礒部組のホームページがリニューアルされた。
いや、自分がその制作チームの中心にいたのだから、「された」という受け身の過去形はただしくない。それを言うなら「~を~した」ではないか。
などと要らぬツッコミを自分で入れて、あいも変わらず理屈っぽいやつだと苦笑いひとつ。「した」でも「された」でもどちらでもよい。兎にも角にも礒部組のホームページが全面的に変わった。
かねてよりリニューアルしたいという思いは持っていた。それを実行に移すキッカケは、ある女性との出会いだ。といっても、その方とは未だにフェイス to フェイスでは会ったことがないのだから、いかにも今という時代ならではの関係ではある。
発端はフェイスブックだ。昨年の暮れのことである。見知らぬ女性から友達申請がきた。原則的に一度も会ったことがない人の申請は無視するのがわたしのFB作法だが、プロフィールをのぞいて興味を惹かれた場合には、たまにその縛りを外すことがある。その女性のプロフィールを見ると、「お絵かきクリエイター」という文字が真っ先に目に飛び込んできた。そこにアップされていた動画は、わたしがそれまで見たことがないようなものだった。はじめての「お絵かきムービー」体験だ。イラストを、ホワイトボードに描いては消し、消しては描きを繰り返すそのバックにBGMとナレーションが流れていく。その形式におもしろさを覚えたのも確かだが、それよりもわたしのココロを捉えたのは、その「お絵かきムービー」の絵と声そのものだった。すぐに友達リクエストを受け、メッセージを送った。
「求人募集のイラスト動画とかできますか?」
返事はイエスである。
費用はいかほどかとたずねると、作業の流れと大まかな費用を伝えるメッセージの最後に、彼女の自分史をまとめた「お絵かきムービー」のURLが貼りつけてあった。それを見て、あるアイデアが浮かんだので打診してみた。
「小中学生に対して土木の仕事を伝える、みたいなのもおもしろいんじゃないかというアイデアが浮かびました。検討してみたいですね」
これまた返事はイエス。しかも自信満々のイエスだった。
そうやってできあがったのが、礒部組お絵かきムービー三部作だ。
製作順に並べてみる。
ぼくらと一緒に働きませんか?
土木ってどんな仕事?
土木ってかっこいいよ!!
最初がリクルート動画。あとのふたつは子どもらに土木の仕事を説明するためのもので、その区分は大まかに、小学生用と中学生用だ。いずれ劣らぬ傑作である。その過程でふつふつと沸きあがってきたのがホームページのリニューアルだ。
といっても、TOPに彼女のイラストを、という意図はまったくなく、せっかく生まれた「お絵かきムービー」をメインに据えたサイトにしたい、というのがその動機だった。その過程で、イラストをTOPにというアイデアが生まれた。制作会社の担当者が問いかけてきた。
「誰か描ける人を知っていますか?いなければコチラで・・」
その言葉が終わらないうちに返答をかぶせた。
「います!」
その時わたしの脳裏に浮かんだのは、あの「お絵かきムービー」である。
そして、わたしが彼女に伝えたコンセプトは「おもちゃ箱」。そうこうするうちに、みごとにその想いに応えてくれたイラストができあがった。
ヘッダーは、なんといってもサイトの顔である。たぶん制作スタッフもそれから得たインスピレーションは大きかったのではないだろうか。当初の構成はどんどん変化していった。もちろん、よい方にである。写真や文章を担当するわたしもまた同じだった。
そのあと、幾多のやり取りがあり、変更があり修正がありしながら完成にこぎつけた。自画自賛でまことに恐縮だが、よいサイトになった。よい意味で建設会社らしくない、とてもよいホームページができあがった。
とはいえ、これがゴールではない。できあがったものがどれだけよいものであったとしても、それに胡座をかいていては何も生み出すことはできない。その価値を上げるか下げるかは、ひとえにその後次第なのである。
そういう意味では、物語はスタートしたばかりだ。しかし、これから更によいサイトに育てていき、そこからどういう波及効果が生まれるか、それを考えると、今は楽しみでしかない。
できるのか?オマエに。
とは思うが、それはいつもいつでも何をするにおいても同じこと。だからといって臆する理由にはならない。
思えば、世の中のいろんなことと同様に、今回も偶然がはじまりである。ある偶然を起点に行動したことによって、当初思いもしなかった方向に物事が動いた。彼女の名は藤絵里加さん。お絵かきムービークリエイター。これだから、渡る世間はおもしろい。
制作を担当してくれた株式会社カミノバ・バサラさんのスタッフをはじめ、その他、かかわってくれた皆さん、お陰さまでよいサイトができあがりました。
この稿では、藤さんとわたしとのつながりについて書きましたが、それは象徴であり、とりも直さず皆さんとの関係でもあります。
これから更によくなるように育てていきますが、とりあえずは一区切り。完成をよろこびたいと思います。どうもありがとうございました。