なるほど、麻雀AIが、囲碁・将棋AIよりも難しい理由がわかりました。
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プロ級実力のマージャンAI 開発チーム、実は「素人」
朝日新聞 2019年9月2日16時00分
米マイクロソフトがトッププレーヤーに匹敵する実力に達したと発表したマージャンAI(人工知能)「スーパーフェニックス(Suphx)」。驚きは、囲碁や将棋以上の複雑さを持つ競技でAIが人を超えたことだけではない。中心となった開発チームはたった4人。しかも、マージャンをやらない素人ばかりだった。
「素人」の突破
「面白いことに、Suphxの開発チームはマージャンができない」。Suphxが活躍するオンラインマージャン対戦プラットフォーム「天鳳」の運営会社シー・エッグ(東京)の角田真吾代表は、8月29日にあった記者会見に同席し、こう驚きを見せた。
囲碁や将棋、チェスなど一対一の対戦ゲームではすでにAIがプロを倒せるようになったことは知られている。だが、開始時点では差が無く、手持ちの駒やボードの上を見れば、置かれた状況は一目瞭然だ。一方、マージャンは牌(パイ)を配る際などの運に左右される。さらに、手持ちの牌は相手に見えない。プレーヤーは4人で、おまけに複雑な得点計算まである。開発チームの1人で、マイクロソフトリサーチアジアの劉鉄岩・副所長は会見で、「(AIが勝つのは)マージャンが一番難しいと考えられている」と話す。
Suphxは3月に天鳳のプラットフォームにログインし、6月に上から2番目の段位となる「10段」に達した。上達の早さだけではなく、5千回の対戦を経ても他のAIより段位を安定して維持してきた。人間のプレースタイルとだいぶ違うため、人間の技術向上にも役立っている。一部のプレーヤーから「Suphx先生」と呼ばれているという。
AIのブレークスルー
天鳳は対戦ログ(記録)をすべて公開している。性能向上にデータが必要なAIにとって、格好の学びの場だ。さらに、11の段位を定めており、上位者と対局し、効率的に性能を上げられる。
Suphxの強さについて、角田さんは「普通の日本人、ちょっとマージャンができるぐらいのプレーヤーよりは圧倒的に強い。トッププレーヤーと比べるとどうか、というのが議論の対象になっている」と話す。
では、どうやってマージャンに対応したAIを開発してきたのか。対戦相手の手持ちの牌や山の中の牌など、隠れた情報をすべて知っていると仮定することで、Suphxの選択が適切かどうか判断する。さらに、マージャンの各対局の結果が全体の点数にどのように影響するのかといった点を、深層学習(ディープラーニング)の枠組みに取り入れたという。劉さんは「開発から2年。最も誇りに思うのは新しい技術を使ってAIのブレークスルーを達成できたことだ」と話す。
マージャンを超える意義
劉さんは「Suphxで培ってきた技術を、他のプロジェクトに応用して実用化していきたい」と繰り返し強調した。現実世界は複雑なことだらけ。運に左右されることが多いし、知っている情報よりも知らない情報のほうがはるかに多い。マージャンは私たちが住む現実の世界との類似性が高いというわけだ。
マイクロソフトが活用先としてあげるのがスマート交通と金融だ。すでに香港の物流企業と協力し、天候による寄港状況の変化や、積み荷の変化への対応に活用しているという。また、金融業との協力プロジェクトでは、競合他社よりは優れた成績が収められているという。
意外な壁
天鳳で性能を向上させるSuphxに、意外な壁が立ちはだかっている。天鳳にはSuphxが達した10段より上の最上位「天鳳位」がある。ここまで達したプレーヤーは13人しかいない。劉さんは「われわれはすごく期待している。天鳳プラットフォームの最高水準を代表しており、Suphxは彼らから学べることがあると思う」とさらなる性能向上を望んでいる。
天鳳を運営する角田さんも「ぜひ人間の最高プレーヤーと対決して欲しい」と話す。だが、難しいのは実現方法だ。天鳳位のプレーヤーが囲む「鳳凰卓」は、最上位ユーザーのみが集うため参加人数が少ない。仮に、何度でも対戦可能なAIが参加すると、鳳凰卓のログはAIが加わったものが大半を占める偏ったものになってしまう。
「スーパーフェニックスは電気があれば、1万回でも10万回でも対局してくれるが、人間はそこまではできない。運営側にも課題になっている」と角田さん。このため、対局回数を限定するなどといった方法で、天鳳位との対戦を実現できないかと模索している。(上海=福田直之)
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麻雀強豪AIを作ったのが素人だったことには驚きません。囲碁でも将棋でも、そこまで強くない人が作ってきましたから。
驚いたのは、運が大きく作用する麻雀でもAIがここまで強くなったこと。これからどこまで強くなるのか、興味津々です。
なお、貧乏英語塾長は、30年以上前に牌とは縁を切っております。悪しからず。
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