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『風立ちぬ』の喫煙シーン批判をめぐる議論に違和感

2013年08月15日 06時39分55秒 | 離煙ニュース: 国内編

日本禁煙学界が、ジブリに要望書を出したことが話題を呼んでいます。

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「風立ちぬ」は「条約違反」=喫煙描写に禁煙団体が要望書(時事通信) - goo ニュース

2013年8月14日(水)19:44

 NPO法人日本禁煙学会(作田学理事長)は14日までに、宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」に登場する喫煙場面について、「たばこ規制枠組み条約で禁止された、たばこの宣伝・広告に当たる」と指摘、「法令を順守した映画製作をお願いする」との要望書を公表した。

 要望書は、肺結核で伏している妻の手を握りながら夫がたばこを吸う場面があることを特に問題視し、「なぜこの場面でたばこが使われなくてはならな かったのか。他の方法でも十分表現できたはず」と批判。学生が友人にたばこをもらう場面も、「未成年者の喫煙を助長し、未成年者喫煙禁止法にも抵触する恐 れがある」とし、「さまざまな場面での喫煙シーンが子供たちに与える影響は無視できない」と憂慮を示した。 

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その要望書は、次のサイトで読めます。

  http://www.nosmoke55.jp/action/1308kazetatinu.pdf

ごくまともな主張だと思うのですが、反対する人がかなりいるようです。

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2013年8月14日 18:06 (J-CASTニュース)
「風立ちぬの喫煙シーンは条約違反だ!」 日本禁煙学会の苦言に批判殺到


 禁煙運動を推進するNPO法人「日本禁煙学会」が、宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」に提出した要望書がにわかに注目を集めている。

 アニメ中に出てくる喫煙シーンが「条約違反だ」と主張しているが、インターネット上では逆に、「ひどい」「おかしい」と禁煙学会への批判の声が多数上がっている。

■「未成年者の喫煙助長し、国内の法に抵触のおそれも」

 禁煙学会の要望書は2013年8月12日付で、内容は以下の通りだ。

    「映画『風立ちぬ』なかでのタバコの描写について苦言があります。現在、我が国を含む177か国以上が批准している『タバコ規制枠組み条約』の13条であらゆるメディアによるタバコ広告・宣伝を禁止しています。この条項を順守すると、この作品は条約違反ということになります」

 要望書では喫煙シーンを挙げ、とりわけ「肺結核で伏している妻の手を握りながらの喫煙描写は問題です。夫婦間の、それも特に妻の心理を描写する目的があるとはいえ、なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはず」と指摘している。

 また、学生が友人にタバコをもらうシーンが未成年者の喫煙を助長し、国内の「未成年者喫煙禁止法」にも抵触するおそれがあるとも書かれている。

 要望書は「企業の社会的責任がいろいろな場面で取りざたされている昨今、貴社におきましてもぜひ法令遵守をした映画制作をお願いいたします」「映画制作にあたってはタバコの扱いについて、特段の留意をされますことを心より要望いたします」とのお願いで締められている。

■茂木健一郎「禁煙ファシズムと言われても仕方ない」

 これに対し、脳科学者の茂木健一郎さんがツイッターで

    「禁煙を推進したい人は、自身で広報活動、Public Relationsに精を出せばよい。誰もそれを止めない。しかし、他人が作った映画の表現、違う時代の場面の描写にまで口を出す権利があると思うのは、勘違い禁煙ファシズムだと言われても仕方がない

と糾弾。

 他のネットユーザーからも、「表現活動の中でタバコを取り上げることを、タバコ規制枠組条約で禁止されている『宣伝・販売促進活動』とするのは無理があると思う」「私も煙草は嫌いだが、この要望は自ら頭の悪さを広言するようなものだから、撤回した方が良い」「こんなのがまかり通ったら、白黒映画時代からの名作映画は全く見れなくなってしまう」「この理屈だと時代劇で切腹はアカンとかそんな話になるのでは」など禁煙学会に対する批判の声が多数上がっている。

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何なんでしょう、茂木氏のこの言い方は。

批判をしてはいけないと言っているのですから、こちらのほうが言論を弾圧するファシズムです。いろいろな対立意見があって、それが話し合うのが民主主義だと思うのに、他者を批判してはいけないと言うのですから、ひどい話です。

