吉右衛門のプライベート・ライフです。
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(語る 人生の贈りもの)中村吉右衛門:13 娘と菊之助君、夢にも思わず
朝日新聞 2017年7月27日05時00分
「多くの方に劇場に足を運んで、生の歌舞伎を見て頂きたいですね」=伊ケ崎忍撮影
■歌舞伎俳優・中村吉右衛門
《1975年、遠縁で慶応大学に通っていた知佐さんと結婚。4人の娘に恵まれた》
女房は浅草で育った下町っ子で、小さい頃から家に遊びに来ていました。NHKでディレクターをしていた女房のお父さんと実母との間に「うちの娘はどうか」という話ができて、おふくろが知佐に電話して「お嫁に来ない?」と聞いたのが最初です。プロポーズはその後でした。
子育て期は、役者として闘いの最中でした。余裕がなかったので娘たちには「ごめんなさい」と言いたい。朝出ると夜遅くまで帰れない。楽屋で女房と話をするぐらいでしたが、支えてもらいました。
休みにぼくの運転で神奈川県の箱根や静岡県の修善寺に行きました。娘たちは富士山や海が見えてきても喜ばず、車に酔ったとふてくされていました。たまの休みを有効活用しようと思っても、思うようにはなりませんでしたね。
娘たちには、一般の世界で生きてもらいたいと、しつけは厳しくしたつもりです。
《2013年、四女瓔子(ようこ)さんが尾上菊之助と結婚。菊之助の父菊五郎も人間国宝で、播磨屋と音羽屋の結びつきが話題になった》
瓔子の菊之助君との結婚は想像もしていなかった。旧吉右衛門劇団と、菊五郎劇団では学ぶ場も違う。かつて市村座で競い合った両家が親戚になるとは、夢にも思わなかった。菊五郎君も「びっくりした」と言っていたので、同じ思いだったのですね。役者の妻が苦労することは目に見えていたので、手放しで喜ぶわけにはいきませんでした。
お嫁さんにもらいたいと菊之助君が家に来た時は驚いて、「こんなんでもいいの?」と言った。後で瓔子に「失礼だ」と叱られました。
菊之助君には15年の国立劇場「義経千本桜」の新中納言知盛(とももり)(平知盛)や、この7月の「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」の大蔵卿も指導しました。どちらも立ち役の大役。女形で活躍している菊之助君ですが、どっちつかずになることなく、どちらも頑張ってほしいです。(聞き手 山根由起子)
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知佐夫人は、吉右衛門公演のときには、歌舞伎座だろうが、国立劇場だろうが、巡業会場だろうが、いつも劇場のロビーに立って、お客様のお世話をされています。この人なしでは、いまの吉右衛門はなかっただろうとおもわずにはいられない献身ぶりです。
瓔子さんも、歌舞伎座でたびたび拝見しています。ふたりのお子さんの世話もありますし、梨園の妻は大変でしょうが、しっかりとこなしておられるようです。吉右衛門から厳しいしつけを受けていれば、それもたやすいことなのではないかと想像します。
ただ、ファンとしては、三代目吉右衛門が観たいので、瓔子さんにはもうひとり男の子を産んでもらいたいとおもってしまいます。時代錯誤の願いだとわかっていても。
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