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世界から取り残される日本の高等エリート教育

2012年10月03日 08時45分00秒 | 時事放談: 海外編

ウォール・ストリート・ジャーナルが、インドと中国の大学教育がぐんぐん成長していることを紹介しています。記録しておきましょう。

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米国の大学はトップを守れるか 追い上げるインドと中国(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) - goo ニュース

2012年10月2日(火)10:00

 インドで最も優れた工業大学の1つであるインド工科大学(IIT)のデリー校で、私たちは21歳の男子学生シュリラム君と出会った。シュリラム君はIITが実施する厳しい入学試験を受け、48万5000人中で19番の成績で合格した。ミスター19番だ。

 シュリラム君は幼い頃に数学と科学の才能を見出され、IITの入学試験の準備のために10代を捧げた。塾に通い、入試科目である物理、化学、数学の訓練を徹底的に受けた。塾に通った2年間は週に90時間勉強したという。

 IIT に入学すると、まわりは優秀な学生ばかりだった。教授陣の期待は高く、シュリラム君が受けた最初の数学のテストはクラスの平均正答率が30%だった。シュ リラム君もあまりいい点がとれなかったが、睡眠を削って勉強すると、成績はすぐに上向いた。「ここに来たいとずっと思っていた」とシュリラム君は言う。 「IITで工学を専攻して、一生懸命勉強すれば、完璧な人生を過ごせるということはわかっていた。美しい女性と結婚したり、会社を興たり、国の発展に貢献 したり、家族の期待や夢を実現させることができる

 インドでも中国でも非常に厳しい全国入学試験を実施するのは、名門大学にふさわしい優 秀な学生を見出すためだ。競争は厳しく、準備は大変で、国中がそわそわしながら合格発表を見守る。これと比べると、米国の大学進学適正試験(SAT)は二流にしか見えない。こうした大学に合格することで手に入れられるものは中国やインドのほうが大きい。トップ1%の「選ばれた人間」になれば、好きな大学に 入れる。職に就いても出世コースに乗ることができるし、収入も多くなり、アッパーミドルクラスの生活を享受できる。

 残りの99%にとって、このシステムはそれほど都合のいいものではない。中国とインドには4000万人近い大学生がいる。ほとんどは安い学費で大量の学 生を教育する大学に通っている。学生たちは自分が大学で受けている教育を「工場のようだ」と言い、「退屈」と話す。こうした大学の卒業生の多くは再教育を 行って、雇用しても問題ないレベルにまで引き上げることが必要だ、と経営者はこぼしている。

 今のところ、米国の大学システムはまだ他を大きくリードしている。しかし、今後10年間で、次世代の教育を巡り世界的な競争が起きるだろう。そして、中 国とインドには現在の勢力図を一変させるだけの潜在力がある。大量の有能な学生が大学に入学する年齢に達している中国とインドでは、最優先事項として大学 改革に取り組んでいる。

 ボストン・コンサルティング・グループが新たに開発した教育の競争力ランキングによると、米国と英国はそれぞれ1位と2位を確保した。教育投資が多い 上、世界的に有名な大学の数も多く、工学を専攻した卒業生の割合が高いためだ。中国は3位、インドは5位だったが、これは主に学生数の多さに因るところが 大きい。4位はドイツ。米国がトップを占めた理由ははっきりしている。一つには、教育にかけている費用が一番多いことだ。米国の政府や家計による年間の教 育支出は9800億ドル(約76兆円)で、中国の2倍、インドの5倍に相当する。また、米国はエンジニアの比率が最も高く、人口100万人のうち981人 が工学系の学位を持つ。これに対し、中国は553人、インドは197人だ。

 米国の大学は全体的に、労働力として学生を訓練することにも成功している。世界経済フォーラムの推計によると、米国では工学系の学位を持つ学生の81% が即、雇用できるレベルにあるが、インドは25%、中国は10%だった。中国のある有名大学の学部長は私たちにこう言った。「中国の学生は問題を解くこと はできるが、独創的な考えや発明となると、うまくいかない。われわれは今、その穴を必死に埋めようとしている。基礎として技術教育を行おうとしている」

 中国では、米国の名門大学群「アイビーリーグ」の中国版「C9」を結成する動きが2009年に始まった。1898年に創設された中国の最高学府、北京大 学もC9の一角だ。C9結成の目的は特別に資金を投じた大学群に最高の学生と最高の教授陣を集めることだ。C9に参加している大学は最近、政府からそれぞ れ2億7000万ドル(約210億円)を受け取った。こうした大学は改革を進めるための戦力として、15万ドルもの引っ越し手当を出して博士号を持つ中国 人を海外から呼び戻している。

 中国と比べて、インドはまだ先が長い。IITデリー校のある学部長は装置の不足や教員の低賃金、特別枠で入学した学生が英語を話したり書いたりできない といった問題に日々、取り組んでいると話した(特別枠はカースト制度対策)。「資金が足りないし、教授陣にも博士号取得者が少なすぎる。入学者の5分の1 は割当枠での入学だが、再教育プログラムもない」と、この学部長は暑い扉を開け放したオフィスで嘆いた。

 インドと中国が力を入れても、両国が高等教育に投入している資金はハーバード大学単独の寄付金320億ドルにまだやっと追いつく程度だ。しかし、インド や中国が成功しているのは、資金だけでなく姿勢に因るところが大きい。IITのミスター19番は、やる気にあふれ生活の向上に熱心な才能ある学生世代の代 表的存在だ。北京大学のある学生の部屋では、立身出世を誓う「鉄の棒でも懸命に磨けば、いずれ針になる」ということわざが壁に貼られていた。

―シルバースタイン氏はボストン・コンサルティング・グループのシニア・パートナー。シンギ氏は同社のパートナーで、インドの消費者行動を担当するディレ クター。この記事は両氏およびキャロル・リャオ氏、デイビッド・マイケル氏の共著「"The $10 Trillion Prize: Captivating the Newly Affluent in China and India(10兆ドルの賞金:中国とインドの新富裕層の心をつかむ)に基づく。本著はハーバード・ビジネス・レビュー・プレスから10月2日に刊行予 定。

教育上の競争力

世界で最も競争力のある教育システムのある国はどこか?ボストン・コンサルティング・グループが新たに開発した指標は4つの分野をそれぞれポイントで評価、総合得点は各分野のポイントを平等に反映している。ランキングの上位10カ国は以下の通り。

Country

Total points

Enrollment points

Expenditure points

Engineering grads points

Elite university points

U.S.

237

25

73

48

91

U.K.

125

4

26

46

48

China

115

86

17

4

8

Germany

104

5

25

37

38

India

104

90

4

3

6

France

87

4

24

41

18

Canada

85

2

25

39

18

Japan

72

7

31

19

16

Brazil

38

17

16

2

3

Russia

32

9

10

10

3

Source: Boston Consulting Group analysis


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