【ワシントン=三井誠】米航空宇宙局(NASA)は1日、太陽の影響下にある「太陽圏」を離れて飛行中の無人探査機ボイジャー1号に搭載され、1980年以来使っていなかったエンジンを37年ぶりに噴射させることに成功したと発表した。

 探査機の寿命を2〜3年延ばすことが可能になるという。

 2014年から姿勢制御に使うエンジンが劣化し始めたため、先月28日、軌道制御の役目を終えて休眠状態にあった4基のエンジンを試し、使えることを確認した。1977年に打ち上げられたボイジャー1号は、2012年、人工物として初めて「太陽圏」を離れ、「星間空間」に入った。現在は地球から約200億キロ離れた宇宙で観測を続けている。

 NASAの担当者は「長く休んでいたエンジンが役目を引き継ぐことができ、うれしく信じられない気持ちだ」とコメントしている。

37年眠ったエンジン動く 米探査機ボイジャー
東京新聞 TOKYO Web 2017年12月2日 夕刊

 【ワシントン=共同】米航空宇宙局(NASA)は一日、太陽系外を飛行中の探査機ボイジャー1号に搭載され、三十七年間も使っていなかった噴射エンジンを動かすことに成功したと発表した。「何十年も車庫に放置した自動車が動いたようなものだ」と驚いている。

 一九八〇年までは作動させていた軌道修正用のエンジンで、その後は休眠状態だった。姿勢制御用の別のエンジンが不調になったため、本来の目的とは違うが、このエンジンに目を付けた。

 十一月二十八日に地球から指令を送り、無事作動したことが翌日確認された。姿勢制御も可能で、NASAの担当者は「ボイジャー1号の運用を二~三年延ばすことができる」と話している。

 七七年に打ち上げられたボイジャー1号は、木星や土星に接近して多くの写真を撮影し、二〇一二年には太陽系外へ出た。地球から二百十億キロ離れて飛行中で、信号が届くまで約十九時間半かかる。

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40年間メンテナンスフリーで動き続ける探査機を作り上げたという証明ができたのですから、ボイジャー計画の凄さを感じます。

コンピューター、デジカメ、通信機器の性能はとてつもなく時代遅れのものでしょうに、毎日欠かさず観測データを地球へ送ってきてくれるというのですから、開発担当者たちには頭が下がります。

ボイジャー1号の信号を地球側が受け取れるのは、あと数年ということですが、その後もボイジャー1号は宇宙空間を漂い続けるとか。ひょっとすると人類が死滅した後でもまだ飛び続けているのかもしれません。それを他の宇宙人が見つけてしまうなどと想像すると、ただただそのスケールの大きさにひれ伏すだけです。

宇宙は、広い。ボイジャー1号、がんばれ!といっても、この声は届かないんですけどね。