮影賞 川上皓市(紙屋悦子の青春)▽美術賞 種田陽平(THE有頂天ホテル、フラガール)▽音楽賞 加古隆(博士の愛した数式)▽録音賞 白取貢(フラガール、ゆれる)小野寺修(雪に願うこと)▽技術賞 小池義幸(嫌われ松子の一生=編集)▽ドキュメンタリー映画賞「エドワード・サイード OUT OF PLACE」▽アニメーション映画賞「時をかける少女」▽大藤信郎賞「鉄コン筋クリート」▽TSUTAYA映画ファン賞日本映画部門「デスノート」▽同外国映画部門「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」▽特別賞 故・今村昌平、風見章子
◇日本映画界の活力と多様さを象徴
18日発表された「第61回毎日映画コンクール」の受賞結果は、日本映画界の活力と多様さを象徴するものとなった。
日本映画大賞の「ゆれる」は、選考委員会で優れた演出力が高く評価された。西川監督は32歳で、長編2作目。女性監督作品の受賞は、コンクール史上初めて。同優秀賞「フラガール」の李相日監督も32歳で、2人は候補作の監督で最年少。
男優主演賞の佐藤さんは、「雪に願うこと」でばんえい競馬の調教師を好演。「素直に喜びたい。昔からあるタイプの映画だが、普遍性がよかった」。父親の三国連太郎さんも「飢餓海峡」などで同賞を受賞しており、初の親子2代受賞となった。女優主演賞の中谷さんは、近年進境著しい活躍ぶり。「身に余る賞。『嫌われ松子の一生』は、私の中の映画に対するイメージや価値観を崩した作品」と喜んだ。
女優助演賞の蒼井さんは若手成長株。「受賞はまったく予想しておらず、ただ驚き」。男優助演賞の笹野さんは、多くの作品に顔を見せる大ベテラン。「ワンシーン役者と自称していたので、正直戸惑っている」と話した。
田中絹代賞の草笛さんは、成瀬巳喜男監督作品など数多くに出演。昨年「雪に願うこと」「犬神家の一族」と久々に映画に復帰した。「大先輩女優の賞をいただいてうれしい。これからも精進したい」と喜びを語っていた。【勝田友巳】
◇選考委員コメント
作品部門の選考は、映画評論家ら約80人の投票による1次選考の結果、上位5作品を候補として5人の選考委員による討議で決定した。他の候補作は「紙屋悦子の青春」(黒木和雄監督)、「雪に願うこと」(根岸吉太郎監督)、「嫌われ松子の一生」(中島哲也監督)。選考委員の講評は次の通り。
▽吉田喜重委員 最も映画表現を感じさせる作品を選んだ。「ゆれる」は、兄と弟が憎悪と愛情を織り交ぜ、普通のストーリーのように解決しない。人間は底知れない深遠さを持っている、という点を表した作品。初の女性監督作品の受賞は大変うれしく思う。
▽桐野夏生委員 「ゆれる」は力量が並大抵でない作品。セリフが説明的ではなく、丁寧に見ると、感情の成り立ちがよくわかる。演出もアイデアにあふれていて、とても優れていた。他の作品はいずれもよくできているが、逆に「ゆれる」のような「不安定さ」に欠ける。すわりの良すぎるところが不満だった。
▽ドナルド・リチー委員 前作の「蛇イチゴ」を見て、西川監督には才能があると感じていた。それが開花したことは喜ばしい。また、初めての女性監督の受賞をうれしく思う。
▽新井満委員 「ゆれる」が映画の純文学なら、「フラガール」は大衆文学。分かりやすいサクセスストーリーで、感動の涙を流し、喝さいとともにハッピーエンド。候補作は世相を映しているのか、家族のテーマが多かった。
▽品田雄吉委員 「ゆれる」は人によって受け取り方が変わる映画。しっかりした作品世界を作っていて、06年の収穫だった。「フラガール」は、映画の王道を行き、エネルギーをくれる。2作が対照的ということが、今年のポイントだろう。
毎日新聞 2007年1月18日 22時41分 (最終更新時間 1月18日 23時41分)
その塚地がキネ旬新人男優賞に続き、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を獲得したのです。パチパチパチ!
