一歩先の経済展望

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再送:自公過半数は微妙か、朝日報道で上値重くなる日本株 結果次第で新連立模索か

2024-10-21 16:09:23 | 経済

 自民、公明両党が過半数維持できるか微妙──という朝日新聞の衆院選情勢をめぐる報道がマーケットにも波紋を広げている。前週末NY市場でダウとS&P500種が史上最高値を更新したにもかかわらず、21日の日経平均株価が小幅安となったのは、与党の勝利が見通せない不透明感の強まりが背景にあるとの声が市場で浮上している。

 もし、27日の投開票日に朝日の報道通りの結果となれば、28日の東京市場で日経平均株価は前週末比1000円を超す下落となる可能性もある。与党の議席数次第では、与党の枠組みを拡大する動きも予想され、そのケースでは新連立の枠組みが決まるまで、日経平均株価の上値が重くなると筆者は予想する。ただ、新連立における首相は石破茂氏が続投するとみられ、市場の一部で期待される「石破降ろし」の動きは表面化しないだろう。

 

 <自公で225議席の予測、立民・国民・れいわは大幅増か>

 21日付朝日新聞朝刊によると、衆院選での獲得議席予想(中央値)は、自民党が200議席(公示前247議席)と47議席減、公明党は25議席(同32議席)と7議席減になり、計225議席と過半数の233議席を下回る。

 ただ、自民系非公認12人のうち5人の当選が見込まれ、追加公認されると自民は205議席となる。さらに無所属で9人の当選が予想され、3人以上が自民に加わると過半数の233議席を獲得することになる。

 一方、野党は候補者乱立の不利を指摘されながら、立憲民主党が138議席(同98議席)と40議席増となるが、日本維新の会は38議席(同44議席)と6議席減。共産党は12議席(同10議席)と2議席増となり、国民民主党は21議席(同7議席)と3倍増、れいわは11議席(同3議席)と3倍を超える躍進が予想されている。

 

 <前回衆院選で自民議席的中させた朝日、注目される森山幹事長の発言>

 前回の2021年衆院選では、朝日の予測が結果に最も近かったと言われ、特に自民党と立憲民主党の議席はほぼ的中させた。その点を記憶している一部の市場参加者は、読売や毎日などの予想に比べて与党の獲得議席が少なない点に注目。過半数割れによる新たな政党の与党入りを石破首相と自民党執行部は模索するだろうとの見方が急速に盛り上がりを見せている。

 実際、自民党の森山幹事長は18日夜のBSフジ「プライムニュース」の中で、選挙結果によっては自民・公明両党による連立政権の枠組みに関し、他党も加えて広げる可能性について質問され「政策的に一致することができれば、会派を同じくして日本の発展のために一緒に頑張るということも大事なことだ。拒むことはあってはならない」と述べている。

 

 <自公過半数割れなら、28日の日経平均株価は1000円超の下落も>

 連立与党の過半数割れという結果になった場合、投開票日翌日の28日の東京市場は政権基盤が不安定になった石破内閣の前途に暗雲が垂れ込めたと判断し、大幅な株安で反応するだろう。前週末と比べて1000円を超す下落となる場面が取引時間中にあっても驚くにはあたらないと考える。

 ただ、先に紹介した森山幹事長の発言にもあるように、自民党は連立与党での過半数割れを想定し、1)非公認で当選した候補者の追加公認、2)それ以外の無所属での当選者への自民党会派への招き入れ、3)野党の一角にある政党への連立政権入りの働きかけ──という多数派維持への工作のカードを温め、どのような状況にも対応できる準備をしているだろう。

 

 <新連立模索なら政策合意までに時間、その間の日本株は上値重く>

 3番目の新たな政党の連立入りというカードを石破首相と与党幹部が決断した場合、新たな連立内閣の成立に向けた政策合意に到達するには、少なくとも数日間、長くなれば週単位の時間が必要になる。

 その間は、マーケットに政権の先行きを懸念する声が広がり、国内の材料としては日本株を買い上げる機運に欠ける展開が継続すると予想する。

 株安の結果として円高に振れるのか、ドル/円は横ばいとなるのか、それとも円安になるのかは、米市場など海外の動向に左右されるだろう。

 

 <新連立は石破首相が前提>

 だが、これまで言及してきたような連立与党による多数派工作は、石破氏が首相になることを前提にして進められる公算が大きい。自民党の獲得議席が朝日の予想の下限である184議席を下回れば石破首相の責任を問う声が党内に高まりそうだが、そうでなければ直ちに「石破退陣」とはならないだろう。

 その最大の理由として筆者は、自民党が200議席に減少する結果になるなら、先の自民党総裁選で石破氏と決選投票を戦った高市早苗・前経済安全保障相を支持したメンバーもかなりの割合でバッジを失っている可能性があるとみているからだ。

 衆院選の結果、親石破と反石破の勢力が反石破に大きく傾かない限り、衆院での新たな多数派の形成に成功した場合は、石破氏が特別国会で首相に指名され、第2次石破内閣が発足すると予想する。

 

 <注目される他社報道>

 ただ、このシナリオ自体が日本株の上値を重くするとの声が市場の一部にある。マーケットにある根強い「石破氏はマーケットにフレンドリーでない」との見方が影響しているようだ。

 今後、朝日以外の各社から衆院選の終盤情勢に関する報道が出てくるだろう。その結果が朝日の情勢報道に寄せる形になっていた場合は、ここで筆者が指摘した選挙後の情勢予測に沿った見方が広がっていくことになるとみている。