こういう相手の意見を抹殺するような言い方をするのではなく、きちんと『風立ちぬ』の芸術的表現の正当性を擁護して、議論すべきです。

その意味では、ネットユーザーからの意見のほうが、かなりまともです。

その意味で、茂木氏のような独断的意見を引用せずに、『風立ちぬ』を擁護した次の記事に目が留まりました。

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『風立ちぬ』喫煙シーンへの禁煙学会の苦言に賛否両論…観客、映画業界関係者の声は?
ビジネスジャーナル 2013.08.15


 日本アニメ映画界の巨匠・宮崎駿監督の5年振りの新作劇場映画、スタジオジブリ製作の『風立ちぬ』(東宝)が、7月20日の公開から23日間で累計動員450万人、興収55億円をそれぞれ突破し、大ヒット上映中だ。

 そんな『風立ちぬ』内で頻出するタバコの描写に対し、NPO法人・日本禁煙学会(以下、学会)が苦言を呈し、波紋を呼んでいる。

 学会が8月12日付で制作担当者へ送付した要望書「映画『風立ちぬ』でのタバコの扱いについて(要望)」によれば、「教室での喫煙場面、職場で上司を含め職員の多くが喫煙している場面、高級リゾートホテルのレストラン内での喫煙場面など、数え上げれば枚挙にいとまがありません」と具体的にシーンを列挙し、主人公が病室で肺結病患者の妻の横で喫煙するシーンや、学生が“もらい煙草”をするシーンを特に問題視している。そして「さまざまな場面での喫煙シーンがこども達に与える影響は無視できません」「映画制作にあたってはタバコの扱いについて、特段の留意をされますことを心より要望いたします」と、制作側へ求めている。

 この学会の要望について、ネット上では早くも賛否両論の声が寄せられているが、この問題について、映画制作の現場を知る業界関係者や、実際に映画を見た観客たちは、どのように受け止めているのだろうか?

 まず、ある映画制作会社社員は、制作現場の実情を交えながら、次のように話す。

「タバコのポイ捨てや“歩きタバコ”、未成年の喫煙など違法な演出はもちろん極力避けますが、それ以外の喫煙シーンについては、演出上・登場人物の“キャラづけ”上の必要性から生まれるもので、意図的に自粛するようなことはありません。『風立ちぬ』における喫煙シーンもすべて、演出上必要なものばかりだと受け止められます。学会は、病室や教室、職場での喫煙シーンなどが頻出することを問題視していますが、戦中や終戦後間もない時代を描くほかの映画では、電車内や映画館など公共の場で喫煙するシーンは数多く見られ、当時の時代状況を描く上では、必然的な演出だったといえます」

 また、未成年の学生が“もらい煙草”をするシーンについても、「戦争という、貧しく常に死と隣り合わせの極限状態の中で、貴重な贅沢であるタバコを通じて友情を交わすこのシーンには、宮崎監督のさまざまな思いが込められている。その演出に対し、現在の価値観を持ち出し『違法だから駄目』ということに対しては、違和感を覚えます」と、学会の要望に否定的な感想を漏らす。

 加えて別の映画業界関係者は、学会が要望書の中で「なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはずです」と指摘している点について、「製作サイドは、その当時の時代状況を踏まえ、より自然かつ日常的なかたちで、登場人物の置かれた心理状態やキャラクターを表現すればよいのかを検討した結果として、タバコを使った。その表現に注文をつけるのは、表現の自由を脅かす行為にもなりかねかい」と指摘する。

 他の映画業界関係者も概ね同じような反応であったため、業界としては学会に否定的な受け止め方が大半である様子がうかがえる。

●割れる観客たちの声

 こうした見方は、日頃から喫煙の習慣のある人で、映画を見たという人たちの間でも同様のようだ。

 40代男性は、「学会のロジックでは、日本刀を使用する時代劇ドラマや、拳銃を使う任侠映画から、相方の頭を叩きながら『バカ野郎』とツッコむ漫才やバラエティ番組も自粛しなければならないのか」との疑問を投げかける。