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塚地武雅も「親孝行」の新人賞(スポーツニッポン) - goo ニュース
2007年1月19日(金)06:13
2006年(第61回)毎日映画コンクールの各賞が18日、決まった。未来の日本映画界を担う期待の新星に贈られるスポニチグランプリ新人賞は「武士の一分」の檀れい(35)、「間宮兄弟」の塚地武雅(35)に決定した。表彰式は2月6日、東京・渋谷区桜丘町のセルリアンタワー東急ホテルで行われる。
「バラエティーで褒められたことは1度もない。初めて親孝行できたかなあ」。塚地は紫煙をくゆらせながら感慨深げにつぶやく。日々の小さな楽しみに喜びを見つけ、ほのぼのと暮らす30代の仲良し兄弟を描いた「間宮兄弟」。佐々木蔵之介(38)の弟役としてW主演した塚地は、俳優としての筋の良さを存分に発揮した。
お笑い芸人としては、03年の「雨上がり決死隊」の宮迫博之(36)に続く新人賞。芸歴11年目にしてつかんだ“本業”以外での栄冠に「(歴代受賞者の)誰よりも信じられない自信があります」と驚くばかりだ。
大学卒業後、塚地は仏壇メーカーに就職。しかし、お笑いへの夢をあきらめきれず、家族の反対を押し切って、24歳で脱サラした。バラエティー番組などで活躍する今でも、家族の理解を完全に得ていないそうで「やっぱりねえ、映画は印象がいいみたいです」とニンマリ。家族が劇場に3、4回足を運んだと明かし「客席で小さな子や年配の方が笑ったり、感動している景色に“うちの息子を見て、心動かしてくれてるんや。いい仕事したね”と言ってくれた」とうれしそう。バラエティーのときとは正反対の反応だった。
ある番組で、塚地がインリン・オブ・ジョイトイ(28)をまねして“塚リン・オブ・ジョイトイ”をやったときも父親は激怒。「“男のくせにふざけんな。親は情けない。周り近所に何と言われるんだ”とさんざん責められた」と明かす。
だが撮影現場では、コントで培った経験が見事に生きた。塚地が台本を書く「ドランクドラゴン」のコントは「日常いそうな人」がコンセプト。「間宮兄弟」でも「こいつ重心右だろうな」「こんな口調やで」と普段から心懸けている人間観察で難なくこなしてみせた。「本業で親に認めてもらわんと」とあくまでお笑い芸人を貫くが、「映画っておもしろい」。これからもジャンルを問わず幅の広い活躍を見せてくれそうだ。
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当然の結果だと思います。彼の演技は素晴らしかった。体型その他の制約があるので、演じられる役には限界があるかもしれませんが、これからも素晴らしい映画にいっぱい出て欲しいものです。
さらに、ゴウ先生を喜ばせてくれたのは、中谷美紀がこれまたキネ旬主演女優賞についで毎日映画コンクールでも主演女優賞を取ってくれたことです。パチパチパチ!
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中谷美紀「玉砕」も女優主演賞(スポーツニッポン) - goo ニュース
2007年1月19日(金)06:13
2006年(第61回)毎日映画コンクールの各賞が18日、決まった。女優主演賞は「嫌われ松子の一生」の中谷美紀(31)が初めて栄冠を手にした。自ら手を挙げてつかんだ“松子”役だけに、喜びもひとしお。中谷は「身に余る賞をちょうだいして本当にうれしく思っています」と感激した。
山田宗樹氏(41)の同名小説を読んで心が動いた。「なかなか演じる機会も訪れない“女の一生”もの。中島(哲也)監督が映画化の権利を取得したと聞いて立候補しました」と作品への強いこだわりを明かした。そんな意欲が銀幕からほとばしり、教師からソープ嬢、あげくにヒモを殺害して刑務所に入り…という波瀾(らん)万丈の転落人生を見事に演じきってみせた。
現場はかつて経験したこともない過酷さ。「価値観を全否定されたというか。古いイタリア映画や名匠たちが作ってきた日本映画が理想の形と思っていたのですが、そんな映画に対するイメージが崩れ去った。玉砕です」と苦笑い。
自分なりに膨らませていったものを中島監督はバッサリ切り捨てる。スタッフ、キャストには一様に怒鳴り声が飛ぶ。中谷は「厳しさの中の愛情」と表現し「すべてはお客さまに楽しさを届けるため。ご自身も苦しかったと思いますよ。自分を奮い立たせて、孤独に置いて」と“中島流”に理解を示した。
「お仕事いただけるだけで幸せ。情熱が見いだせるもの、魂が存在する作品に出合えれば幸せです。身の丈にあったものを一生懸命やるだけです」。07年は直木賞作家・山本一力氏(58)原作の「あかね空」と、堤幸彦監督(51)の「自虐(あい)の詩」が公開される。「自信を持ってお出しできる作品です」と笑顔。花も実もある31歳、07年も主役は譲らない。
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今年の後半は『フラガール』(レビューは、こちら!)に押されて『嫌われ松子の一生』(レビューは、こちら!)は影が薄くなった印象がありますが、決して悪い作品ではありません。女優のがんばりというならば、ゴウ先生は松雪泰子よりも中谷の方が上であったと評価していました。
