人形浄瑠璃文楽の太夫で人間国宝、豊竹嶋大夫さん(83)の大阪での引退公演が26日、大阪市中央区の国立文楽劇場で千秋楽を迎えた。嶋大夫さんは「関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)」の女房おとわを情感たっぷりに語り、大阪の舞台に別れを告げた。

 この日、嶋大夫さんの最後の語りを聞こうと詰めかけた満員の観客は、しみじみとした義太夫節に耳を傾け、万雷の拍手を送った。

 舞台上で行われた引退セレモニーでは、引退披露の舞台で共演した三味線の鶴澤寛治さん(87)と、人形遣いの吉田簑助さん(82)の2人の人間国宝から花束が贈られ、感無量の表情を見せた。

 嶋大夫さんは「泣いておられるお客さまが目に入り、私ももらい泣きしてしまいました。ありがとうございました、という感謝の気持ちでいっぱいです」と万感の思いを語った。

 東京での引退披露の公演は、2月6日から国立小劇場で行われる。

文楽の人間国宝・嶋大夫、大阪最後の舞台「もらい泣き」
朝日新聞 2016年1月27日22時44分

 人形浄瑠璃文楽の太夫で人間国宝の豊竹嶋大夫さん(83)が26日、国立文楽劇場(大阪・日本橋)の初春公演千秋楽で、大阪では最後の舞台をつとめた。2月の東京公演で現役を引退する。

 嶋大夫さんは午後1時半すぎから引退披露演目「関取千両幟(のぼり)」に弟子らとともに出演。夫婦愛がにじむ味わい深い語りで、ほぼ満席の観客約700人を魅了した。客席のあちこちから「嶋大夫」とかけ声が飛んだ。その後のセレモニーでは、三味線の鶴澤寛治さん(87)と人形遣いの吉田簑助さん(82)が遣う人形から花束を贈られた。

 嶋大夫さんは終演後、「舞台に出た時、泣いておられるお客様が目に入り、もらい泣きしました。私の全部をお聴きいただくつもりで語った。感謝の気持ちでいっぱいです」と語り、ファンに見送られて劇場を後にした。

 嶋大夫さんは愛媛県出身。1948年に入門して以来、人物の「情」を繊細に表現する語りで高い評価を得て、昨年10月に人間国宝に認定されたばかりだった。嶋大夫さんの引退で太夫の人間国宝は不在となり、重要な場面をまかされる太夫の最高位「切場語り」も豊竹咲大夫さん(71)だけとなる。

 東京公演は2月6日から国立劇場で同じ演目を披露する予定。(向井大輔)

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国立小劇場での嶋大夫師の公演のチケットが取れずにすでにすべての公演が満席なのです。グスン。あとはこまめにキャンセル待ちをするしかありません。ですが、「ほぼ満席」で空席の出た大阪と熱烈なファンが多い東京とは違うので、希望薄です。

それでも、最後まであきらめず、聴けるようにがんばります。嶋大夫師の元気な語りに勇気をもらいたいですから。