写真で見る限り、健常者そのものなのですが……。
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「ロッド流」派手さ 目標に…西城秀樹さん
読売新聞 2015年07月07日 05時20分
サイン入りサッカーボール
◇たからもの
スタッフの肩を借りて、ゆっくり一歩ずつ、取材場所のレコーディングスタジオに入る。
派手なアクションで一世を風靡ふうびしたかつてのアイドルは、2度の脳梗塞を患い、今もリハビリに励みながら、歌い続ける。「この世界で引退するということは、諦めるということですから」。たどたどしく発せられる言葉に、力が入る。
苦しい日々の支えになっているのが、英国のミュージシャン、ロッド・スチュワートさんのサインが入ったサッカーボールだ。1979年、雑誌の企画で本人と対談し、その際に贈られた。ちょうど自身も歌手として波に乗っていたころだ。
スチュワートさんは元サッカー選手で、客席にボールを蹴り込むパフォーマンスが有名だった。ファンならだれもが欲しがる逸品。30年以上たって少し空気が抜け、黒ずんできても、事務所に大事に置いてあるのは、単にファンだからではない。
「明るく楽しく派手に。ロッドは僕が目指してきたものの原点なんです」
「洋楽小僧だった」という少年時代、兄らとバンドを組み、小学生の身でエレキギターを弾いた。映画「嵐を呼ぶ男」に感化されると、今度はドラマーに転身した。地元広島で演奏し、ボーカルも務めるようになった時、歌手にスカウトされる。親の反対を押し切り、15歳で上京した。
デビュー後、人気も上がってきた74年、スチュワートさんがボーカルを務めるバンドの来日公演に衝撃を受ける。
ロックはもっと重々しいものと思っていた。「あんな派手な衣装で、あんなに明るくやれるなんて」。特にマイクスタンドを蹴り飛ばすアクションに一目ぼれした。
アルミ製の軽量スタンドが使われていると知り、さっそく当時の自身の曲「薔薇の鎖」に取り入れた。特注スタンドを頭上高々と差し上げる豪快なアクションは、小学生がほうきを使ってまねるほどの人気に。その後も、タンクトップにマフラーという奇抜な衣装を採用するなど、次々に「ロッド流」を取り入れた。
ボールを贈られた79年には、「ヤングマン」が空前のヒット。全身を使った派手で楽しいパフォーマンスで、あこがれの人に近づいた気がした。
2003年、脳梗塞を最初に発症したときは、軽度だったため体調の回復も早かった。しかし、11年12月に再発。ディナーショーなどの仕事はやむなくキャンセルした。あんなに動いていた体が動かない。ろれつが回らず、話すことがままならない。
翌年1月のコンサートは予定通り行ったが、アクションどころか椅子に座ったまま。それでもファンは涙で迎えてくれた。「僕の姿を見て頑張れる人がいるなら、それだけで歌う意味がある」
話す練習のため割り箸をかむリハビリを欠かさない。近所の公園で歩く練習も続ける。かっこ悪いところを人に見られたっていい。「もうあの頃のアクションができるとは期待しない。でも、できるところまではやろうと思う」
今年、還暦を迎えた。スチュワートさんは70歳でなお、同じハスキーボイスで歌い続けている。ボールを見ていると「自分も」と思えてくる。若き日に目標をくれたボールは、今も人生の指針となっている。
◇さいじょう・ひでき
歌手。1955年、広島市生まれ。72年「恋する季節」でデビュー。79年、「ヤングマン」で日本歌謡大賞を受賞した。還暦記念アルバム「心響―KODOU―」を今年4月にリリース。75年の全国ツアーを記録したDVD「ブロウアップ・ヒデキ」が7月に発売される。
(植松邦明)
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あれだけ華やかな活躍をした人ですから、脳梗塞のために身体が動かず、滑らかにしゃべれないのはつらいはず。でも、上の写真の笑顔を見てください。その悩みの片鱗も見せません。本当に、「スター」です。
ぜひとも回復して、いつまでも元気で力強い歌を聞かせてほしいもの。期待しています。
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