その意味で今回中谷にこういう賞が次々と与えられるのは、ファンとして嬉しい限りです。さらなる活躍を期待しています。
最後に、毎日映画コンクールの各賞を毎日新聞の記事から引用しておきます。
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毎日映画コン:大賞に「ゆれる」 優秀賞「フラガール」
「第61回(06年)毎日映画コンクール」の各賞が決まった。表彰式とレセプションは2月6日に東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで行われる。
日本映画大賞 ゆれる(西川美和監督作品)
日本映画優秀賞 フラガール(李相日監督作品)
監 督 賞 根岸吉太郎(雪に願うこと)
男優主演賞 佐藤浩市(雪に願うこと)
女優主演賞 中谷美紀(嫌われ松子の一生)
田中絹代賞 草笛光子=敬称略
◇「第61回(06年)毎日映画コンクール」の上記以外の賞は次の通り。(敬称略)
外国映画ベストワン賞「父親たちの星条旗」▽男優助演賞 笹野高史(武士の一分、寝ずの番)▽女優助演賞 蒼井優(フラガール、虹の女神、ハチミツとクローバー)▽スポニチグランプリ新人賞 塚地武雅(間宮兄弟)檀れい(武士の一分)▽脚本賞 加藤正人(雪に願うこと)▽撮影賞 川上皓市(紙屋悦子の青春)▽美術賞 種田陽平(THE有頂天ホテル、フラガール)▽音楽賞 加古隆(博士の愛した数式)▽録音賞 白取貢(フラガール、ゆれる)小野寺修(雪に願うこと)▽技術賞 小池義幸(嫌われ松子の一生=編集)▽ドキュメンタリー映画賞「エドワード・サイード OUT OF PLACE」▽アニメーション映画賞「時をかける少女」▽大藤信郎賞「鉄コン筋クリート」▽TSUTAYA映画ファン賞日本映画部門「デスノート」▽同外国映画部門「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」▽特別賞 故・今村昌平、風見章子
◇日本映画界の活力と多様さを象徴
18日発表された「第61回毎日映画コンクール」の受賞結果は、日本映画界の活力と多様さを象徴するものとなった。
日本映画大賞の「ゆれる」は、選考委員会で優れた演出力が高く評価された。西川監督は32歳で、長編2作目。女性監督作品の受賞は、コンクール史上初めて。同優秀賞「フラガール」の李相日監督も32歳で、2人は候補作の監督で最年少。
男優主演賞の佐藤さんは、「雪に願うこと」でばんえい競馬の調教師を好演。「素直に喜びたい。昔からあるタイプの映画だが、普遍性がよかった」。父親の三国連太郎さんも「飢餓海峡」などで同賞を受賞しており、初の親子2代受賞となった。女優主演賞の中谷さんは、近年進境著しい活躍ぶり。「身に余る賞。『嫌われ松子の一生』は、私の中の映画に対するイメージや価値観を崩した作品」と喜んだ。
女優助演賞の蒼井さんは若手成長株。「受賞はまったく予想しておらず、ただ驚き」。男優助演賞の笹野さんは、多くの作品に顔を見せる大ベテラン。「ワンシーン役者と自称していたので、正直戸惑っている」と話した。
田中絹代賞の草笛さんは、成瀬巳喜男監督作品など数多くに出演。昨年「雪に願うこと」「犬神家の一族」と久々に映画に復帰した。「大先輩女優の賞をいただいてうれしい。これからも精進したい」と喜びを語っていた。【勝田友巳】
◇選考委員コメント
作品部門の選考は、映画評論家ら約80人の投票による1次選考の結果、上位5作品を候補として5人の選考委員による討議で決定した。他の候補作は「紙屋悦子の青春」(黒木和雄監督)、「雪に願うこと」(根岸吉太郎監督)、「嫌われ松子の一生」(中島哲也監督)。選考委員の講評は次の通り。
▽吉田喜重委員 最も映画表現を感じさせる作品を選んだ。「ゆれる」は、兄と弟が憎悪と愛情を織り交ぜ、普通のストーリーのように解決しない。人間は底知れない深遠さを持っている、という点を表した作品。初の女性監督作品の受賞は大変うれしく思う。
▽桐野夏生委員 「ゆれる」は力量が並大抵でない作品。セリフが説明的ではなく、丁寧に見ると、感情の成り立ちがよくわかる。演出もアイデアにあふれていて、とても優れていた。他の作品はいずれもよくできているが、逆に「ゆれる」のような「不安定さ」に欠ける。すわりの良すぎるところが不満だった。
▽ドナルド・リチー委員 前作の「蛇イチゴ」を見て、西川監督には才能があると感じていた。それが開花したことは喜ばしい。また、初めての女性監督の受賞をうれしく思う。
▽新井満委員 「ゆれる」が映画の純文学なら、「フラガール」は大衆文学。分かりやすいサクセスストーリーで、感動の涙を流し、喝さいとともにハッピーエンド。候補作は世相を映しているのか、家族のテーマが多かった。
▽品田雄吉委員 「ゆれる」は人によって受け取り方が変わる映画。しっかりした作品世界を作っていて、06年の収穫だった。「フラガール」は、映画の王道を行き、エネルギーをくれる。2作が対照的ということが、今年のポイントだろう。
毎日新聞 2007年1月18日 22時41分 (最終更新時間 1月18日 23時41分)
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