7つ目の女流タイトル戦として新設された「ヒューリック杯清麗戦」の第1期五番勝負が3日、東京都港区のホテル「グランドニッコー東京 台場」で開幕する。

 「初代清麗」の座を懸けて激突するのは、史上初の女流六冠を目指す里見香奈女流五冠(27)=女流王座・女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花=と、女流タイトル獲得通算7期を誇る甲斐智美女流五段(36)

 開幕を翌日に控えた2日夜、同ホテルでは盛大な前夜祭が開かれた。棋士や女流棋士ら関係者のほか、多くの将棋ファンも参加した。

 両対局者の入場で前夜祭は開始。冒頭、主催のヒューリックの西浦三郎会長が挨拶に立った。西浦会長は「昨年、ヒューリック杯棋聖戦の就位式がこのホテルでありました。その際、日本将棋連盟の清水市代常務理事から『男性棋戦は8つのタイトル戦があるが、女流棋戦のタイトル戦は6つしかない』というお話をうかがいました。ヒューリックは女性にやさしい会社です。(ヒューリック杯清麗戦創設で)ヒューリックがお手伝いできることはうれしいです。今回、里見さんは『6冠』になるか話題になっています。一方で、1人だけが(複数冠を持つ)というのもあります。甲斐さんも頑張ってください。お二人には良い棋譜を残していただけるよう、名局を期待しています」などと挨拶した。

 同連盟常務理事の鈴木大介九段の乾杯で歓談が始まった。女流タイトル戦の前夜祭とあって、華やかな雰囲気の中で進行した。

 その後、両対局者が再び、登壇。2人に激励の花束が贈られた後、里見女流五冠が「ヒューリック杯清麗戦の第1期として戦えることは本当にうれしいです。自分の力を発揮できるよう頑張りたいと思います」と決意を語った。

 対する甲斐女流五段は「里見さんのような強い人とこのタイトル戦を戦えることをうれしく思います。感謝の気持ちを胸に一局一局を指していきたいと思います」と意気込みを見せた。

 新設されたヒューリック杯清麗戦は今年1月、62人の女流棋士が参加して1次予選が開幕。「6勝通過2敗失格」の変則ルールで行われた。里見女流五冠と甲斐女流五段はともに6勝1敗で予選を通過し、本戦ではそれぞれ頼本奈菜女流初段、中村真梨花女流三段を破り、五番勝負出場を決めた。

 里見は1次予選開幕当時は女流四冠だったが、6月に女流王位を奪還し、女流五冠となった。「初代清麗」となれば史上初の女流六冠となる。一方の甲斐女流五段は「初代清麗」で無冠返上を目指す。 

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里見女流五冠には、女流七冠の完全制覇を成し遂げてもらいたいところ。ゆえに、この棋戦は絶対に負けてもらうわけにはいきません。完勝を期待します。