 30代女性も「喫煙者である私が言っても説得力がないが、そもそも国が法律で中毒性のある嗜好品・タバコの流通を許可していなければ、自分も喫煙せずに済んだと思っている人も多い。学会は喫煙シーンが多いこと自体も問題視しているようですが、国が認めている行為が出てくるシーンが多いからと、それを批判するのはおかしい」とコメントする。

 一方、非喫煙者で映画を見たという人たちの間では、「まったく気にならなかった」「確かにちょっと気になる喫煙シーンが多いと感じた」と、意見が分かれた。

 後者の意見として、40代女性は「子どもと一緒に映画館で見ていたが、喫煙シーンの多さや、たびたび出てくる未成年の学生が“もらい煙草”をするシーンには、少し引っかかりを感じた。演出上の意図などがあるのは理解できますが、子どもは興味を持ったことはなんでもマネをしたがるので、問題がないとはいえない」と、演出に対する違和感を表した。

 また、禁煙中だという30代男性は、「確かに、頻出する喫煙シーンを見ている内に、煙草を吸いたい気持ちが湧いてきたのは事実。もちろん製作側に意図がないにしても、そういう意味では映画が喫煙を助長しているともいえなくもない」と述べ、学会の苦言に理解を示した。

 このほかにも学会は、“もらい煙草”のシーンについて「『未成年者喫煙禁止法』にも抵触するおそれがあります」としているが、ある弁護士は「製作サイドに故意に喫煙を助長する意図がないのは明らかだと思いますが、厳密に法を適用すれば、違法に当たる可能性もある」との見解を示した。

 学会は要望にあたり、「このお願いは貴社を誹謗中傷する目的は一切なく、貴社がますます繁栄し今後とも映画ファンが喜ぶ作品の制作に関わられることを心から希望しております」としているが、今回の要望をめぐる議論が、今後のテレビや映画をはじめとする一連の映像コンテンツ作品の演出/表現に、なんらかの影響を及ぼす可能性もある。
(文=編集部)

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宮崎駿監督映画で言えば、『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソはタバコをしょっちゅう吸いますが、『となりのトトロ』では喫煙者はひとりも登場しません。つまり、宮崎監督は、愛煙家であるにもかかわらず、芸術的判断で喫煙シーンを映画で使ったり使わなかったりしているわけです。

その意味で、今回の『風立ちぬ』は、どうしてもタバコを吸わせたかったということだと理解しました。肺結核で寝ている妻菜穂子の横で主人公堀越二郎がタバコを吸うのも、二郎のタバコの煙さえも菜穂子が愛していたことを意味したのでしょう。

まして喫煙被害という発想もなかった時代ですから、宮崎監督の演出には、タバコと縁を切る離煙運動を展開している貧乏英語塾長としても、ほとんど違和感はありません。せいぜい、それにしてもタバコを吸いすぎる映画だと思ったくらいです。

しかし、日本禁煙学会のような意見もあって当然だと考えます。ジブリのやり方が、文句こそ言わないものの、ベストだと言うわけではないからです。

アメリカのアニメ映画だったら、絶対に主人公にタバコを吸わせません。そのほうが反発が少なく、売れるからです。アニメではありませんが、第2次世界大戦を舞台にした『キャプテン・アメリカ』でも、主人公はタバコを吸いませんでした。

タバコを吸わないで映画を作ることは可能だという意見があってもおかしくはないし、それが世界の趨勢であることは事実です。宮崎監督が、その事実を知らなかったわけもなく、知っていてあえてそれに反したわけです。

高倉健さんの『あなたへ』には喫煙シーンがひとつもなかったように、どうするかは作り手側が決めればよいのです。それで、面白ければ見るし、面白くなければ無視されるだけです。どちらにせよ、色々な意見が渦巻いてこそ、映画というものです。

言い換えれば、製作者がよかれと思えば喫煙シーンを入れればよいし、嫌だと思えばなくせばよい。日本禁煙学会は、前者に苦言をつける。ただ、それだけのことです。

だからこそ、「ファシズム」などという恐ろしい言葉を使うのではなく、もっと冷静な議論が必要だと思うのです、この問題には。


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