すばらしい!感動的な開発です。
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アフリカで穀物の生産に大打撃を与え、被害額が年間1兆円とも言われる寄生植物「ストライガ」の撲滅につながる分子を、名古屋大の研究チームが開発した。14日付の米科学誌サイエンスに発表する。
ストライガはトウモロコシやキビなどイネ科の穀物の根に寄生し、栄養や水分を吸い取って枯らせてしまう。「魔女の雑草」と恐れられ、サハラ砂漠以南の国々で3億人の生活に影響しているとされる。
土屋雄一朗特任准教授(植物生理学)らは、ストライガの種は養分をほとんど蓄えておらず、発芽から4日以内に寄生できないと枯れてしまうことに注目。近くに穀物があると勘違いして発芽の合図となる「ストリゴラクトン」という分子をまねた人工的な分子の開発に取り組んだ。
1万2千種類の分子で実験して発芽を促すものを見つけ出し、さらに改良して「SPL7」という分子を開発。「琵琶湖の水量に小さじ1杯分」というきわめて薄い濃度でストライガを発芽させる一方、穀物の成長には影響しないことを確かめた。研究チームは来年、ケニアの農場で試験を始める。
チームは「農業被害を起こす別の寄生雑草を殺す薬も、同じ方法でつくれるのではないか」としている。
論文はウェブサイト(http://science.sciencemag.org/lookup/doi/10.1126/science.aau5445)で読める。(小宮山亮磨)
アフリカでトウモロコシなどの農作物を枯らす大きな被害が出ている寄生植物「ストライガ」の駆除方法を、名古屋大などの研究チームが開発した。被害額は年間1兆円を超えているとされ、食糧問題解決への貢献が期待される。米科学誌サイエンス電子版に14日、論文が掲載された。
ストライガはアフリカのサハラ砂漠以南を中心に分布。ピンク色の美しい花を咲かせるが、トウモロコシなどの根に取り付いて寄生し、栄養や水分を横取りして枯らすため「魔女の雑草」と恐れられている。
種子は風に乗って広がり、日本の国土の約1・3倍に当たる5000万ヘクタールもの耕作地が汚染されている。約0・2ミリと微細なため除去は不可能で、熱に強く除草剤も効かない。
種子は土壌中で数十年にわたって休眠状態となり、イネ科植物の根から出る植物ホルモンに触れると目を覚まし、発芽して寄生。ただ、発芽から4日程度までに寄生できないと枯れてしまう。
この性質に着目した研究チームは、ストライガだけが反応する人工のホルモンを開発し、種子をまいた植木鉢に散布。寄生する植物がない状態で強制的に発芽させ、枯死させる「自殺発芽」に成功した。ほぼ全ての種子が自殺発芽し、この土にトウモロコシを植えると、ストライガの寄生は起こらず健全に生育した。
人工ホルモンの製造費は耕作地1ヘクタール当たり約40円と安価で、他の植物や土壌中の有用菌には悪影響がないことを確認した。チームは来年、アフリカの実験農場で有効性の実証実験を行う計画だ。
ストライガの被害は主にアフリカと中東で、日本では起きていない。だが土屋雄一朗・名古屋大特任准教授は「日本に侵入する可能性はゼロではない。被害に備えるためにも、新しい駆除方法を早く実用化したい」と話している。
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