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自公過半数は微妙、朝日報道で上値重くなる日本株 結果次第で新連立模索か

2024-10-21 15:52:20 | 経済

 自民、公明両党が過半数維持できるか微妙──という朝日新聞の衆院選情勢をめぐる報道がマーケットにも波紋を広げている。前週末NY市場でダウとS&P500種が史上最高値を更新したにもかかわらず、21日の日経平均株価が小幅安となったのは、与党の勝利が見通せない不透明感の強まりが背景にあるとの声が市場で浮上している。

 もし、27日の投開票日に朝日の報道通りの結果となれば、28日の東京市場で日経平均株価は前週末比1000円を超す下落となる可能性もある。与党の議席数次第では、与党の枠組みを拡大する動きも予想され、そのケースでは新連立の枠組みが決まるまで、日経平均株価の上値が重くなると筆者は予想する。ただ、新連立における首相は石破茂氏が続投するとみられ、市場の一部で期待される「石破降ろし」の動きは表面化しないだろう。

 

 <自公で225議席の予測、立民・国民・れいわは大幅増か>

 21日付朝日新聞朝刊によると、衆院選での獲得議席予想(中央値)は、自民党が200議席(公示前247議席)と47議席減、公明党は25議席(同32議席)と7議席減になり、計225議席と過半数の233議席を下回る。

 ただ、自民系非公認12人のうち5人の当選が見込まれ、追加公認されると自民は205議席となる。さらに無所属で9人の当選が予想され、3人以上が自民に加わると過半数の233議席を獲得することになる。

 一方、野党は候補者乱立の不利を指摘されながら、立憲民主党が138議席(同98議席)と40議席増となるが、日本維新の会は38議席(同44議席)と6議席減。共産党は12議席(同10議席)と2議席増となり、国民民主党は21議席(同7議席)と3倍増、れいわは11議席(同3議席)と3倍を超える躍進が予想されている。

 

 <前回衆院選で自民議席的中させた朝日、注目される森山幹事長の発言>

 前回の2021年衆院選では、朝日の予測が結果に最も近かったと言われ、特に自民党と立憲民主党の議席はほぼ的中させた。その点を記憶している一部の市場参加者は、読売や毎日などの予想に比べて与党の獲得議席が少なない点に注目。過半数割れによる新たな政党の与党入りを石破首相と自民党執行部は模索するだろうとの見方が急速に盛り上がりを見せている。

 実際、自民党の森山幹事長は18日夜のBSフジ「プライムニュース」の中で、選挙結果によっては自民・公明両党による連立政権の枠組みに関し、他党も加えて広げる可能性について質問され「政策的に一致することができれば、会派を同じくして日本の発展のために一緒に頑張るということも大事なことだ。拒むことはあってはならない」と述べている。

 

 <自公過半数割れなら、28日の日経平均株価は1000円超の下落も>

 連立与党の過半数割れという結果になった場合、投開票日翌日の28日の東京市場は政権基盤が不安定になった石破内閣の前途に暗雲が垂れ込めたと判断し、大幅な株安で反応するだろう。前週末と比べて1000円を超す下落となる場面が取引時間中にあっても驚くにはあたらないと考える。

 ただ、先に紹介した森山幹事長の発言にもあるように、自民党は連立与党での過半数割れを想定し、1)非公認で当選した候補者の追加公認、2)それ以外の無所属での当選者への自民党会派への招き入れ、3)野党の一角にある政党への連立政権入りの働きかけ──という多数派維持への工作のカードを温め、どのような状況にも対応できる準備をしているだろう。

 

 <新連立模索なら政策合意までに時間、その間の日本株は上値重く>

 3番目の新たな政党の連立入りというカードを石破首相と与党幹部が決断した場合、新たな連立内閣の成立に向けた政策合意に到達するには、少なくとも数日間、長くなれば週単位の時間が必要になる。

 その間は、マーケットに政権の先行きを懸念する声が広がり、国内の材料としては日本株を買い上げる機運に欠ける展開が継続すると予想する。

 株安の結果として円高に振れるのか、ドル/円は横ばいとなるのか、それとも円安になるのかは、米市場など海外の動向に左右されるだろう。

 

 <新連立は石破首相が前提>

 だが、これまで言及してきたような連立与党による多数派工作は、石破氏が首相になることを前提にして進められる公算が大きい。自民党の獲得議席が朝日の予想の下限である184議席を下回れば石破首相の責任を問う声が党内に高まりそうだが、そうでなければ直ちに「石破退陣」とはならないだろう。

 その最大の理由として筆者は、自民党が200議席に減少する結果になるなら、先の自民党総裁選で石破氏と決選投票を戦った高市早苗・前経済安全保障相を支持したメンバーもかなりの割合でバッジを失っている可能性があるとみているからだ。

 衆院選の結果、親石破と反石破の勢力が反石破に大きく傾かない限り、衆院での新たな多数派の形成に成功した場合は、石破氏が特別国会で首相に指名され、第2次石破内閣が発足すると予想する。

 

 <注目される他社報道>

 ただ、このシナリオ自体が日本株の上値を重くするとの声が市場の一部にある。マーケットにある根強い「石破氏はマーケットにフレンドリーでない」との見方が影響しているようだ。

 今後、朝日以外の各社から衆院選の終盤情勢に関する報道が出てくるだろう。その結果が朝日の情勢報道に寄せる形になっていた場合は、ここで筆者が指摘した選挙後の情勢予測に沿った見方が広がっていくことになるとみている。

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