忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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【訃報】中山美穂、54歳

2024年12月06日 | 瓦版


▼【訃報】中山美穂、54歳


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中山美穂が亡くなった。
突然の訃報に驚きを隠しきれない。
ちょうど今日、ビルボード大阪でライブを行うはずだったが
公演当日に「体調不良で中止」と発表されたばかりだった。
ヒートショックだったのではないかと報道されているが
確かなことは、「中山美穂がこの世を去った」という事実である。
54歳はあまりにも早い。
50代半ばは体調面でもメンタル面でも予期せぬ不調に襲われることがあり、
わずかな「ゆらぎ」に周囲はもちろん、本人ですら気づかない場合が多い。
「毎度お騒がせします」から主演ドラマの多くをリアルタイム視聴し
シングル・アルバム含めて結構な枚数を保有しているひとりとして、切ないし寂しい。

まとまらないままに、中山美穂の人生を振り返ってみる。
中山美穂のデビューは1985年。
同期は斉藤由貴、南野陽子、本田美奈子、浅香唯、おニャン子CLUBなど。
おニャン子の大ブームによってここから数年はソロアイドル不毛の時代に突入するが
大豊作だった82年組以来の「アタリ年」と言っても過言ではなかったのが85年組であり、
中山美穂はセールス面から見てもドラマ出演の本数からしてもトップランナーであった。
デビュー曲の「C」こそベストテン入りは逃した(オリコン最高位は12位)ものの
セカンドシングルの「生意気」から29枚目の「HERO」まで連続してベストテン入りを果たしている。
特筆すべきは、「ただ泣きたくなるの」「世界中の誰よりきっと」(*中山美穂&WANDS名義)と
2作のミリオンヒットを持っていることだろう。
特に「世界中の〜」は累計販売枚数183万枚というメガヒットとなった。
松本隆、筒美京平、小室哲哉、竹内まりや、角松敏生、杏里、Cindyら作家陣にも恵まれ
「色・ホワイトブレンド」「ツイてるね、ノッてるね」「WAKUWAKUさせて」
「CATCH ME」「You're My Only SHININ' STAR」など
タイトルは浮かばなくとも、聴けば多くの人がピンとくるヒット曲を豊富に持っている。
80年代アイドルを語る時、ほとんどのメディアは「聖子・明菜・今日子」をトップ3にするが
シングルセールスだけに特化した場合、中山美穂は聖子、明菜に次ぐ3位の売り上げを誇っている。

<80年代アイドル シングル総売上ランキング>

01位:松田聖子
02位:中森明菜
03位:中山美穂
04位:工藤静香
05位:小泉今日子
06位:森高千里
07位:Wink
08位:河合奈保子
09位:薬師丸ひろ子
10位:柏原芳恵
11位:南野陽子
12位:荻野目洋子
13位:酒井法子
14位:菊池桃子
15位:斉藤由貴
16位:松本伊代
17位:堀ちえみ
18位:早見優
19位:わらべ
20位:原田知世

同期の斉藤由貴や南野陽子は、アイドルとしてデビューし歌手もそこそこにこなしながら
大人になるにつれて俳優業の比率が上がっていった。
それは「アイドルからの脱皮」を意味していたが、中山美穂の場合は少し特殊で
「アイドル・中山美穂」のキャラクター性を残したまま女優業にも進出していった。
中山美穂の全盛期とは、アイドル歌手&アイドル女優としての全盛期を意味する。
「ビー・バップ・ハイスクール」や「おヒマなら来てよネ」「ママはアイドル」「な・ま・い・き盛り」など
主演を務めると同時に主題歌も担当する戦略が見事にハマり、
20代に入ってからも「愛してるっていわない!」(「すてきな片想い」)
「遠い街のどこかで」(「逢いたい時にあなたはいない…」)など
主演を務める恋愛ドラマには、いつも彼女の歌う主題歌が流れていた。



1995年公開の岩井俊二監督「Love Letter」で一人二役を演じブルーリボン主演女優賞を獲得。
この作品でようやく「女優・中山美穂」としての評価がぐんと高まることになるのだが
その後の作品には恵まれず、本格派の女優への転身は上手くいかなかった。
2020年に同じ岩井監督の「ラストレター」で「Love Letter」で共演した
豊川悦司と共演して往年のファンを喜ばせたのは記憶に新しい。

