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真のエリートを育てよう

2009年01月31日 08時23分38秒 | 時事放談: 海外編
意外と知られていないフランスのエリート教育。いま、曲がり角に来ています。

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【緯度経度】パリ・山口昌子 エリートが駄目な国は駄目(産経新聞) - goo ニュース

2009年1月31日(土)08:05

 フランスの民放テレビがこのほど、テレビ映画「権力の学校」を放映し、話題を呼んだ。学校のモデルは高級官僚の養成所である国立行政学院(ENA)。卒業生は「エナルク」と呼ばれ、政財官界を支配している。

 この映画が話題となったのは、登場人物のモデルが、1980年卒組の社会党のロワイヤル前大統領候補、彼女の“同居人”だったオランド前社会党第1書記、ドビルパン前首相であることに加え、サルコジ大統領がENAの改革を推進しておりニュース性があったからだ。

 改革の目玉は卒業時の席次順による官庁指名制度の廃止だ。これまでは成績上位の生徒は財務監督官、会計検査院、参事院のうちのどれかを指名。そこで数年働いた後に、大統領府や内閣の官房に入る。人脈づくりに励んで議員や閣僚を目指すか、大手企業に天下る-。かくてエナルクが官界どころか政財界も支配するという結果になっていたが、これにメスを入れようというわけだ。

 しかし、ドゴール将軍が45年にエリート教育の必要性を痛感してENAを創設した当時は、野望や出世とは無縁の、国家に無私に奉仕するエリートを育てるのが目的だった。第二次世界大戦でレジスタンスを率いたドゴール将軍にとって、戦前の自国のエリートたちはヒトラーの侵攻を座視したばかりか、戦時中も大半がドイツへの協力に走り、結果的に国家を敗北へと導いた「裏切り者」だった。

 エリートがダメな国は結局、ダメになるというわけだ。ENA創設の政令では(1)国民のアイデンティティーの再構築(2)社会的階級からの官僚の独立(3)国益を最優先し各官庁間の隔絶を解消(4)政治からの独立-などを規定し、真のエリートのあるべき姿を示している。

 フランス全土から、貧富を問わず結集された優秀な人材を育てるために、ENAの生徒には、ナポレオンが創設した理工科学院(ポリテクニック)や高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)の生徒と同様、月給が出ている。フランスがいかに国家の屋台骨になるエリートの教育に力を入れているかがうかがえる。

 ところが、2009年に入学し11年に卒業する現在の生徒81人(男49、女32)のうち、両親が労働者階級である者は3人、農業が1人で、大半はいわゆる富裕層の出身だ。ドゴール将軍の創設の理念を具現しているエナルクが今、フランスに何人いるのだろうか。

 サルコジ大統領が大統領選に勝利した要因の1つとして「非エナルク、非エリート」があげられている。シラク前政権時代、シラク氏はもとより首相のドビルパン氏も、保革政権時代に首相だった社会党のジョスパン氏も、そして両政権の閣僚の大半もエナルクだった。ジョスパン氏の下で雇用・連帯相として「週35時間労働制」を導入したオブリ社会党第1書記もエナルクだ。

 労働時間を短縮し、その分の仕事を失業者に配分して雇用を創出するという週35時間労働制は結局、失敗した。現実の社会と乖離(かいり)した「机上の空論」だったことから社会混乱を招いた。現実と遊離してエリート集団と化した社会党は「キャビア社会党」と呼ばれて失墜し、02年の大統領選でシラク氏が再選された主要因ともなった。

 エリートによる閉塞(へいそく)感を一掃したいという国民の期待を担って登場したサルコジ政権では、弁護士出身の大統領以下、非エナルクが大半を占める。エナルクはペクレス高等教育・研究相とジュアノ環境担当相の2人だけだ。

 サルコジ大統領のENA改革が、ドゴール将軍の創設理念に沿ったENAの復活につながるのかどうか。それにしても日本には真のエリートがいるのだろうか。

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エリートの視覚は、「ノブレス・オブリージュ」を具現化すること。民衆のために身を投げ出すという義務を果たしてこそのエリート。

いまの日本にこうしたエリートがどれだけいるか。そして、それを憂うドゴールがいまの日本にいるのかどうか。

日本人こそ考えなければならないのが、真のエリート教育ではないでしょうか。

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