シングルヒットには恵まれた中山美穂だったが
アルバムとなるとベストアルバム以外に大ヒットはなく
そのことが「アイドル歌手」の括りから抜け出せない一因になっていた。
82年組の松本伊代と同様、音楽的なセンスは高いにも関わらず歌唱力がついてこなかったことで
アルバムアーティストとして認識されなかったことは、相当悔しかったのではないかと思う。
セールスが下降線を辿っていたアイドル時代後半まで、
コンセプトを決めて作り込む姿勢を崩さなかったのはシンガーとしての意地と言ってもいいだろう。
特にCindyと共に生み出した数々の名曲、名アルバムはもっと評価されていい。

50代に入り、良い意味で開き直ったのか「アウトデラックス」に出演したり
肩の力の抜けた活動も増えてきた矢先の訃報は残念でならない。

ご冥福をお祈りいたします。

<2024年12月11日追記>

松田聖子や中森明菜はレジェンドに、薬師丸ひろ子や斉藤由貴はベテランの大女優でありながら歌も続け、
小泉今日子は全盛期のままマルチに活躍する唯一無二のスター街道を走り続けている。
中山美穂の訃報は数日経った今も全く途切れることなく報道され続けており
音楽チャートには過去の作品が次々とランクインし、サブスクでは「Love Letter」が再生ランキング上位に入り
テレビでは追悼番組の企画も進んでいるという。
離婚後は一時的にバッシングに見舞われた彼女だが、早すぎる死を嘆く声の多さを見るにつけ
中山美穂という人が、最後まで皆に愛されるアイドルとして存在していたことに気付かされる。
かつて宇多丸が定義した「アイドルとは魅力が実力を凌駕している存在。
足りない部分をファンが応援で埋める。」を100%体現していたのが、中山美穂なのだ。
中山美穂より歌の上手い歌手はゴマンと存在し、中山美穂より芝居の上手い女優は星の数ほどいる。
しかし、中山美穂ほど愛されたアイドルは、それほど多くはない。


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【関連記事】中森明菜が活動再開、1980年代アイドルの現在地(2022年9月版)

今年に入って精力的に活動している中森明菜は、中山美穂が歌手を目指すきっかけとなった憧れの存在。
アイドルでありながらアルバムをセルフプロデュースしたり、音楽的な面での影響も大きい。
自分に憧れて芸能界に飛び込んできた後輩の訃報を聞いた明菜の胸中もさぞかし複雑なことだろう。


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2 コメント

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中山美穂さん (K)
2024-12-08 19:20:16
彼女は一つ年下で「毎度おさわがせします」からずっと慣れ親しんできたので寂しいです。
「毎度おさわがせします」が1985年、結婚して休みに入ったのが2002年だそうで、
その間ずーっと芸能界のお姫様だったような印象があります。実に17年!
薬師丸ひろ子、松田聖子、中森明菜、小泉今日子などはそれぞれ社会現象などとも呼ばれ、
光とともに強風を正面から受けたスターという感じでした。
中山美穂はずっと上げ調子でキラキラともてはやされ、
そして誰よりもリアルに同世代のふわっとした憧れをつかみ続けていたような気がします。
今となってはそれほど大きく書かれていませんが、
本人が出演していないにもかかわらずNHK朝ドラのテーマを歌っていたときは、
ついにここまで上り詰めたかと思ったのを覚えています。
他の歌手とは意味合いが全然違うはず。
そしてとても良い曲でした。
返信する
Kさん ()
2024-12-09 15:49:16
こんにちは。

>「毎度おさわがせします」が1985年、結婚して休みに入ったのが2002年だそうで、
>その間ずーっと芸能界のお姫様だったような印象があります。実に17年!

所属事務所が彼女のために分社化したぐらいですからね。
箱入り娘的な待遇だったと思います。

>今となってはそれほど大きく書かれていませんが、
本人が出演していないにもかかわらずNHK朝ドラのテーマを歌っていたときは、
>ついにここまで上り詰めたかと思ったのを覚えています。

朝ドラの主題歌は確か日向敏文さんでしたかね。
日向さんは滅多に楽曲提供しないのですが
満を持して書かれただけあって
「ひだまりの詩」に勝るとも劣らない名曲だったと私も思います。
思い出を引っ張り出すたびに「それにしても残念」しか出てきません。





他の歌手とは意味合いが全然違うはず。
そしてとても良い曲でした。
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